読売新聞「中国全軍が戦争準備」はミスリード?
有識者「昔から繰り返し使ってる決まり文句」指摘- 読売新聞オンラインが報じた「全軍が戦争準備」記事が物議
- 危機感を覚える人が続出する一方、専門家の間から疑問の声
- 「戦争準備」は従来から使い続けている決まり文句とのこと
読売新聞オンラインは8日、<習近平氏、国際情勢緊迫で「全軍が戦争準備を」…軍を海外派遣する根拠法を整備へ>との記事を掲載した。記事によると、習近平国家主席が軍と武装警察に対し、「海外関連の軍事活動に関する法治作業の加速」を指示。「中国軍を海外に派遣して活動させる根拠法の整備を進める意向とみられる」という。

ロシアによるウクライナ侵攻が止まらず、国際情勢が緊張するなかでの中国の「戦争準備」報道。非常に不穏なものを感じさせ、日本でも多くの人が憂慮を示した。
自民党の細野豪志衆院議員は、「習近平氏が『海外関連の軍事活動に関する法治作業の加速』で意味するところは何か注視が必要」と指摘。
習近平氏が「海外関連の軍事活動に関する法治作業の加速」で意味するところは何か注視が必要。 https://t.co/y5Z4IyyxQC
— 細野豪志 (@hosono_54) March 8, 2022
ネットユーザーからも、次のような投稿があった。
習近平氏が国際情勢緊迫で「全軍が戦争準備せよ」と指示するとともに、人民解放軍を海外派遣する根拠法を整備へ。このどさくさの中、台湾・尖閣への侵攻の機会を虎視眈々と狙っているのではないか。
お隣の国の首席が『全軍が戦争準備している』と発言しているこの時に、日本は何をしてるのか。
中国が戦争準備のため法整備でアメリカは対ロシア行動発表って、これもう他人事じゃないよ普通に第三次世界大戦起きてもおかしくない緊張状態
だが、専門家の間からは、読売新聞記事に疑問の声があがっている。中国事情に詳しいジャーナリストの高口康太氏は、「これだけの文言で軍を海外派遣する根拠法を整備へという本記事の読解はミスリードといわざるを得ません。実際、この読み解き方をしているのは世界で読売だけなのではないか、と」と指摘。戦争準備の文言は、中国が「昔から繰り返し使ってる決まり文句」と解説した。
いわゆるデュアルユースなど軍事転用可能な民生技術が焦点となっていることを指した発言と思われますので、これだけの文言で軍を海外派遣する根拠法を整備へという本記事の読解はミスリードといわざるを得ません。実際、この読み解き方をしているのは世界で読売だけなのではないか、と。
— 高口康太 (@kinbricksnow) March 9, 2022
中国情勢に詳しい戦略科学者・中川コージ氏も、「『戦争準備』的なもんじゃないですぬ。仮に戦争仕掛けたいなら彼らは法体系スルーするわけで。むしろ、強いて好戦的か平和的か、で分けてしまえば、平和的な話題。なので読売の解説はNG」と説明。
↓コレですよぬ。https://t.co/4xmLa3E1h1
従前の法治体系(政法体制改革)と軍制改革の統合延長線上にある話で「戦争準備」的なもんじゃないですぬ。
仮に戦争仕掛けたいなら彼らは法体系スルーするわけで。
むしろ、強いて好戦的か平和的か、で分けてしまえば、平和的な話題。なので読売の解説はNG。 https://t.co/xS1EcwwKaL— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) March 9, 2022
中国人ジャーナリストの周来友氏も、「すでに2013年頃から軍事会議や全人代では頻繁に発言しておりお決まりのセリフとなっています。ウクライナ情勢を意識して中国が戦争準備を開始するという報道には違和感が……」と指摘した。
現在行われている全国人民代表大会で、習近平主席が「戦争準備(军事斗争准备)」について言及したとの報道がありますが、すでに2013年頃から軍事会議や全人代では頻繁に発言しておりお決まりのセリフとなっています。ウクライナ情勢を意識して中国が戦争準備を開始するという報道には違和感が…… pic.twitter.com/IA15Zn9e6P
— 周来友オフィシャル(本人&スタッフ) (@ZhoulaiyouStaff) March 8, 2022
ほかにも
これ、中国語が分からなくても一発で「どこか奇妙」だと思って欲しい記事よ。だって、ジブチに中国はすでに自国の軍隊でてるし。PKOにも中国は派遣してるのよ。これらを踏まえて、今まで人民解放軍が国外で活動する法的根拠無かったの?ってツッコミを入れなきゃ。
と指摘したネットユーザーもいた。「戦争準備」という個々の発言だけに注目すると恐ろしげに聞こえる言葉だが、全体の流れや過去の経緯を含めて捉えると、“通常運行”の範囲だった模様だ。中国政治を読み解くのは、容易ではなさそうだ。
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