「立つ鳥跡を濁しまくり」文在寅政権、負のレガシー清算せず終焉
「日本は右傾化」と非難、偽りの検察改革…本日やっとサヨナラだが...- 文在寅政権が9日、「負の遺産」残したまま任期終えて退任へ
- 退任間際の検察改革は「お笑い種」と筆者。反日の背景改めて解説
- 日韓関係を悪化させてきた韓国左翼のメンタリティとは?
文在寅政権が9日、終わりを迎えた。韓国の友人と未来のために乾杯したい。弾圧された学者とジャーナリストに、自由民主主義の時代が来るだろう。

「お笑い草」検察改革
筆者は韓国での取材で、何度も権力の司法介入を目にした。韓国では、なお司法の独立は確立していない、と判断せざるを得ないが、これを裏付けるように、政権末に文在寅政権は検察から捜査権限を奪い、警察に移す法律を成立させた。文在寅大統領をはじめ、政権幹部が逮捕起訴されないためである。
それを「検察改革」と称するのは、とんだお笑い草だ。現に、韓国内でも全国の検察官と弁護士が反対し、ほとんどの新聞、テレビが「国の根幹を曲げる憲法違反の法律」と反対を表明した。
そもそも徴用工判決と慰安婦判決が恣意的だった。大統領が三段跳びで地裁の所長から抜擢した最高裁長官が、日本企業に慰謝料支払いを命じる徴用工判決を言い渡したのだから、判決は大統領の指示だと考えるのが常識だ。百歩譲っても、暗黙の了解や忖度があっただろう。
しかも最高裁判決の中身は、慰謝料請求の根拠となる「不法行為の構成要件」を提示できず、日韓併合を「違法性の根拠」とするトンデモ法理論だ。それを大統領が「司法の判断を尊重する」として責任回避したから、常識人は「文在寅は何かいかがわしい」と受け止めたし、日韓関係を著しく悪化させたことは間違いない。
「自由民主主義国家を取り戻す」と宣言している尹錫悦政権には、文在寅大統領と最高裁長官の通話記録の調査を求めたい。大統領が最高裁長官に指示した記録があるはずだ。明らかな司法への介入を立証してほしい。
「反日」誤った政治判断をした要因
文大統領は、最終閣議で「日本に対抗し、誰も揺るがせない国を築いた」と自画自賛したが、朝鮮日報社説は「5年間、中朝に揺さぶられ続けた国」と書いた。文大統領はさらに「最後のテレビ・インタビュー」でも、「日本の右傾化で日韓関係が悪化した」、と責任を日本に押し付けた。日本政府は「文在寅大統領が日韓関係を壊した」「日本は右傾化していない」と反論すべきだ。

日本の「物言わぬ外交」は、韓国の世論に間違った認識を定着させ、日韓関係を悪化させた。米中はもとより韓国でさえ、政府スポークスマンが激しい「言葉の外交」を展開するのに、日本政府は韓国に言われっぱなしだ。喧嘩する必要はないが、国際政治では「はっきり言わない」のは、認めたことになる。
取材記者も「文大統領側の責任」について記者会見で聞くか批判記事を書けばいいのに、書かないのはだらしない。それどころか、朝日などの主要紙と慶応系の学者は、文政権評価の論調に終始した。
日韓関係悪化は、文政権が日本へのステレオタイプな偏見と、誤解のパラダイムを撒き散らしたのが原因だ。文大統領は、北朝鮮支援のため「日本否定」の「傲慢で偏見に満ちた」政策を進めた。
もともと韓国では、慰安婦問題への疑問を語った朴裕河教授や李栄薫教授が、運動団体や左派から攻撃され、名誉毀損で訴えられるような状況があった。特に文在寅政権期には、憲法で保障される学問の自由が守られず、北朝鮮並の水準となり、自由民主主義国家とはとても思えない状況にあった。
なぜ文政権がこうした傾向を強めたかと言えば、反日が南北統一への共通のアイデンティティになると誤った判断をしたからだ。共通アイデンティティのための道具が「日本の右翼政治家」と「日本の右傾化」のスローガンだった。これはプーチンのウクライナ戦争での「ネオ・ナチ批判」と同じレベルだ。
こうした北朝鮮への秋波の結果、北朝鮮のスパイや工作員が韓国大使館はもとより、韓国に大手を振って出入りするようになった。この状況を整理しなおすのは、当面、不可能だろう。
現状認識歪んだままの韓国左翼
韓国の新聞やテレビは、日本について「右傾化」や「右翼」の言葉を多用するが、「右と左」「保守と右翼」についての勉強が足りない。安倍晋三元首相に「右翼」の形容句をつけた記事は大方の日本人には信用されない。「保守」とすべきだ。
「右翼」との表現は、韓国では「悪人、罪人」を意味する。韓国人は、朝鮮半島植民地化に動いた右翼がなお力を持ち、反韓世論を誘導していると考えてしまう。現状認識を歪ませる表現だ。
そもそも、文大統領は「日本の保守化(右傾化ではない)」の真実を知らない。原因は、50年前の金大中拉致事件と北朝鮮の核開発、日本人拉致問題にあった。朝鮮戦争が、日本の再軍備を進めた史実も知らず「右傾化」を語るのは間違いだ。日本の軍備強化の原因は、北朝鮮と韓国にあるのだ。

韓国の左翼は、日本が戦後平和国家として再出発し、韓国・朝鮮人への偏見や差別も改善した事実を知らない。戦後の日本で韓国を認めず差別したのは、日本の左翼学者や文化人だった。日本では、かつて共産党と社会党、岩波書店などの左派が、韓国を「南朝鮮」と呼びその存在を否定する運動をした。これを、韓国の著名な韓相一教授は「日本知識人の傲慢と偏見」と批判した。
だが文在寅政権や韓国メディアは、韓国に批判的なジャーナリストや評論家を「右翼」と攻撃する。評論家の櫻井よし子さんや、作家の百田百樹さん、日本財団の笹川陽平会長らを「右翼」と切り捨てる。日本社会の現実を理解せず、間違ったフィクションに浸るパラダイムが、日韓関係を悪化させてきたのである。ここに、一部日本のメディアも加わっている。
新大統領、前政権の「負の遺産」改革なるか
文政権は日韓関係の悪化、保身のための「検察改革」、ウクライナ事態を軽視し北朝鮮と接近、という多大な負の遺産を残して終わる。
文在寅に近い左派勢力は、国会でなお60%近い議席を保有しているため、2年後の総選挙までは与党に協力しないから、尹錫悦新大統領の日韓関係改善や政治改革の取り組みはそう簡単にはいかない。
それでも、韓国大統領の権限は強力だから、なお尹新大統領に期待したい。
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