国際政治の理論から読み解く「プーチンの狂気」の向こう側

佐々木れな『国際問題:リアルとセオリーの結節点』#1
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学

【編集部より】目の前の鮮烈な出来事も、学問的に整理してみると、人類が経験してきた過去の出来事との共通する要素を見出し、それが前例のない未来を占うときのヒントになることも。

この連載は、米ジョージタウン大学の外交政策学修士課程で学ぶ傍ら、ツイッターで国際政治学者の論文や海外メディアをもとに時事ニュースを解説し、好評を博している佐々木れなさんが、世界で起きている外交・安全保障の問題を、国際政治学の理論・考え方を使ってSAKISIRU読者の皆様の参考になるような視点を提供します。

GOCMEN /iStock

この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。第1回はロシアによるウクライナ侵略を取り上げる。

ロシアによるウクライナ侵略

ウクライナ危機は、2013年11月、ウクライナでロシア寄りのヤヌコビッチ大統領(当時)がEUとの経済統合強化のための協定を拒否したことに対する抗議デモから始まった。

激しいデモの結果、ヤヌコビッチはロシアに逃亡したが、ウクライナの西側諸国への接近を良しとしないロシアは2014年にクリミア半島を編入した。そしてロシアはドネツク・ルガンスクを含む東部のドンバス地方で親ロシア派の分離主義者が率いる反乱を支援した。

これに対し、米国やその他のNATO加盟国は強い対応をせず、今日に至るまでこれらの侵攻に対する抜本的な解決はなされてこなかった。

この記事は会員限定です。ぜひご登録いただき、続きをお読みください。サブスクなら読み放題です。

 
タグ:
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

人気コメント記事ランキング

  • 週間
  • 月間

過去の記事