東証プライムが誕生、「骨抜き」懸念も世界からの投資を呼び込めるか

“ご祝儀相場”はあったのか?投資家の反応は...
ライター/SAKISIRU編集部

1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場で編成されていた東京証券取引所の市場が4日、新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編された。東証の市場区分の大規模な再編は、2部を新設した1961年(昭和36年)以来約60年ぶり。

再編スタートを切った東証(winhorse /iStock)

東証CEO「投資家から見て利便性の高い市場区分に」

東証は今回の市場再編で、世界の投資家に東京市場の魅力をアピールし、時価総額の底上げを目指すとしている。東証を運営する日本取引所グループの最高経営責任者(CEO)の清田瞭氏は、2日に放送されたBS-TBSの番組で再編の狙いを次のように述べている。

現在の東証一部は、トヨタ自動車のような時価総額が40兆円あるような企業から、東証一部上場廃止の基準に抵触しそうな時価総額10億、20億といった小さな企業まで玉石混交でコンセプトが分かりにくくなっている。市場区分の性格が非常に分かりにくい。市場区分の性格を明確にすることで、投資家から見て利便性の高い市場区分に作り替える必要があった

ただ、東証1部2185社のうち8割強にあたる1839社が「プライム」に移行することに「骨抜き」を懸念する声は強い。外国人投資家の動向に詳しい、みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、日本経済新聞の取材に「あまりにマイナーチェンジすぎて海外勢は見向きもしていない」と述べている。

投資家も同様の見方だ。海外銘柄を中心に取引を行う日本人投資家(40代男性)は、サキシルの取材に「市場再編に関しては、前々から分かっていたことなので、影響はほとんどないのでは。日本市場に特に明るい材料もない」と冷めた様子だった。

投資家「ご祝儀相場のごの字もない」

大方の予想通り、前場を見る限り再編による好影響はほとんどないように見える。2万7646円で始まったこの日の取り引きは、取引開始直後の9時15分に2万7685円に上昇したがその後、一進一退の状況となった。11時時点の日経平均は、2万7670円。

ご祝儀相場を期待した投資家は今のところ肩透かしを食った形だ。ツイッターの反応を探ると、

ご祝儀相場のごの字もないんですけど

日経、今日はご祝儀相場になるかと思ったけど、ご祝儀相場ないのね…。

新市場が立ち上がったけど朝の時点で日経は冴えない動き。ご祝儀相場なんてなかった

ご祝儀相場にも成らない程日本経済が冷え切ってるんだよ。

などと落胆ムードが漂っていた。

取り引き開始直後に小反発したのも、東証再編の「ご祝儀相場」ではないとの見方が強い。投資信託など、ファイナンシャルサービス事業を展開するモーニングスターは、株価の値上がり理由を「週末の米国株式が上昇した流れを受けたもの」と分析。前出の投資家も「先週のアメリカ株の値上がりではないでしょうか」との見方を示していた。

日本市場の株式時価総額はアメリカ、中国に次いで世界第3位だ。しかし、アメリカ、中国との差は年々広がっている。さらに、世界4位の香港との差も詰まっている。東証の狙い通り、今回の再編で世界からの投資を呼び込むことができるか。

 

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