ウクライナ紛争の遠因は、政治的歴史論とソ連解体時の外交的失敗

【連載】八幡和郎『タブー排除!ホンネで論じるウクライナ問題』(前編)
評論家、徳島文理大学教授
  • ウクライナ紛争で一方が全て正しいのか?両国の本音と利害をえぐる
  • 両国の歴史を概観。「歴史観は政治的な立場で創られる」と八幡氏
  • ソ連解体後の「無理」がたたったのも遠因。責任はロシアだけなのか?

ウクライナ紛争ほど、誰がどうして戦争にしてしまい、誰がこれからどうしたいのか理解に苦しむ話はない。両国の国益はそれほど深刻に対立するようなものでないし、落とし所の見当もつくのに、凄惨な戦争になって、世界経済にも大打撃を与えている。

日本の国会でオンライン演説するウクライナ・ゼレンスキー大統領(AP Photo/Shuji Kajiyama)

日本のマスコミでは独裁体制のロシアが民主主義的なウクライナを圧迫してきたという歴史観で両国関係をとらえようとしているが、それは正しくない。

今回のプーチンの軍事行動は、真珠湾攻撃が暴挙であるのと同じように弁解出来ないが、これまでの経緯についてウクライナ側の言い分がすべて正しいわけでもなく、米国やEUが無用にロシアを追い込んだともいえる。本稿では、分かりやすく、対立の大きな構図と、当事者それぞれの本音と利害は何かを、大胆に単純化して説明しようと思う。

前史:ロシアとウクライナの成り立ち

ロシアとウクライナは、キエフ大公国をルーツとする兄弟国家で、兄貴分はウクライナだと思っている人がいるが、それは間違いだ。

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