選択的夫婦別姓のリアル④ 稲田朋美「同性婚も憲法も尖閣も、問題意識の出どころは同じです」

2021年04月29日 06:00
ライター・編集者
  • 稲田氏インタビュー最終回。「家族として国に認められたい」同性愛者への目配りを
  • 国家の問題も、個人の問題も、取り組むことは両立できる
  • 「結論ありきの議論」からの脱却を!

(稲田朋美氏インタビュー#1 #2はこちら。稲田案への異論は#3です

選択的夫婦別姓のリアル④ 稲田朋美「同性婚も憲法も尖閣も、問題意識の出どころは同じです」

――最高裁判決といえば、同性婚の問題も「同性婚を認めないのは違憲」とする判決が出ました。

【稲田】先日の同性婚の違憲判決は、同性婚を認めていないことが憲法違反としたのではなく、婚姻すれば得られる法的利益を全く同性カップルに与えていない現状が憲法14条に違反している、性的指向は人種や性別のように、生まれながらに変えることができないもの、そうした性質を持った人たちを法的に差別していいのか、ということが問われています。

同性のカップルに何らかの法的効果を与えないのは違憲という点はともかく、中身の判決の議論については、私もその通りだと思いました。私は自民党の性的指向・性自認に関する特命委員会の委員長として、「性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」をなんとか今国会で成立させたいと、現在野党とも調整中です。

――同性婚は、考え方によっては「同性のカップルも、国に対して『私たちを家族として認めてほしい』と要望している」わけで、国を重んじる立場の保守派からすれば、「結婚制度など要らない」という人たちよりはずっとウエルカムなんじゃないかと思いますが。

【稲田】当事者たちは、「家族になりたい、相手と同じ姓を名乗りたい、家族として社会や国から認めてほしい」と言っているんですよね。それに対してはもっと寛容でいいのではないか。同性婚を認めるべきではない、という人たちは「風紀が乱れる」「少子化につながる」と言うのですが……。

――同性婚制度ができたことをもって同性愛者が増えるわけではないですね。社会的に認められて「可視化」されることはあっても。

【稲田】不可逆的なもの(自分の意思で変えることができないもの)だから同性婚が認められようが認められなかろうが、同性愛者は同じだということが分かっていないのかもしれませんね。LGBTの問題は、いわゆるリベラルな人たちが主に扱ってきた問題だというのがあるからでしょうか、私がこの手の問題に言及すると「稲田がまた変なことをやっている」「左翼になった」とか「それよりも尖閣や憲法をどうにかする方が先だろう」と言われてしまう。もちろん憲法や尖閣も大事。

でも、どちらかしかできない、やってはいけないわけではない。両方やるんです

Pict Rider/iStock

女性の問題にしても、LGBTにしても、これまで国が想定してきた制度ではカバーできなかったマイノリティの立場の人たちの存在を、国が認めて、公平に扱うことができれば、各々が自分の能力を十分に発揮できるようになり、結果的に社会、国にとっても大きな力になるんですよ。

非正規雇用の問題も同じです。安倍政権時代の女性活躍推進で、確かに女性の就業者は300万人、増えましたが、そのほとんどが非正規雇用です。中には「女性は非正規雇用の形態を望んでそうしているんだ」と言う人もいますが、実際には週三日の勤務や短時間勤務という雇用形態を受け入れているのが非正規のみ、というだけのことで、本当は正規雇用と同じように雇用を保証し、会社から能力を評価してほしいと思っている。そうすればもっと能力を発揮できるんです。

――女性の雇用の問題や、女性が結婚後に姓を変えることが多い以上、夫婦の姓の問題についても、やはり党内では女性議員の方が我がこととして考えているのが現状でしょうか。

【稲田】そうですね。「婚前氏続称制度」については、「選択的夫婦別姓推進」の方に行ってしまう人もいるので難しいですが、男性議員よりも女性議員の方が「自分事」としてとらえているように思います。だから女性議員が増えてくれば、様々な意見も出るだろうし、議論も活発になるでしょう。意見の濃淡はあっていいわけですから。

――昨今話題の女性リーダーについてはどうですか。「まずは女性同士で連帯して、女性をリーダーに押し上げるべきでは」という声もあります。確かに女性議員はそれぞれが自分の足で立っている感じがあって、一大勢力にはなっていない印象です。

稲田朋美(いなだともみ)早稲田大学卒業後、1985年弁護士登録。2005年衆院選初当選(現在5期目)。12年規制改革など担当相として初入閣。自民党政調会長、防衛相など歴任。

【稲田】私が立ち上げた「女性議員飛躍の会」という議連では、家族の姓の問題や女性の就業に関する問題など、闊達に話し合ってはいます。しかし当然ですが、それぞれが自分なりの価値観や意見を持っている政治家ですから、「女性」というだけで全員が一致団結できるわけではありません。

また扱うべき問題も、「女性」だけではなく、それこそ外交、安全保障、財政と大きなイシューがありますから、それらを全部、脇に置いて、「とりあえず女性だから集まれ」というわけにはいかない。仮に党内に女性議員が100人いればある程度のグループを作れるかもしれませんが、今は衆参それぞれに20人程度しかいないので難しい。

そのためにも、女性議員の数を増やすことがまず大切です。私が国会議員になってから16年経ちますが、女性議員の割合は一向に増えていません。自民党の都道府県別の女性議員数をみても、ほとんどの都道府県で女性は1人以下。女性活躍を推進してもこの現状ですから、割合が30%に達するまでは、時限的、限定的でもいいので、クオーター制度の導入を検討すべきだと思います。

この点についても、男女はもちろん、女性の中でも様々な意見はありますが、「結論ありき」ではなく、現状を動かすために何が必要なのか、批判を恐れず自由に議論していきたいと思います。(おわり)

 

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