「技術力ではもう中国に勝てない…」は錯覚!本当に大事なのは技術と特許

連載『対中国 輸出管理のプロに聞く経済安保』#2
ライター・編集者
  • 輸出管理のプロ、風間武彦氏に聞く経済安全保障インタビュー連載2回目
  • 「千人計画」の問題に見る日本の研究環境の根深い問題
  • 技術と特許の重要性。中国側の科学技術力というのはどの程度なのか?

長年にわたり中国のデュアルユース(軍民両用)技術等に関する研究・情報収集を行ってきた風間武彦さん(株式会社 産政総合研究機構代表)に、中国側の技術レベルや社会の仕組み、あるいは「軍民融合」などの国家戦略を聞くインタビューシリーズ。2回目は、経済安全保障における技術と特許の重要性について伺います。

fotoVoyager / iStock

――中国が世界中から研究者を集めて自国の科学技術発展に役立てようとした「千人計画」。一般的には、米中対立が顕著になった2018年ごろから徐々に知られるようになりましたが、風間さんはISTEC所属時代の2015年に執筆を担当された『中国ビジネスに潜む軍事転用・拡散リスク』で早くも言及されていました。

【風間】千人計画は2008年12月に中国政府が打ち出した海外の優秀人材招致のプロジェクトで、この時点で、人民日報の日本版で紹介されていました。しかし当時は、輸出管理に携わっている人以外はほとんど関心を払っていなかったでしょうね。

中国の急成長もあり、アメリカが千人計画に参加している研究者をマークして、中国系の研究資金を得ていたり、中国への機微技術の流出にかかわったなどの場合には、一部は逮捕・起訴されるケースが出てきました。それで日本でも強く意識されるようになりました。

日本の研究環境の根深い問題

――中国へ研究者を出す方もそうなら、中国の研究者や留学生を迎える方も、かなり厳しい目で見られる現状があります。「中国へ行くな」とか「受け入れるな」と言うだけなら簡単ですが、そうもいかない現実もあるのでは。

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