橋下氏の「ミンスク合意」認識に、識者らの批判止まらず

SNSでは連日、「ロシアの回し者」呼ばわりも

ロシアのウクライナ侵略を巡る発言で炎上が続く元大阪市長の橋下徹氏が、今度は「ミンスク合意」を巡る発言でネットでの批判を招いている。

今回の騒動の発端は、国際政治学者の篠田英朗氏の29日夜のツイート。ここまで論争中の橋下氏を再び批判するような投稿をしたところ、橋下氏が即座に反応。「心底頭悪いな。俺はあなたのような戦う一択ではないと言い続けてきた」と篠田氏に反論した上で、「争点はウクライナの中立化やから政治的妥結の話だと。中途半端な武器の供与でウクライナを犠牲にして西側の安全を確保するのは卑怯だと。西側の政治家はウクライナを支援しているように見せかけて実は犠牲にしている」と自らの正当性を強調した。

そして140字で持論が収まらず、立て続けに自己リプライを重ねた中で和平交渉にも言及。「そもそもこの中立化は戦争なんかやらなくてもNATOとロシアで政治的に決着する話。どうせウクライナを加盟させる意思もないのにこの2月にアメリカが突っぱねたことにも責任がある。ウクライナもミンスク合意の履行に力を尽くすべきだった。ロシアの軍事侵攻が一番悪いが政治で回避できた話や」と、ウクライナにも一定の責任があるとの持論を展開した。

橋下氏が触れた「ミンスク合意」とは、2014年から同国軍と親露派の武装勢力がウクライナ東部で繰り広げてきた紛争を停戦するため、ロシアとウクライナ、さらにドイツ、フランスも加わって、2015年2月、ベラルーシの首都ミンスクで調印した和平合意だ。

しかし、合意後も両国で解釈の隔たりがあり、特にウクライナ側は、ロシアの実効支配がさらに進んでいると主張。ウクライナ国民の間でも合意内容への不満が根強く、ブルームバーグによると、昨年12月に行った世論調査で、75%の国民がミンスク合意について「修正」や「放棄すべき」と回答し、履行すべきとの考えは12%にとどまっていた。ゼレンスキー大統領は、こうした不信感を背景にドローンによる偵察や分離独立を進める親露派武装勢力への反撃を開始。こうした経緯があることから、橋下氏はウクライナにも批判的と見られる。

そして、この橋下氏の「ウクライナもミンスク合意の履行に力を尽くすべきだった」とのツイートに、こちらも橋下氏と論争中の在日ウクライナ人評論家、ナザレンコ・アンドリー氏が「ロシアはミンスク合意の履行に何の力を尽くしましたか?ご存知だと思いますが、「ロシア軍の撤収」と「親露派武装組織の非武装化」もミンスク合意で定められていました。相手側が具体的に何の条項を履行しましたか? ウクライナ(※投稿では国旗マーク)だけ譲歩しろとでも?」と猛反発。

これに対し、橋下氏は「そこはその通りです。ミンスク合意はロシア も力を尽くすべきでした」と一部認めたものの、「軍事侵攻したロシア が一番悪いですが、ただこういうセンシティブな合意については破棄の主張は政治的メンツの均衡を崩しやすい。ここは勇ましい主張を抑えながらの政治の力が必要なところです」と述べ、改めてウクライナ側にも問題があったの認識を示した。

橋下氏の主張は、戦争による一般国民の犠牲をできるだけ最少化すべきとの考えによるが、橋下氏に批判的な人たちからは、ロシア側の主張に一部おもねっているように映るようだ。

ウクライナ国営メディア「ウクルインフォルム」日本版編集者の平野高志氏は「鈴木宗男議員に続き、橋下徹氏も、『ミンスク諸合意をウクライナが履行していなかった』というロシア発偽情報を用いて、今次戦争で『ウクライナにも非がある』かのようなロシアを少し擁護する主張をしているんですね」と呆れたようにツイート。

ヤフーニュース個人にも寄稿している軍事ライターのJSF氏は「橋下徹は『ロシアが一番悪い。しかし』と一言だけ前置きした後に激しいウクライナ批判を繰り返すので、前置きがほぼ意味を成していない」と厳しく批判していた。

一般のネット民からも連日、

橋下徹はロシアの回し者なのか?

また橋下徹がウクライナ関連で訳の解らない事言ってるよ。こいつロシアの回し者じゃねぇの?

との非難が噴出し続けているが、和平交渉で停戦の兆しも見えてきたことで、一連の論争に変化は生まれていくのだろうか。

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