マスク氏のツイッター社買収に最強援軍 !? 米投資会社アポロとは?

東芝、ソフトバンク...日本企業との縁も
ライター/SAKISIRU編集部

イーロン・マスク氏が仕掛けたツイッター社への買収を巡って、米プライベートエクイティー(未公開株)投資会社アポロ・グローバル・マネジメントが、マスク氏へ買収資金提供を検討していることが19日、明らかになった。

この件をスクープした米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アポロはツイッター買収支援を検討しており、マスク氏もしくは米投資会社トーマ・ブラボーなどほかの買い手に株式や融資資金を提供する可能性があるという。

マスク氏のツイッター社買収に援軍?(NORAD and USNORTHCOM Public Affairs/public domain:Sundry Photography /iStock)

運用総資産は約60兆円

アポロ・グローバル・マネジメントは世界最大規模の投資会社で、未公開株投資を中心に幅広い金融サービスを展開している。運用総資産は約4800億ドル(約60兆円)に上り、これまでにも、米自動車大手部品テネコやメキシコのフラッグシップキャリア・アエロメヒコ航空など、さまざまな企業買収を主導してきた。

日本での活動も活発で、東芝傘下の原子力関連子会社ウェスティングハウスが破産申請をした時には、破産処理手続中の運転資金として8億ドル(1000億円)を支援した。今年1月に買収が完了した米保険大手アテネ・ホールディングを通して、日本の退職年金市場にも参入している。また、ソフトバンクグループは、同社から計51億ドル(6500億円)を借り入れている。

アポロ本社が入居するNYマンハッタンのソロービル(中央の建物、monra70Solow /iStock)

一方で、創業者のスキャンダルが取りざたされたこともある。同社の創業者で最高経営責任者(CEO)だったレオン・ブラック氏は昨年3月に退任している。少女売春をあっせんした罪で起訴されたジェフリー・エプスタイン被告(2019年に拘置施設内で自殺)とブラック氏が個人的なビジネスをしていたことが、退任劇の主な理由とされている。

重要プレイヤー登場で今後の買収劇は?

マスク氏の保有資産は2190億ドル(約27兆円)で、米誌フォーブスが5日発表した2022年版の世界長者番付で初のトップとなった。「世界一の富豪」のマスク氏だが、その資産の大半は株式と見られる。今年、トップに躍り出たのも、世界的な環境規制の強化を受けて自身が最高経営責任者(CEO)を務めるテスラ株が高騰したのが理由だ。

マスク氏は、ツイッター社の買収にあたって、株式はすべて現金で取得することを表明している。その場合、430億ドル(約5兆5千億円)の現金が必要と見られる。いくら「世界一の富豪」とはいえ、資産の大半がテスラ株で占められるマスク氏が、それだけの現金を用意するのは簡単ではない。ツイッター社買収のための現金を捻出するためには、テスラ株の大量売却が必要になるなどと囁かれていたが、ここに来てこの買収劇のカギを握る重要なプレイヤーが登場した格好だ。

ツイッター社はマスク氏の買収案に、既存株主に新株予約権を与えることで買収提案者による過半数の株式取得を難しくさせる「ポイズンピル(毒薬条項)」という対抗措置を取ることを明らかにしている。アポロ・グローバル・マネジメントという重要プレイヤーの登場で、マスク氏とツイッター社の攻防戦はどう動いていくか。

 

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