ミアシャイマーの“悲劇”…なぜロシアや陰謀論者たちに付け込まれてしまったのか?

「米国悪玉論」に群がる人たちの決定的な間違い
地政学・戦略学者/多摩大学客員教授
  • 国際政治学の大家、ミアシャイマー氏の議論がロシアや陰謀論者たちに悪用
  • 一見すると「ロシアにも理がある」と論じているが、本来の理論の肝は?
  • 「ミアシャイマーは真正保守」?日本の陰謀論者たちの議論も的外れな理由

ロシアがウクライナに侵攻を開始してはやくも2か月が経過した。ブチャやマリウポリのようなウクライナの都市でロシア軍の行った虐殺行為や、それを許しているプーチンに対する国際的な非難が高まっている。

その中で、一見すると「ロシアにも理がある」と論じているために、斬新な意見だとして絶賛されている動画がある。アメリカの名門シカゴ大学の教授で、国際的にも広く知られているジョン・ミアシャイマー氏の議論を紹介したものだ。

これは実にロシアにとって都合の良い議論でもあるため、言論の一部が切り貼りされる形でロシア大使館にさえプロパガンダ利用されてしまっているのだ。

「ロシアは悪くない!」論に利用

さらに問題なのは、逆張りを好む日本のネット上の陰謀論者たちの間で「ロシアは悪くない、戦争をけしかけたのはアメリカのディープステート(DS)だ」とする陰謀論に活用されている点だ。ミアシャイマーは(ややスキがあるにせよ)ロシア政府や陰謀論者たちに悪用されてしまっている実態がある。

実になげかわしい現象だ。というのも、ミアシャイマー自身は世界的に広く認められた国際政治の理論家であり、薄っぺらい決めつけの議論を展開するような「陰謀論者」とはまったく異なる、学者としての議論を正々堂々と展開しているからだ。

このミアシャイマーについてはすでに東京外国語大学で国際政治の専門家である篠田教授が詳細かつ包括的に論じているので、さらに詳しく知りたい方は参照にしていただきたいが、本稿ではさらにわかりやすく篠田論文を補完した説明を行いたい。

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地政学・戦略学者/多摩大学客員教授

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