パワーカップルが話題も、取り上げたテレ朝『モーニングショー』にツッコミ殺到のワケ
ネット民「1000万円でそう呼ばれる国の貧しさ」- テレ朝「モーニングショー」で紹介した「パワーカップル」が話題
- 番組は「年収600万円の夫と年収400万円の妻」と紹介。ネットでツッコミ殺到
- 過去に報道されたパワーカップルの年収を調べてみると…
ゴールデンウィーク初日の29日朝、テレビ朝日系情報番組『モーニングショー』が取り上げた「パワーカップル」がネット上で話題となっている。言葉自体は10年近く前から存在していたが、その取り上げた内容が、昨今の経済情勢を本質的に考えて制作されたのか微妙だったためか、SNSではツッコミが続出する事態となった。

「パワーカップルでもパワーが十分ではない」
番組は、首都圏の新築マンションがバブル期超えの価格高騰の背景を探るという企画で、パワーカップルやシニア層の購買意欲が高まっていることをマンション価格高騰の理由として紹介していた。パワーカップルの例として、「年収600万円の夫と年収400万円の妻」を挙げていたことで、ツイッターでは一時「パワーカップル」がトレンド入り。さまざまな意見が寄せられた。
1000万円でそう呼ばれる国の貧しさについて考えなくてはいけないのでは?
2人で1000万稼ぐ世帯のことらしいけど、そもそも男が1000万稼いで奥さん楽させるのが性分の我々世代からしたら、一人当たりの年収が下がったので2人で働かなきゃならないだけの「ビジーカップル」なんじゃね?
二人合わせて年収1000万以上で金持ち扱いってこの国どんだけ貧乏なんだよ
二人合わせて年収1000万でパワーカップルなんて呼ばれるようになる日本の貧しさと原因を追及することじゃねぇのか?
社会起業家で、内閣官房地域活性化伝道師を務める木下斉氏は、ツイッターで世代間ギャップを指摘していた。
「パワーカップルでもパワーが十分ではないのは、昔とは給与、社会保険、金利が全然違うから。これを年寄りは認識してない。」
パワーカップルでもパワーが十分ではないのは、昔とは給与、社会保険、金利が全然違うから。これを年寄りは認識してない。
なぜ頑張って働いて子供産んで貯金すればいいという無邪気な高齢者が現れるのか〜戦後データで学ぶ給与と社会保険と金利〜 https://t.co/klClRf8MIH#パワーカップル
— 木下斉/ Hitoshi Kinoshita (@shoutengai) April 29, 2022
このように、ネット上では、年収600万円の夫と年収400万円の妻をパワーカップルと見るのは無理があるといった声で溢れたが、実は、パワーカップルという言葉には厳密な定義はない。時代によって、定義が変わっているのだ。
年を追うごとに下がる「パワーカップル」の年収
時期を絞った形でネットを検索してみると、日本で「パワーカップル」という言葉が一般的に使われるようになったのは、2013年のようだ。同年に出版されて話題となった『夫婦格差社会 二極化する結婚のかたち』(橘木俊詔・迫田さやか著、中央公論新社)の中で使われていたことから、ネット上でも使われだしたとみられる。
それ以前は、歌手のカニエ・ウェストとキム・カーダシアン(現在は離婚協議中)やサッカーのデビット・ベッカム夫妻のように、主に海外のセレブカップルを紹介する際に使われていた。
同書では、パワーカップルを「夫が1,600万円以上、妻が1,000万円以上」と定義している。
そして同書発刊の4年後の2017年に発表された「ニッセイ基礎研REPORT」では、パワーカップルを「夫婦とも年収700万円超」として定義づけた。さらに、2018年に産経新聞が報じたところによると、三菱総合研究所ではパワーカップルを「夫の年収が600万円以上、妻が400万円以上で世帯年収が1000万円以上の夫婦」と定義しているという。日本経済新聞社系列の広告代理店・日本経済社もパワーカップルを「世帯主年齢40歳未満かつ年収600万円以上、世帯合算年収1,000万円超」としている。
昨日放送された『モーニングショー』も、三菱総合研究所や日本経済社が示した最近の定義を用いたのだろう。興味深いのは、時代が経るごとにパワーカップルの年収が下がっている点。2013年に「夫が1,600万円以上、妻が1,000万円以上」だったパワーカップルの年収は、わずか10年足らずの間に、「夫が600万円、妻が400万円」にまで下がっている。

日本人の平均年収は世界4位から22位に
米投資会社パーソナルキャピタルと米市場調査会社ハリスポールが行った調査によると、アメリカ人の多くは家計を健全に保つためには12万2000ドル(約1600万円)が必要と考えているという。これは、アメリカ人の平均年収である6万6665ドル(約870万円)の2倍になる。
日本人の平均給与は1997年をピークに20年以上、ほとんど変わっていない。その間、世界各国は経済成長を遂げており、世界における日本人の平均年収は1997年の4位から22位に転落している。お隣の韓国にも抜かれた。それに加えて、手取りは減っている。1997年の国民負担率(所得に占める税金と社会保障費の負担割合)は36.3%だったが、2021年は48.0%にまで上昇した。
そんな中、何の問題意識も危機感も持たずに、夫婦二人合わせて年収1000万円の世帯を金持ち扱いする企画に、テレビ制作者は違和感を覚えないのだろうか。少なくともツイッターなどのSNSを確認する限り、多くのネット民がこの企画に違和感を覚えていたようだった。
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