グテレス事務総長「核戦争が起こり得る」、日本でも普及が急がれる「核シェルター」

スイスは普及率100%、我が国のマーケット事情は?
ライター/SAKISIRU編集部
  • ロシアのウクライナへの侵略で国連事務総長「核戦争が起こり得る」
  • 日本でも核シェルターに関心。スイスなど普及率100%、日本は…
  • 「ふるさと納税」の返礼品に入れる自治体も。メーカーの動向は?

国連のアントニオ・グテレス事務総長は14日の記者会見で、「かつては考えられなかった核戦争が今や可能性があるところまできてしまっている」と述べた。ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて、「核戦争が起こり得る。骨が凍り付く展開だ」と強い危機感を示した。

この発言を受けて、ネット上でにわかに注目を浴びているのが、核シェルターだ。ツイッターでは、次のように核シェルターの配備を国に要望する声が目立った。

日本でも注目度上昇の核シェルター(meteo160/iStock)

国防予算を増やすなら、まず全国民収容可能な核シェルターを建設しろ!

核シェルターは核攻撃の為だけでは無く、あらゆる災害から国民が避難する為の防災施設

爆弾から命を守る核シェルターの配備を

公共機関の建物は防空壕&核シェルターを完備にすべきではないでしょうか?

立憲民主党前衆院議員の亀井亜紀子氏も、ツイッターで核シェルターの必要性を指摘した。

キエフが攻撃された時、市民は地下鉄の駅に逃げ込んでいた。島根には地下鉄がなく、どこに逃げる?と考えた。戦前のように防空壕もない。チェルノブイリが攻撃された今、スイスのように核シェルターを地域や家庭に配備すべきだと思う。原発は安全だと主張する人も他国からの爆撃は想定外だろう。

ふるさと納税の返礼品に「核シェルター」

需要の急速な高まりを受けてか、「ふるさと納税」の返礼品に核シェルターを採用した自治体もある。

茨城県結城市は、今年から「防災核シェルター」を返礼品として採用した。幅2メートル、奥行き4メートル、高さは2.15メートルで、寄付額は2090万円と、結城市の返礼品としては最高額だ。

茨城県結城市がふるさと返礼品で出品した核シェルター(「ふるなび」より)

また、栃木県矢板市も結城市より一歩先んじて昨年からふるさと納税の返礼品に核シェルターを採用している。19.8平方メートル (6坪)の容量で、空気ろ過機や気圧調整弁、バイオトイレを備える。寄付額は1億円に上るが、実際に昨年、1億円のふるさと納税を申し込んだ個人がおり、返礼品として核シェルターが贈られたという。

スイスの普及率が100%、日本は0.02%

スイスの核シェルター(PieroAnnoni /iStock)

日本核シェルター協会の調査によると、スイスでの核シェルターの普及率は100%に上る。スイスは、民間・公共を問わず、新たに建設される大型ビルには地下に核シェルターを設置することが義務づけられている。また、長らく戦争状態にあるイスラエルの各シェルター普及率も100%だ。

ノルウェーは98%、アメリカが82%、イギリスも核シェルターの普及率は67%に上る。北朝鮮との戦争が未だ正式には終わっていない韓国・ソウル市に至っては、人口の300%をカバーする核シェルター施設を備えているという。

翻って日本はというと、核シェルターの普及率はわずか0.02%にしか過ぎない。1万人に2人しか核シェルターに避難できない計算になる。

立憲民主党の熊谷裕人参議院議員が2019年、「わが国は唯一の被爆国であり、周囲を中国、ロシア、北朝鮮などの核保有国に囲まれているにもかかわらず、核シェルターの普及が全く進んでおらず、議論すら行われていない」と指摘したうえで、核シェルター普及への具体的な取り組みを政府に申し入れた質問主意書を提出している。しかし、この質問主意書をきっかけに、日本で核シェルターの普及が進んだという話は聞かれない。

コロナ禍で問い合わせ3倍の企業も

とはいえ、日本でもここ数年、核シェルターの注目度が高まってきているのは事実だ。輸入住宅の建設を手掛けるアンカーハウジング(神奈川県川崎市、吉山和實社長)が提供する「住宅用防災シェルター」はコロナ禍の影響による、危機意識の高まりを受けて、2020年の問い合わせ数は前年の3倍になったという。

日本での核シェルターシェアトップのワールドネットインターナショナル(東京都港区、中嶋広樹社長)が販売する室内設置型シェルターは、機能の高さや780万円からという低価格で、日本はもとより世界中から注目を集めている。

政府主導ではなく、あくまで危機感を覚えた個人が核シェルターを製造するメーカーへ問い合わせているのが現状だ。しかし、核戦争が起きることが否定できなくなった今、日本も政府が主導して、核シェルターの配備を本格的に進めていくべき時に来ているのではないだろうか。

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