香港トップ林鄭長官リタイアへ…地元メディアが「いつか懐かしむかも」と書くワケ
民主派市民「とっとと失せろ」、次期行政長官、有力候補の人物像は?- 香港トップの林鄭月娥行政長官が次期選挙への不出馬を表明
- 地元メディアは「働きぶりは決して理想的だったとは言えない」と低評価
- 時期トップは警察出身者が有力視、社会環境の悪化を危惧する市民も
香港トップで在任中は動乱続きだった林鄭月娥行政長官が4日、次期行政長官選挙(5月8日投票)への不出馬を表明した。6月30日で5年間の任期を終え、42年間続いた官僚生活と政治家人生からリタイアするという。
退任会見では、次のように話した。家庭の事情が、不出馬を後押ししたという。
「私がもっとも優先して考えるべきは、家族のことです。家族からは『もう家庭に戻ってもいいんじゃないか』と言われています」
「過去の長い間、家族は黙って私のことをサポートしてくれました」
香港メディアによると、林鄭氏は21年初めには中国政府に不出馬を伝えていた。任期中には大規模デモが発生し、「香港復帰から現在までの間に起きたもっとも厳しい挑戦であり、前代未聞のことだった。これには議論の余地はないと思う」と振り返った。
香港メディア「シャンパンを開けられるとは…」の意味
不出馬の表明後、香港メディアの「香港01」は「林鄭月娥が任期満了 香港市民はシャンパンを開けられるとは限らない」との記事を掲載。香港01は、創業者はやや親中派とされるが、現場記者の多くは民主派寄りと見られている。
「シャンパンを開けられるとは限らない」との見出しは、言い換えれば「喜べるとは限らない」という意味であり、言わば、林鄭氏が辞職することを香港市民が喜ぶという前提で語られている。記事中では、
「(2019年に大規模デモへとつながった)逃亡犯条例改正問題や社会的騒乱に直面し、コロナウイルスの蔓延などの挑戦があったが、林鄭月娥の働きぶりは決して理想的だったとは言えない。デモへの対応は乱暴であり、社会的な要求にも十分に対応できなかった。改正案の撤回もなかなか決断できなかった」
と評価。1997年の香港返還以降、林鄭氏は4人目の行政長官だった。記事では、過去3人のトップたちも決して評価は高くなかったが、林鄭氏の評価はさらに低かったと説明した。
「それでも、一部の市民たちは『前の3人ほうがまだ良かった』と語っていた。林鄭月娥はそれよりも酷いという意味で、『過去のトップが懐かしい』と皮肉っていたのだ」
市民の反応は?次期長官有力候補の人物像は?
それでも林鄭氏の辞任は喜べないという。
「李家超の出馬が伝えられると、市民の間では『将来は林鄭月娥を懐かしむことになるかもしれない』との声が出ている」
行政長官に次ぐナンバー2である政務司長の李家超氏は香港警察の出身で、治安維持のトップである保安局長を経験。2019年には香港警察を指揮し、強権的な取り締まりを行った。李氏が時期トップとなれば、林鄭氏をも懐かしむ時代になるのではないかと懸念されているわけだ。
林鄭氏の退任についてどう思うかと民主派の香港人女性に取材すると、「とっとと失せろ、無能なやつ」とコメント。香港デモでは、市民感情と乖離した政治を行う林鄭月娥に対し、「林鄭無能」とのスローガンがしばしば叫ばれた。一方、現在は親中派寄りだという60代の香港人男性は「特に何とも思わない。政治の自然な流れだ」と淡々と答えた。
林鄭月娥は、香港の社会的動乱の象徴的な人物だったとも言える。かの地は再び時代の節目を迎えているのかもしれない。
関連記事
編集部おすすめ
ランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
- 「子どもに会いたければ正論はダメ」実子誘拐被害者を追い込む、裁判所実務
- 【スクープ】「町田小6いじめ自殺」新事実浮上、真相解明のカギ握る遺書
- 自衛隊が宗教を避けてきたからこそ、隊員を脅かす「洗脳リスク」
- 「毎日新聞としておわび」記者のSNS炎上、問題の投稿を削除・謝罪
- ウクライナ軍が領土奪還も、逆に膨らむロシア「戦術核」使用への懸念
- 「Tポイント」と「Vポイント」統合、加盟店離脱相次ぐ「Tポイント」は起死回生なるか
- Colabo問題、都議会で自民が追及するも、小池知事は福祉保健局長に“丸投げ”
- 【スクープ】町田小6女児自殺“延焼”、謎の学生団体が学校前デモ敢行で、渋谷区と保護者激怒
- ライドシェア解禁再燃、「タクシー王子」川鍋 vs「Zホールディングス」川邊の神経戦
- 町田小6女児自殺:講談社フライデー、岡田・岩崎両氏の悪質極まるフェイクとミスリード
- 【スクープ】「町田小6いじめ自殺」新事実浮上、真相解明のカギ握る遺書
- 「子どもに会いたければ正論はダメ」実子誘拐被害者を追い込む、裁判所実務
- 防衛費増額なのに…弱体化した防衛産業をどう立て直していくか
- 安芸高田市長にヤッシーが喝!田中康夫氏「やり方が下手っぴ。頭でっかちな偏差値坊や」
- 「共同親権」報道訴訟、SAKISIRU・西牟田氏が一審勝訴
- 「24時間、僕の社長室は3シフト制」ソフトバンク孫正義社長の発言が話題
- 「女性限定公募」は差別なのか? 〜 理系の女性研究者が少ない理由
- 町田小6女児自殺:講談社フライデー、岡田・岩崎両氏の悪質極まるフェイクとミスリード
- 「AV新法」で業界は死活問題。それでもDMMがダンマリな背景
- 5%減税でも…名古屋市の市税収入増加に注目。河村市長「減税で経済を盛り上げる」
- 「共同親権」報道訴訟、SAKISIRU・西牟田氏が一審勝訴
- 「毎日新聞としておわび」記者のSNS炎上、問題の投稿を削除・謝罪
- 毎日新聞記者のSNS炎上を巡る同社への質問状公開
- ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトの正体がついに判明 !?
- 福原愛さん代理人弁護士の声明文に、紀藤弁護士「意味不明な見解」
- 安芸高田市長にヤッシーが喝!田中康夫氏「やり方が下手っぴ。頭でっかちな偏差値坊や」
- 防衛費増額なのに…弱体化した防衛産業をどう立て直していくか
- トヨタ「エース社員」退社続出は、“改革者”の豊田社長についていけないからなのか?
- 東京23区の格差がネットで話題、1位の港区と23位の区の差は半世紀で倍に拡大
- 小学校に寄付をしたら確定申告を:寄附金控除のしくみ
特集アーカイブ
人気コメント記事ランキング
- 週間
- 月間