来年廃止なのに人気上昇!ジュニアNISAのスマートな使い方
ひそかな駆け込み需要の背景。子どもの投資教育にも利点!?- 資産形成ブームの裏で、ジュニアNISAの口座開設が近年増加する理由とは?
- 税制改正で2023年末に廃止決定。それでも駆け込み需要の背景とは?
- 「子供の投資教育にも活用できます」という筆者からの提案
こんにちは、ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタントの八木陽子です。
今回から、投資や投資教育についてお話していきたいと思います。
近年、資産形成に注目度が高まり、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税口座の開設が増加しています。そんな中、ひそかにジュニアNISAの口座開設も増加しているのはご存知でしょうか。
なぜ廃止なのに口座が増えてるの?
ジュニアNISAは子供名義で開設する非課税口座です。ただジュニアNISAといえば、2023年末、つまり、来年には廃止される制度です。それにもかかわらず、口座開設数が増えています。下の推移をご覧ください。
2016年に制度導入後、およそ4~5万口座/年のゆっくりとした伸びでしたが、2020年度の税制改正で廃止が決定後、人気が出ているのが分かるでしょう。
そして今、NISAやiDeCoの説明をしているマネー相談の現場でも「ジュニアNISAもやりたいんですけど」と質問されたり、「かけこみ!ジュニアNISAを開こう!」といったイベントを依頼されたり…じわりと注目されている感が出てきました。
その理由とはなんでしょうか。
ズバリ、2020年度の改正で、使い勝手がよくなることが決定したからです。
新制度で変わった点とは?
ジュニアNISAの制度が導入された直後は、「18歳まで引き出せないのは不便」「子供名義で運用するのは抵抗ある」といった不満を聞いてきました。まずは、そもそもの現行制度の内容を見てみましょう。
赤字のところを見ていただくと、非課税期間が5年間、2023年で終了する制度、その後は18歳まで引き出せないなど、どれをとっても制度利用に二の足を踏むものでした。
一般NISAやつみたてNISAはいつでも引き出しできるのに、なぜジュニアNISAできなかったのかという疑問がわく方もいますが、大学費用の教育資金の確保が目的の制度だったため、引き出せないのはメリットともいえたのでしょう。しかしながら、制度の認知度の低迷や口座開設数も芳しくないまま、廃止決定に伴い、下記のように変更されました。
- 2024年以降、新規の投資は不可ですが、最長18歳になるまで非課税で保有可能(手続き必要)。
- 2024年以降、いつでも引き出し可能。
難点は、引き出す場合は全額を引き出さなくてはいけない点です。とはいえ、タイミングを見計らって、いつでも売却・引き出しができるので、小さいお子さんの名義でも、18歳という遠すぎる未来に臆することなく、開設しやすくなりました。
そして、もう一つの駆け込み需要の大きな理由が、資産形成に取り組む親が増えていることではないかと思います。資産形成を経験して、運用益が出ると、非課税制度のメリットをひしひしと感じます。
100万円の運用益が出ても、課税される場合20万3150円が税金です。NISAやジュニアNISAなどの非課税口座の場合、税金が0になります。コロナ禍の中で資産形成を始めた親にとっては、「家族が持っている非課税枠を最大限に利用するために、次は、ジュニアNISAもやってみよう」とは自然な流れでしょう。
今年の年末までにジュニアNISAの口座を開設できれば、2022年と2023年の2年分の上限160万円を元本に運用をスタートできるのです。
お子さんの投資教育に活用も
そして最後に、私から、ジュニアNISAの使い方で提案したいことが一つあります。
ジュニアNISAは、親権者、親が運用する子供名義の口座です。
ですが、子供の投資教育にも活用できます。子どもが成長して一定の判断能力を備えるようになった後に、自分自身の名義の口座があることで、「投資」を始めやすくなります。親世代のように、「もっと早く知っておけばよかった」「口座開設がめんどくさくて数年経ってしまった」という人は少なくなるでしょう。
海外では、子供たちのクリスマスプレゼントに株式を渡す例もあります。お金や世の中のしくみに興味を持つこと、早くから投資をすることで、長期投資のメリットを有効に使えます。
また、ジュニアNISAを開設する際に、すでにお子さんが小学生以降ならば、親子で投資を学ぶ一歩にしてみるのはいかがでしょうか。
■
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