緊急連載:ワクチン架空予約、時代錯誤の「朝日脳」には厳罰を(下)

あのころ朝日新聞があった #3
朝日新聞創業家
  • 朝日系ネット媒体、毎日による架空予約問題で、村山氏による緊急寄稿の続編
  • 最悪の場合、正当な予約を消す可能性も?記者は様々なことを十分検討したか?
  • メディアだけでなくハッカーの追随を招くことにも。村山氏「厳重な処罰を」

(編集部より)新型コロナワクチンの大規模接種予約システムの問題点を検証しようと、朝日新聞系の「AERA.dot」と毎日新聞の記者が、架空予約をして報道。これに岸信夫防衛相が抗議し、実兄の安倍晋三前首相が「悪質な妨害愉快犯」とツイートしたことが波紋を広げています。この問題を受けて、SAKISIRUで「朝日脳」をテーマに連載中の村山恭平氏が、緊急寄稿します。(2回連載:上はこちら

10年ほど前にはこんなキャッチコピーが話題に…(MIKI Yoshihito/flickr)

「常識」があればできない行為

今回の問題で一番心配なのは、記者が何を根拠に「自分の入力する番号は架空だ」と判断したのか、ということです。

大した理由もなく、適当に数字を入れて架空だと思い込んでいただけなら、その番号に該当者がいた場合、迷惑千万です。記者が予約直後にキャンセルしたせいで、本人がある種のブラックリストに載ってしまう恐れもあります(特に、同じ番号で「予約→キャンセル」を繰り返した場合など)。また、仮に実験時点では架空でも、後になってその番号が使われときに、何がおこるのかも不明です。

また、番号自体の問題(大きすぎる、文字や記号が混在しているなど)で、「架空であることが明らか」と考え入力した場合には別の問題が発生します。制作者の不手際で、その種の入力をプログラムが全く想定していないことがあるからです。

たとえば、キャンセル操作のとき、本来は受けてはならない番号で予約が入っているのですからまともに動かず、最悪、他の無関係な予約を消してしまう可能性すらあります。予約システムは一種のデータベースですから、一度、ゴミが入ってしまうと掃除するのは大変です。架空データがゾンビのように生き残ることさえあります。

もうひとつ、「架空だけど受け付けてくれる特定の番号」を記者が予め知っていて、試してみたら動いた、ということも考えられます。テスト用の「裏番号」が、なんらかの理由で漏れてしまったようなケースです。

rootstocks/iStock

「裏番号」がチェック用に用意されていることはよくあります。たとえば、電話回線の「お化け番号」などです。本来こういう仕掛はハッキングの温床になり良くないのですが、運用後の手直しなどのために、仕方なく使われることがあります。一番、ありそうなのはこれのような気がします。

記者が使った番号がこの手のものなら、悪影響は少ない代わりにその実験に何の意味もありません。想定通りのことがおこっただけですから。ただし、セキュリティーなどの理由から、管理者は真相を明かしにくく、「誤動作」の誤報がいつまでも訂正されないことになりそうです。

これらの複数のケースを十分検討した上で、記者はその番号を使用したのでしょうか。私には、そうは思えません。一定以上の知識と常識のある人間がまじめに検討したら、とても怖くて出来ないことだからです。「壊れたら壊れたでいいや」と思ってやったのなら、原因はバカか朝日脳か、あるいはその両方ということになります。

模倣犯を防ぐのは艦砲射撃級の厳罰

もうひとつ、記者が見落としていそうなことに、「模倣犯」の問題があります。
もし、今回の架空予約が「公共性」ありとなったら、他社も裏をとるために同じ実験をするでしょう。新聞協会加盟だけでも百紙以上ある同業紙、各種の雑誌、他に電波系やネット系のメディアも追随するかもしれません。これだけでも結構な数です。

その後、防衛省がシステムの改良を報告したらしたらで、彼らはまた検証をはじめるでしょう。中には、新たな不具合を探そうと各種の番号を試す記者も出てきかねません。

さらに自称ネットメディアを含む、膨大な一般ハッカーが実験をはじめたら、システムにはさらに大きな負担がかかります。けれども、「善意でシステムの欠陥を探している」のなら、その公共性は新聞社と同等なはずです。結局、同じ騒ぎがワクチン予約関係に限らず、公的システムが立ち上がる度に繰り返されることになります。

悪い前例を残さないために、一般に予想されているよりも相当重い処罰(出来れば関係者一同に刑事罰、最低でも社長辞任)が必要です。そのためにはまず、防衛省。竹橋と築地に艦砲射撃をとまでは言いませんが、ただの抗議で済まさずに、被害届けは出して下さい。捜査当局も、朝日脳的公共性論など相手にせず、速やかにこの迷惑犯を検挙すべきです。議論は国民注視の法廷でしましょう。

メディア企業であろうとなかろうと、こうした架空予約は、「悪であり公共の迷惑であり、万人が非難し、けっしてうまく行かない」という常識を、この機会に確立したいものです。(おわり)

 

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