“まずやってみる” 政策づくりへ!政府で「アジャイル型政策形成」WGが発足

停滞する日本の突破口となるか
ライター/SAKISIRU編集部
  • 政府の行政改革推進本部が立ち上げた新しい政策づくりの会議体の狙いは?
  • 従来の硬直的な政策づくりが時代に合わなくなっているとの指摘
  • 「まずやってみてから完成度を高めていく」アジャイル型への転換なるか
アジャイル型政策のWG発足を報告する牧島行革担当相(行政改革推進本部事務局ツイッターより)

政府の行政改革推進本部は14日、「アジャイル型政策形成・評価の在り方に関するワーキンググループ(以下WG)」の第1回会合を開催した。今後、アジャイル型の政策形成や評価の方法などを検討していくという。

「初めから仕様決めない」アジャイル型

会合には、牧島かれん行政改革担当相、小林史明内閣府副大臣、山田太郎内閣府大臣政務官、千葉県熊谷俊人知事、茨城県行方市鈴木周也市長、民間からは同ワーキンググループの座長を務める東京大学公共政策大学院院長の大橋弘氏、東京大学公共政策大学院教授の川口大司氏らが出席した。

アジャイルとは、日本語で「素早い」や「機敏な」を意味する英語で、システム開発やソフトウェア開発の分野で「アジャイル型開発」と使われてきた。開発の途中で仕様や設計の変更があることを前提として、初めから厳格な仕様を決めないのが「アジャイル型開発」の特徴。最大のメリットは修正や不具合が発生した際の手戻りや、それによるコストが最小限に抑えられる点にある。

こうした「アジャイル型開発」の長所を、経営に取り入れる動きが新興企業を中心に広く見られるようになっている。柔軟性があり俊敏性の高い組織構造にすることで、計画ありきではなく、まず実行してトライ&エラーを繰り返しながら組織を改善していくというものだ。

gerenme /iStock

時代に対応できなくなった政策づくり

日本の政策は、初めに厳格なルールが設定される。「まずやってみて、成果を検証しながら完成度を高めていく」というアジャイル型とは真逆ともいえる考え方だ。

ただ、近年、その考え方に基づいた政策形成では時代の流れの変化に対応しきれなくなってしまっている。先日、自民党の平将明議員が、WEB3.0についての国会質疑で日本の課税のあり方の問題点を次のように指摘している(関連記事はこちら)。

暗号資産のベンチャーがトークンを発行した時にガバナンストークン(運営方針などを決める際の発言権を表したトークン)をある程度持っていないと、経営の主導権を握れない。日本では、キャッシュになっていないにも関わらず時価評価で課税される。この課税があるから、ブロックチェーン界隈のスタートアップや技術者は日本で創業できない。日本で創業したくてもシンガポールなどに行かざるを得ない状況で、物凄い勢いで優秀な人材や有望なスタートアップが日本から流出している。カバナンストークンに対する課税は見直すべきだ。

旧態依然としたルールや仕組み作りが日本の成長を阻んでいるという指摘だ。ただ、平議員が指摘するような問題点は氷山の一角に過ぎなく、政策形成やルール作りを起因として、日本社会のあらゆる場面で目詰まりを起こしている。

たとえば、「鎖国制度」とも揶揄される政府の水際対策のあり方だ。アジャイル型の政策形成であれば、まず外国人の入国を認めたうえで、そのことによってどれくらい影響が表れたのかを評価するだろう。場合によっては入国をストップすることもあるかもしれない。しかし、ただ漫然と外国人の入国を止め続けるようなことにはならないはずだ。

「行政の無謬性」からの転換なるか

現在行われている水際対策は「外国人の入国を止める」という結論ありきで、そのことによってどのような変化が現れたのかさえ検証されない。どうなったら外国人の入国を認められるのかもよく分からない。結果、ダラダラと外国人を拒否するかのような政策が取られ続けるわけである。日本にとってマイナスでしかない。

従来の政策決定のあり方を見直し、アジャイル型の利点をうまく取り入れることができないかを検討するのが、このワーキンググループの役割だ。牧島大臣は、ワーキンググループの開催にあたって次のように抱負を述べている。

私たちの毎日の生活の課題は複雑化しています。迅速に答えを出していかなければならない場面も増えてきています。政策の転換が求められるのだけれど、それがうまく行かない。それはなぜなのか。そこには「行政の無謬性」神話というものがあるのかもしれません。「行政の無謬性」に囚われてしまうと政策の判断が遅れたり先送りされたり、委縮してしまったり硬直化してしまったりする。それをどのように転換することができるのか。こうした根本的な問いに対してとことん議論するのがこのワーキンググループです。ぜひ注目していただきたいと思います

「ぜひ注目していただきたい」とした牧島大臣の言葉にならうわけではないが、ワーキンググループでの議論の成り行きを注目していきたい。

 

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