経済安保法案に賛成も…ウクライナと与党に“救われた”立憲民主党

“責任政党”として主体的な政策形成だったのか?

衆院内閣委員会が6日、経済安全保障法案の採決を行い、賛成多数で可決した。法案は7日の衆院本会議で通過し、参院に送られる見通しだ。岸田政権の「目玉政策」でもある同法案に対し、自民・公明の両与党はもちろん、維新、国民が賛成に回り、共産が反対に回るのは規定路線通り。

むしろ、注目だったのは野党第1党である立民の出方だ。ウクライナ紛争で世の中が「有事」モードになる中、旧民主党時代以来の政権奪還をめざす上で党内の護憲左派のトーンを抑え、現実的な安全保障政策への対応ができるのかが問われたが、結果としては賛成に回った。

衆院内閣委で、経済安全保障関連法案は賛成多数で可決、本会議へ(6日、衆院ネット中継)

立民は昨秋の衆院選で惨敗し、当時の枝野幸男代表が辞任。中道派の泉健太氏が後継の代表に就き、安全保障政策について軌道修正があるのか注目された。アメリカと中国の対立激化で、日本も経済安全保障の法整備が迫られていたが、泉氏は2月の段階で「必要性は当然我々も認めている」としながらも、重要インフラの事前審査など法案内容に一部難色を示していた。

さらに法案の責任者だった藤井敏彦前内閣審議官が、無届けの兼業で約1600万円の報酬を得たことなどが発覚し、停職12カ月の処分を受ける事態が発生。これを機に、立民は、いつもの“スキャンダル追及モード”になりかけ、反対する可能性も取り沙汰された。

しかし2月下旬にロシアによるウクライナ侵略戦争が勃発し、開戦直後にはトヨタ自動車の主要取引先である部品メーカーがサイバー攻撃を受け、工場が一時停止し、日本でも「有事」が他人事でなくなった。

今月1日には、「基本理念の新設と特定重要物資の指定で事業者の意見を聞くことを盛り込んだ修正案」(党サイト)を提出する方針を表明。しかし国会では多勢に無勢。多数派の自民・公明などを前に、この修正案が通る見通しはないまま、立民は採決の期日が迫っても態度が煮えきれない状態が続いた。

距離の近い朝日新聞が「立憲、経済安保法案に賛成へ」と報じたのは採決当日の朝刊だった。朝日によれば、与党側が、立民の求めている「事業者の事業活動における自主性尊重」などを法案の付帯決議に盛り込んだことで賛成に転じることになったという。

立民・泉代表(1日の記者会見:立民公式YouTubeより)

法案の必要性や意義を厳密に検証して政策を検討するというより、スキャンダルやウクライナ戦争に振り回された末に、最後は与党の秋波が出てようやく賛成に舵を切ったことからすれば、主体的な政策形成だったと言えるのだろうか。

今週初め、岸田政権発足半年に際して報じられた報道各社の世論調査は軒並み、内閣と自民党の支持率は堅調に高止まり。一方、立民は執行部交代の効果はほとんどなく低空飛行が続いている。今回のように重要法案の採決に際しても、海外情勢と与党に助けられ、“責任政党”の面目を保つのがやっとという体たらくでは、参院選を政権交代への一里塚にすることなどとても望めそうにない。

 

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