【スクープ】講談社フライデーが暴走、町田小6女児自殺取材で渋谷区とトラブル

関係者懸念「調査結果を待たず一方的な報道」
  • 町田の小6年女児自殺問題で、写真誌「フライデー」が渋谷区への取材でトラブル
  • 教育長人事を「天下り」と断じたことなどで区や弁護士が抗議
  • 女児の遺書を入手も「ICT教育がいじめの温床」と“断定”。関係者一人歩き懸念

東京都町田市で小学6年の女子児童が自殺した問題を巡って、講談社の写真週刊誌フライデーが取材先の渋谷区とトラブルになっていることが2日明らかになった。

フライデー側は、亡くなった女児の市立小学校校長が、渋谷区の教育長に就任した経緯について、公職の転任にもかからず、「天下り」と決めつけるなどのずさんな取材を行い、区や教育長の代理人弁護士から抗議を受けた。

「フライデー」の発行元、東京・音羽の講談社(画:ニックジャガー/PhotoAC)

複数の関係者によると、フライデーは2月末、渋谷区に対し、質問状を送付。複数の質問があり、その一つが「当時の校長が渋谷区の教育長へと天下りしたのは人事として問題があったのではないか」という趣旨で、改めて人事の適格性を問いただしたという。

一般的に「天下り」とは、国家公務員などが、所属先の官庁が許認可権限を持っているなど、関係の深い業界の企業や特殊法人に再就職することを指し、「公職→民間」の転身と解釈するのが通例だ。

しかし、渋谷区の教育長人事は公立学校の校長から自治体の教育長に転身した「公職→公職」のケースであり、「天下り」と断じるのは一般通念と乖離がある。また、自治体の教育長は昨年4月、岐阜県では25年ぶりに教員出身者が就任したように教員出身よりも行政職出身者の方が多かった。近年は広島県のように民間企業出身者の登用が行われるなど、人材を多様化して時代にあった教育環境づくりを進める自治体も増えている。

渋谷区の教育長人事については、本サイト既報通り、ICT教育を推進する上で、国のICT教育推進の委員を務めるなど第一人者だった元校長を招聘した経緯があり、異例だった。区は1日、フライデー側に対し、「適正な手続きを経て適法に任用しており、天下りという言葉は不適切」と反論した模様だ。

関係者によると、フライデーの取材は編集部の岡田大雅氏と専属契約記者の岩崎大輔氏らが担当。岡田氏は、週刊現代などを経てフライデーに所属。「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」幹事を務めるなど“業界キーパーソン”の1人だ。岩崎氏は、政治やスポーツに関する著作もあるベテランのノンフィクションライター。質問状は、岡田氏、岩崎氏の連名で送付されたという。

フライデー「ICT教育がいじめの温床」

フライデー側は町田市内にも取材をかけており、本サイトが既報した女児の遺書のコピーを入手している模様だ。

この問題では、女児の死因がいじめにあったとして、新聞、テレビ、大手週刊誌などがセンセーショナルに報道し、児童や学校関係者、教育行政、地域社会にも重大な影響を与えたが、「町田市教育委員会いじめ問題対策委員会」の「重大事態調査経過報告書」は、「いじめ以外にも原因があった可能性」を指摘。実際、女児の遺書には、同級生との関係性への悩みだけでなく家庭内にも問題があったことを伺わせる記述があった

しかし岡田、岩崎両氏は、渋谷区への取材に際して「遺書には親御さんへの不満も記してあるが、いじめを受けた実態が記されていた。教育長が旗振り役となった ICT教育がいじめの温床となっている」という趣旨の見解を示していたという。

Yagi-Studio/iStock

いじめの背景については、先述した町田市教委の「いじめ問題対策委員会」の調査に加え、現在は市長部局で立ち上げた別の第三者委員会「いじめ問題調査委員会」が調査中で、「報告書は新年度に入るまでかかる見通し」(関係者)だ。渋谷区はこうした状況から「前提となる事実関係について、調査が継続中」との考えをフライデー側に伝え、慎重な取材を期すように要請した模様だ。

かつて大々的に報道した他のマスコミの記者らにも遺書の内容は把握されたことで、調査委の報告が出るまで静観する動きが増えている。そうした中で“周回遅れ”のフライデーの動きに対し、関係者の1人は「当事者の人権にも関わるだけに、調査結果を待たずに一方的な報道をしてしまうのではないか」と強い懸念を示している。

サキシル編集部は、講談社広報室に対し、事実関係の確認や取材の狙いについて質問したが、期限までに回答はなかった。今後回答があった場合は追記する。フライデー次号は4日金曜発売。果たしてどう対応するのだろうか。

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