ゼレンスキー大統領演説の専門家の評価は?小泉悠氏「成功と評すべき」

国際政治の専門家、主なツイート反応
ライター/SAKISIRU編集部

ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、日本の国会でオンライン形式の演説を行った(AIによる全文起こしはこちら)。戦時下にある大統領が日本の国会で、しかも史上初めてのオンライン演説を行うということで、国内外から大きな注目を浴びた。ツイッターでも、「ゼレンスキー大統領」「同時通訳」「ウクライナ語」といった、今回の演説に関連するキーワードがトレンドに並んだ。

衆院議員会館第1の国際会議室で行われたオンライン演説(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

アメリカの連邦国会でゼレンスキー大統領が真珠湾攻撃を引き合いに出したことで、演説前には保守派の一部などから、その内容を危惧する意見もSNSでは見られた。しかし、演説後にSNSを確認する限り、ゼレンスキー大統領の演説内容を高く評価する声が圧倒的多数で、専門家の多くも同様の評価だったようだ。

東野氏「よく考えられている」

筑波大学准教授で国際政治学者の東野篤子氏はゼレンスキー大統領の演説終了直後に、演説の要約を連続ツイートした。

・日本への支援の感謝
・日本はアジアのリーダー。早い段階で連帯を表明してくれた
・チェルノブイリに長めに言及(「放射能事故があった場所が戦場に」)。またザボリージャなどの他の原発にも言及
・化学兵器使用の恐れ(シリアにはっきり言及)」

また、演説の内容については、次のように評価した。

非常に練られたスピーチ。ロシアに対する一層の経済圧力は要請したものの、あえて具体的な方策には踏み込んでいませんし、言及のしかたもマイルド。国連をはじめとした国際機関がこの危機を前に機能不全状態にあること、その改革で日本の力を借りたいという部分も、よく考えられているかと。

国際政治学者で東京外国語大学教授の篠田英朗氏は、ゼレンスキー大統領はもとより、大統領周辺のスタッフの手腕を評価した。

日本語で「平和」の部分が公式英訳で「Security」になっているなど、またニュアンスが違いますね。原文がわからないので確定的には言えませんが、英語がオリジナルではなく、むしろ英文の読者層を日本人以外と想定しているため、微調整しているのでしょう。プロ集団だね。

小泉氏「日本の安全保障体制を見直すよいガイドライン」

東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏はツイッター(アカウント名「人」)で次のようにツイートしゼレンスキー大統領の戦略を評価した。

「ゼレンシキー演説、日本からはどうせ軍事力による支援は来ないのだから、一歩間違えると反発を買いかねない話題は(うまくどハマりすると激烈な共感を呼ぶかもしれないけど)封印して、可能な限り感じよく振る舞うという戦略であったとすれば、あれはやはり成功と評すべきであろうぬ

SNSでは、同時通訳の力量を揶揄する声が少なくなかったが、小泉氏は「ベストを尽くした」と評価する。

あと同時通訳について。同時通訳というのは逐次とは全く違うスキルであるようで、ロシア語でさえ一流の同時通訳者は何人も居ないらしい。ましてウクライナ語の同時通訳なんて1人が食っていくだけの需要が平時から存在しているのかも怪しく、そういう中で通訳陣はベストを尽くしたのではないか

さらに、近い将来、日本が有事に陥った時、今回のゼレンスキー大統領の演説を含めたパフォーマンスは参考になるとツイートした。

いずれにしても近い将来に有事となったとき、日本が今次のウクライナ並みのパフォーマンスを発揮できるかどうか、というのは現在の日本の安全保障態勢を見直す上でのよいガイドラインになるだろうぬ

慶応大学教授で国際政治学者の細谷雄一氏は、日本が果たせる役割に注目し、次のようにツイートした。

事前には、戦争の方々に加担することになるのでゼレンスキー大統領の国会演説を認めるべきではない、という批判が強くありました。結果として終わってみれば、むしろ戦争終結のため、あるいは戦争終結後の復興のために日本の力を貸してほしいという、平和と復興のための日本の役割を期待する演説。

これから、より精緻な分析がさまざまな専門家から出されるだろうが、演説から一夜明けた現時点でも、ゼレンスキー演説からさまざまなことが読み取れそうだ。

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