バイデン大統領が日本の常任理事国入り支持表明も…ネット「敵国条項外すのが先だろ!」

マスコミ報道と対照的に冷めた空気
ライター/SAKISIRU編集部

23日に行われた日米首脳会談で、アメリカのバイデン大統領は日本が常任理事国になることを支持すると表明した。テレビ各局は速報テロップを流すなど、このニュースをセンセーショナルに報じた。

テレビでは、ワイドショーのコメンテーターなどから「歴史的発言」といった声も聞かれたが、ネット上の反応はテレビと正反対と言っても良いほど冷めたものだった。

歓迎式典で談笑する岸田首相とバイデン大統領(写真:ロイター/アフロ)

盛り上がらないネット世論

ただのリップサービスだと思います。

大騒ぎするような意味はないと思う。

あの2カ国が拒否権を発動するでしょう。

また、このニュースが報じられるとツイッターでは「敵国条項」が一時トレンド入り。次のような意見が散見された。

その前に敵国条項から抜け出すのが先決ですよね。

その前に敵国条項外すのが先だろ!?今でもニッポンは、連合国の敵なんだぞ!?

敵国条項削除してもらっていないのに、日本が常任理事国入りって有り得ないでしょう。

ネットで話題の「敵国条項」とは?

敵国条項とは、国連憲章の第53条、第77条1項、第107条に記載された内容の通称だ。平たく言えば、日本やドイツ、イタリアなどの第二次世界大戦の敗戦国(枢軸国)の軍事的行動を縛る条項だ。たとえば、第53条には次のように記載されている。

安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。~中略~

もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。

要は、第二次世界大戦の敗戦国が、再度、侵略行為を行う、あるいはその兆候を見せた時に国連は、その国に対して軍事制裁を行えるという条項だ。国連憲章には、どうなった場合に敵国条項から除外されるのかが規定されていない。そのため、現状の国連憲章のままだと、日本、ドイツ、イタリアなどは世界から永久に「ならず者国家」とみなされているということだ。少なくとも国連憲章の文面では、そうなっている。

ニューヨークの国連本部(mizoula /iStock)

多額の国連分担金を支払ってきた日本は当然、敵国条項の廃止を求め続けた。そのかいもあり、1995年の第50回国連総会で、敵国条項の削除が決まった。しかし、国連憲章を改正するためには、国連安保理常任理事会5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア)の全会一致での同意が必要だ。それぞれの国には拒否権が与えられており、1カ国でも反対を示す国が出れば、国連は何もできない。そのため、国連総会で敵国条項の削除が決まったものの、実際には国連憲章に残っている状態だ。

中国、ロシアは敵国条項を利用

敵国条項は、「死文化」した条項のため日本などの当事国以外は誰も気にしていないと言われるが、時に「戦勝国」に利用されることもある。

2012年9月27日、中国の楊外相(当時)は国連総会の演説で、沖縄・尖閣諸島について、「日本による国有化は違法であり無効。日本側はただちに中国領土を侵害することをやめるべきだ」と発言した。これに合わせて、中国外務省の秦剛報道局長(当時)は、「敗戦国が勝者の領土を占領する道理があるのか」と敵国条項を思わせるようなフレーズを使って、日本を激しく非難している。

ロシアも同じだ。国営ロシア新聞のインタビュー(2015年5月19日付)で、ロシアのラブロフ外相は、北方領土返還を求める日本に対して、「日本は第二次世界大戦の結果に疑いを挟む唯一の国だ」と述べている。

中国、ロシアにとっては、日本が永久に「敗戦国」「世界のならず者国家」でいてくれた方が何かと都合が良い。また、領土問題を抱えている現状、そうでないと困るのだろう。

前述のように、中国とロシアは拒否権を持っている。いくらバイデン大統領が日本の国連安保理常任理事国入りを後押ししたとしても2カ国が高い確率で拒否権を行使するため、実現は非常に難しい。国連総会で決まった、敵国条項の削除すらできないままなのだから推して知るべしだ。

バイデン大統領は、「安保理改革が実現した場合に」日本の国連安保理を支持する表明しているが、確かに安保理改革なくしての日本の常任理事国入りは現実的ではないだろう。

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