10億円の資産をゲットしても幸せか?著名投資家、藤野氏「実は人生逃げ切りにならない」
週末のネットで匿名ブログが話題にIPO(株式上場)などで10億円の資産が突然できてしまった場合、どうすればいいのか?それだけの大金を得ても本当に幸せなのか?
浮世離れしているためか、この情報爆発の時代にあって、当事者の体験談がネットで意外に落ちていないものだが、富裕層向けのサービスをしているという人物が今月10日、はてなブログに匿名で「10億円資産ができたときに知っておいたほうがいいこと」と題した記事を投稿し、注目された。記事はこの週末、SNSで著名な投資家や経営者らが反応し、ちょっとした話題になった。
匿名ブログながらリアリティ
「増田」と名乗る人物は筆致などから男性と見られるが、「ベンチャーなどを起業して、10億円以上手に入れる若者なども増えてきている。しかし、さすがに10億円を手に入れたときの対処法というのはネットには全く情報がない」と綴った上で、資産運用や銀行とのやりとりや住居、別荘、車などの果ては恋愛や芸能人との付き合い方、子どもの教育に至るまで、突然お金持ちになった場合の対処について持論を綴っている。匿名のため、どこまで事実かは検証しようがないものの、
基本的には、10億円で、自分が金持ちだと錯覚すると、意外と早いスピードでなくなっていく、というのは多くの先人が言っていることなので、多くを運用に回し、運用益も貯めていき、お金が増える状態になってから、お金を減らさないように使う、というのがおすすめ。
多くの人ががっかりするのが、思ったより住居のレベルはあげにくいこと。10万円の物件と15万円の物件はかなりの差があるが、50万円と100万円の差はかなり小さい。都心で広い部屋は少ないし、異常に高額になるので、悩みどころだと思う。まあ、見ていると、結局3A、青山、麻布、赤坂あたりに住むお客様が多いかな、という印象。
といったように、当事者になって初めてわかるような内容が生々しく綴られている。ツイッターでは投資家のアカウントが「増田」氏について「自分の知り合いではないか」と反応するなど、一定の信憑性があるとみなされたようだ。
反応した大物投資家が語る「お金」と「幸せ」
そして大物投資家もこれに反応。「ふっしー」の愛称で知られる、藤野英人・レオス・キャピタルワークス会長兼社長は16日朝、フェイスブックで「非常にリアリティのある文章」との感想を述べてシェア。FBフレンドやフォロワーの間で反響を呼んだ。
藤野氏はその数時間後に再び投稿し、「10億円を相続とかIPOとかでひょっこり得たりする人がいるけど、実は全然それで人生逃げ切りにはならない」と指摘。お金を使い込む事件でよく残額が意外に残っていないケースについて、飲食やギャンブルに浪費されてしまうとの見方を示し、友人や接待のプロにチヤホヤされるうちに「最初は一晩で10万円くらいだったのがだんだん一晩100万円くらいに」(藤野氏投稿)なる現実を挙げた。
ああ、やばいなあ、だいぶ減ってきなあと思っても2−3年に渡るそのような消費性向はすぐに止められないし、支出を半分に減らして月250-500万円の消費になると「貧乏になった」ように感じたりすんですね。まあでもそういう消費癖は抜けないから、さらに2-3年もするとほぼキャッシュは空になります。
といったように、一度狂い始めた金銭感覚を戻す難しさを指摘。そうした生活に「幸福感」や「幸せ」があるかどうかを問いかけた上で、
もちろん10億円でできることはたくさんありそれで本質的な幸福感や幸せを追求することはできそうですが、飲食や住居、車などでは実はほとんど得られないんですよね。購入した瞬間はもちろんすごく嬉しいしワクワクしますが、すぐに慣れるんですよ。
いまなんとなく幸福感を感じれないのは貧乏だからだと思いがちだし、実際に生活の質とお金はある程度連動するけど、じゃあ、本当にお金を得たら幸せになるかというとほぼそうはならないように思います。10億円を得てもそれほど幸せが増えるわけではない。
などと持論を述べた。
箕輪氏「面白い人と仕事できる今は幸せ」
幻冬舎の編集者、箕輪厚介氏もこのブログについて「とてもリアル。お金で出来ることは大体同じ。だから金持ちじゃなくても、本作ったり服作ったりサウナ作ったりラーメン屋作ったり面白い人と仕事できる今は幸せなんだろうなと思う」との感想を投稿。
とてもリアル。お金で出来ることは大体同じ。だから金持ちじゃなくても、本作ったり服作ったりサウナ作ったりラーメン屋作ったり面白い人と仕事できる今は幸せなんだろうなと思う。
(追記あり) 10億円資産ができたときに知っておいたほうがいいこと https://t.co/S8vegV1veE
— 箕輪厚介 (@minowanowa) April 13, 2022
ツイッターで2万6000人のフォロワーを擁するリウマチ科医の萩野昇氏は「フツーの臨床医では生涯手が届かない額の資産なのに、手に入れても特段楽しいことはなさそうで、なんだか身につまされる思い」と複雑な心境を述べていた。
フツーの臨床医では生涯手が届かない額の資産なのに、手に入れても特段楽しいことはなさそうで、なんだか身につまされる思い。
10億円資産ができたときに知っておいたほうがいいこと https://t.co/wkfKcvlYRg
— Noboru Hagino(Rheumatologist) (@Noboru_Hagino) April 13, 2022
日本人の平均年収は400万円程度。生涯に稼ぐお金も大卒男性の平均で3億にも満たない。一見すると、10億円もの大金を稼ぐことで心のうちも豊かになるようにも思えるが、庶民からすれば実際に大金を手にした当事者の心境を推し量るのはなかなか難しそうだ。
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