NHKの“偏向報道”、原英史氏、衆院予算委で「国会における誹謗中傷」訴えるもガン無視
わざわざ「主題ではない」発言を切り取り紹介- 原英史氏が15日、衆院予算委の公聴会で「国会内における誹謗中傷」を問題提起
- 国会の場で取り上げた意義があったのに、NHKは論題と関係のない別の発言を報道
- NHKの受信料制度や組織肥大化への批判は根強い。今回のような報道があると…
政策コンサルタントの原英史氏が15日、衆院予算委の中央公聴会に日本維新の会推薦の公述人として出席し、「国会内における誹謗中傷」を主題に問題提起をした。
しかし公聴会の模様を取り上げた同日のNHKニュースは、原氏の発言の本題とかけ離れたごく一部の話を切り取って報道。「偏向」と批判されても仕方のない異様な記事だった。

国会発言「免責特権の濫用」提起
原氏は、本業のコンサルタント会社のほかに、政府の規制改革推進会議の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)で座長代理を務めてきた。周知のように、2019年6月、毎日新聞に原氏が特区を提案した事業者から不正な指導料をもらったと受け取れる報道(名誉毀損訴訟で毎日新聞側と係争中)をされたのを機に、参院議員の森ゆうこ(裕子)氏から、委員会で「(原氏が)国家公務員だったら、あっせん利得、収賄で刑罰を受ける(行為をした)」と、一方的に断罪する発言をされた経緯がある。
原氏は、森氏による名誉毀損を訴え、ネット上の発信については提訴した。この3月に一審判決の見通しだが、参院の委員会での発言は、憲法51条による免責特権を保障されているため、責任を問うことができない。
国会法106条でも、議員が議会の品位を傷つける言動があったと、議長が認めた場合に規則に基づき発言を取り消させることが規定されているが、実態としては院外の民間人がその内容の訂正・削除を求めることは、発言主の議員本人が訂正を拒否すると、極めて困難なのが実情だ。
こうした制度は議会内の発言の自由を保障するためだが、裏を返せば議員個々の責任、モラルに委ねられている。
原氏はこの日、森氏の発言で受けた被害の経緯を説明した上で、「報道を鵜呑みにした誹謗中傷は一般社会では不法行為」であると訴え、「誤った誹謗中傷を行った時は、国民の代表にふさわしい対応」を要求。
さらに自身の被害を引き合いに、現行制度で免責特権の濫用があった場合について、事実に反する誹謗中傷も免責特権に値するのか、国会議事録の扱いも含めた議論をするよう、場合によっては憲法改正の可能性も含めて要請した。
左派野党支持層や、原氏を推薦した維新を嫌う人などは、原氏の問題提起に冷ややかに見ているかもしれないが、冒頭で「特定の政党、特定の議員の悪口を言うつもりはない」と述べているように、森氏の問題はあくまでケーススタディとしての提示であって、免責特権濫用の問題は、党派を問わずに起きうる話だ。
わざわざ主題を外すNHKの報道
原氏の問題は、筆者がサキシル創刊前から取材してきたことで、予算委の場で提起された意義を強調しておきたい。一方で、おかしいと思うのは左派野党の関係者や支持層がこの問題提起を軽んじていることだけではない。メディアの多くが異様に冷淡なことだ。特にNHKの報道は疑問符だらけだ。
NHKネット向けの配信では「衆院予算委公聴会 専門家がコロナ対策やデジタル化で意見」との題で掲載され、原氏の発言内容を次のように紹介している。
日本維新の会が推薦した政策コンサルティング会社「政策工房」の代表取締役を務める原英史氏は、今後の産業振興の在り方について「デジタルトランスフォーメーション(筆者注・DX)やグリーントランスフォーメーション(同・GX)が進んでいくが、これは『産業革命』だ。新しい社会構造にいち早く乗った企業や国が、その先の数十年、百年の覇権を握ると思う。従来の産業の枠にとらわれた産業振興では、日本は世界の成長に取り残され貧しい国に転落していきかねない」と指摘しました。
念のため、改めて書き置くが原氏の論じたテーマは「国会内における誹謗中傷」だ。意見陳述の冒頭でもこの論題に絞って話すと明言していた。
しかし、NHKは、公述人としての意見陳述の後の自民党議員との質疑の間で述べた、DXやGXの話をわざわざ取り上げた。

この日夜、原氏に連絡を取り、このNHK報道について感想を尋ねると、「誹謗中傷の話は、記者もどう扱ったらよいのかわからなかったのでは」と冷静に受け止めていた。DXやGXの発言があったのは事実だが、わざわざサブテーマの話に振り向けるところに「偏向」を感じてしまうのは筆者だけなのだろうか。あるいはNHKの政治報道は、国会内の誹謗中傷はどうでもいいと思っていて、原氏が手がける規制改革を嫌気する自民党多数派の既得権サイドに忖度したのではないかとすら疑った。
NHKを巡っては受信料制度への不信が強まって久しい。NHKや地上波を映さない受像器が販売されるニュースがあれば、ネットで喝采を浴びる。最新版の財務諸表(令和3年度中間決算)によれば、1000億を超える現預金、3784億円の有価証券を有し、企業の内部留保に相当する「繰越剰余金」は、2000億円にも達する。
これは、ただでさえ6000億円を超える受信料収入の3分の1近くも溜め込んでいるだけではなく、金額だけで、テレビ東京ホールディングスの年間売上高(昨年3月期が1390億円)すら超えている。税金や年金と同じく受信料の徴収が法的に根拠づけられた割に、財務・組織の肥大化が著しいことが批判を呼んできたわけだ。
日本経済新聞は今月4日の社説で、NHKに対し「改革の手を緩めるな」と厳しく注文。「民間と競合するような芸能・娯楽番組を公共放送が手掛ける意義がどれほどあるのか」などと、製作費のかかる大河ドラマ廃止論にもつながりかねない論点にまで踏み込んだのが印象的だった。
NHK改革の話にあまり手を広げると論点が拡散するのでここまでとしたいが、報道への不信が積み重なれば経営改革を求める世論はさらに強くなりやすい。
筆者にとって今回の報道記事は、新聞記者時代から一定度自分の中にあったNHK報道への信頼が音を立てて崩れ去り、ますますNHKのリストラをやってほしいと感じた出来事になった。
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