自動車税「抜本的な見直しを」JAFのツイートににじむ強い危機感

進む若者の車離れ、ツイッターで減税ロビイング!
ライター/SAKISIRU編集部
  • JAFの公式ツイッターアカウントが自動車税の減税を求めて話題に
  • かつては政治的なツイートは珍しかったのが、近年変化
  • JAFの危機感の背景に深刻な「車離れ」か。自動車業界全体の動きは…

JAF(日本自動車連盟)の公式ツイッターアカウントの投稿が話題を呼んでいる。9日夕方にツイートされたもので、今月31日が納付期限の自動車税の減税を求める内容だ。

5/31が納付期限の自動車税
この自動車税を含めガソリン税・消費税などで
乗用車には毎年約11.57万円の税金が課せられています
生活必需品なのに、こんなにかかるなんて
こんなの過重で負担すぎます
補助金ではなく、抜本的な見直しを

12日時点で1.8万回リツイートされ3.1万件の「いいね!」を獲得するなど大反響を呼んでいる。このツイートには、次のような反応が寄せられていた。

極東の小さな島国にバイクメーカー4社、自動車メーカー約10社もあるのに何故自ら自動車、バイク産業を衰退させるような税制をしてるのですか?

一昨年だっけ?個人への10万円給付も、けっきょく半分が自動車税に消えた

車必需品の地方イジメ罰金

若者が自動車離れする理由でもあるだろうね。税金取りすぎなんだよ!

数年前から突如、投稿内容が変わる

実はJAFが政治的な内容のツイートをすることは数年前までは珍しいことだった。2010年に開設されたアカウントだが、普段は次のようなサービスについての情報を発信することをメインとしている。

【ロードサービスに関するお知らせ】
先日より発生しております受付指令システムの不具合のため
お客さまからの要請を受け付けたのち、救援車両の手配・到着に時間を要しております。
引き続き復旧に向けて対応中です。
ご不便をおかけし誠に申し訳ございません。

自動車税に関するツイートでも、税制の知識を伝えるような投稿が多かった。2013年12月には以下のようなツイートも。

消費税が引き上げられると同時に、自動車に関係する税金の引き上げも大きく取り上げられています。自動車に関わる税金について今一度おさらいをする時ですね。改めてこの表を見てみましょう。

様子が変わってきたのは、2018年頃だ。2018年4月9日には、ガソリン税を「極めて不可解」とし、次のようにツイートしていた。

極めて不可解 ガソリンには“税に税がかけられている”‼️ガソリンは製品価格に揮発油税と地方揮発油税が加算され その合計に消費税がかけられています
つまり、税がかかっている値段にさらに税がかけられているということ
皆さん納得できますか?

自動車税の重課措置に対しても、次のような厳しい口調で批判するようになっていく。

大切に長く乗っている車の方が税金があがる⁉️
車に乗る頻度や走行距離は人それぞれ
なのに13年過ぎると自動車重量税や自動車税(一部11年)に重い税率が課せられているんです
この重課措置 合理性に乏しく公平性に欠け見直すべきだと思いませんか

2020年11月には、「ガソリン代にはガソリン税が含まれているのにさらに消費税がかかるなんて理解できません」とツイート。今年2月には、「現在のガソリン税は”Tax on Tax”や”当分の間税率”など不可解な仕組みで到底理解・納得できません」とツイートするなど、節目節目で自動車税やガソリン税の減税を求めるツイートをするようになった。

JAFの会員数は右肩上がりでも…

作業中のJAFの車両(K-factory /PhotoAC)

背景には、JAFの危機感があるのではないか。JAFの主な事業は故障救援、いわゆる「ロードサービス」で、会員数は今年3月時点で約2000万人に上る。JAFの収入源はこの会員からの会費だ。JAFの会員数は1963年の発足当時よりほぼ右肩上がりに増加し、昨年初めて2000万人の大台を突破した。

しかし、警察庁の「運転免許統計」によると2019年に運転免許保有者数が減少に転じた。運転免許保有者が前年より減少するのは、1966年の統計開始以降初めてのことだ。運転免許を持っていなければ、ロードサービスは必要ないため、JAFに加入などしないだろう。

巷間言われるように、若者の車離れも加速している。日本トレンドリサーチの調査(2021年)によると、年齢別で運転免許を持っていない人の割合が一番高かったのは20歳代で、30%以上が「運転免許を持っていない」と回答している。免許を持っていない理由の3割近くが「お金が掛かるから」だった。さらに、免許を持っているにも関わらず車を持っていない人にその理由を尋ねると、約6割の人が「お金がかかるから」と回答している。

いま、車を持ちたくてもお金がかかるから持てないという人が急速に増えている。ここで言う「お金」の中には当然、自動車税やガソリン税も含まれるだろう。

統計と調査を合わせて考えてみると、早晩、JAFの会員数は減少に転じる可能性がある。そういった危機感もあり、このところ、理不尽なガソリン税、重すぎる自動車税、不可解な重課税への反対意見をツイッターで表明しているのではないか。もはやツイッター上の減税ロビイングだ。

自動車業界は自民党に多額の政治献金

kawa*******mu /PhotoAC

同じことは、自動車業界にも言える。運転免許を持つ人が減り、たとえ運転免許を持っていたとしてもお金がかかるから車が持てないという人が増えれば、国内自動車産業が将来、立ち行かなくなっていくことは明白だ。

この際、自動車業界も減税を政府に強く求めてはどうか。もちろん、自動車の業界団体「日本自動車工業会(自工会)」は、「税制改正・予算に関する要望」を政府に出してはいる。しかし、それは無視されている状況だ。

自動車業界は長年に渡って、自民党に多額の政治献金をしてきた。金額は2020年だけで、自工会が8040万円、トヨタ自動車が6440万円、日産自動車が3000万円、ホンダが2500万円、日野自動車が2210万円、三菱自動車が2100万円だ。自民党への献金額は、自動車業界だけで2億5000万円近い。

「減税しなければ政治献金を打ち切る」。いっそのこと自動車業界は、これくらい強い覚悟で政府・自民党に迫ってもいいのではないだろうか。

 
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