「私の第3極を作る目論みは終了」元みんなの党代表、渡辺喜美氏、無念の政界引退表明
松田公太氏「色々ありましたが」、上田都議「予定調和の政治に風穴」参院選の公示を翌日に控えた21日、元みんなの党代表の渡辺喜美参院議員(無所属)がフェイスブックに投稿。「私の第3極を作る目論みは、終了いたしました。元みんなの党の皆様には、期待に応えることができず、誠に申し訳ありませんでした」と綴り、政界から引退する意向を表明した。

父は、通産相、外相を歴任した渡辺美智雄氏。父の死去後、地盤を継承し、1996年衆院選で初当選。2006年の第1次安倍政権では行政改革や国家公務員制度などの特命担当相として初入閣し、再任した福田政権にかけて、霞が関の抵抗を受けながらも天下り規制などの改革を断行した。しかし大臣退任後、麻生政権で「改革が骨抜きになった」と反発。やがて自民党を離党し、2009年、無所属の江田憲司氏らと、みんなの党を創設し初代代表に就任した。
みんなの党は当時の日本の政界では珍しく、民営化などの小さな政府路線や新自由主義的な政策を標榜。結党時は5人からのスタートだったが、「自民党には不満がいっぱいだが、民主党には不安がいっぱい」(結党理念より)という都市部の民意を掴んで支持を拡大した。2010年参院選では10人が当選。12年衆院選も18人が当選するなど一時は「第三極ブーム」の立役者となった。
しかしその後は路線対立で党が分裂。党代表を下りた後は解党し、2014年衆院選で落選した。2年後の参院選ではおおさか維新の会(現日本維新の会)の比例代表として初当選したが、17年都議選に際し、党本部が小池都政に対決姿勢を示したことに反発して離党。以後、無所属で活動し続け、任期満了が近づくにつれ、去就が注目されていたが、渡辺氏を公認する政党はなく、出馬を断念した。
引退表明のニュースが流れると、ゆかりのあった政界関係者などがツイッターで次々と意見を表明した。かつて、みんなの党に所属し、近年も渡辺氏と近しい関係だった上田令子都議は「悔しくて残念で言葉もありません」と無念の思いを吐露した上で「護送船団方式、予定調和の日本の政治に風穴あけられ、多くの人材を地方議会と国会に送り出しお側で学ばせて頂き光栄でした」と功績を称えた。
悔しくて残念で言葉もありません
護送船団方式、予定調和の日本の政治に風穴あけられ、多くの人材を地方議会と国会に送り出しお側で学ばせて頂き光栄でした
頂いた自由主義的薫陶を今後も活かしてまいります
本当にありがとうございました https://t.co/m03M0bTI8Y— 上田令子(東京都議/自由を守る会代表) (@uedareiko) June 21, 2022
離党により対立することになった維新だったが、足立康史衆院議員は「維新との関係では残念な最後でしたが、真っ当な政策論議の端緒を開いたご功績は、歴史に残るものと確信しています。ご指導賜り、ありがとうございました」と謝意を表明した。足立氏は経産省をやめて政治活動を始めた当初はみんなの党に入党し衆院選の出馬準備をしていたが、その後、維新から出馬した。
お疲れ様でした。維新との関係では残念な最後でしたが、真っ当な政策論議の端緒を開いたご功績は、歴史に残るものと確信しています。ご指導賜り、ありがとうございました。
渡辺喜美氏、政界引退へ 今夏の立候補断念(下野新聞SOON)#Yahooニュース
https://t.co/fAEP21kQIa— 足立康史 衆議院議員 (@adachiyasushi) June 21, 2022
渡辺氏の元秘書で、のちに袂を分ち批判本を出した政策コンサルタントの室伏謙一氏は「長い間お疲れ様でした。第三極を作ろうという取組自体は意味があったと思います」と意義を述べた上で、「ブレてまげてくずれなければ、今頃みんなの党は一定の勢力になっていたことでしょう」と残念がっていた。
長い間お疲れ様でした。第三極を作ろうという取組自体は意味があったと思います。ブレてまげてくずれなければ、今頃みんなの党は一定の勢力になっていたことでしょう。https://t.co/Wj0eibtOp1
— 室伏謙一 (@keipierremulot) June 21, 2022
かつて、みんなの党で参院議員を務めた実業家の松田公太氏は22日未明、ツイッターで「色々ありましたが」とやや複雑な心境をのぞかせながらも「みんなの党、そして第三極の礎を築かれたのは凄い事です。 まだまだパワーがありますので、きっとこれからも日本に必要な改革の為に動いて頂けると信じています。 ひとまずお疲れ様でした」と、ねぎらいの言葉をかけていた。
色々ありましたが、みんなの党、そして第三極の礎を築かれたのは凄い事です。
まだまだパワーがありますので、きっとこれからも日本に必要な改革の為に動いて頂けると信じています。
ひとまずお疲れ様でした。#みんなの党渡辺喜美氏政界引退へ 立候補断念 https://t.co/v1RsEGrUUe
— 松田公太 (@matsudakouta) June 21, 2022
渡辺氏のフェイスブックでの声明は以下の通り(全文)
私の第3極を作る目論みは、終了いたしました。
今回最後までご尽力くださった皆様には心から感謝申し上げます。また、私の政治活動を支えていただいた後援会や支持者の皆様、元みんなの党の皆様には、期待に応えることができず、誠に申し訳ありませんでした。
私は政界は引退しますが、これからは今まで蓄積した知識経験を持って世の中に尽くして参ります。第二の人生を考えると、不遜な言い方ですが、やりたいこと、やるべきことが山のようにようにあり、不安と同時にワクワク感で一杯です。
私は今年70歳になりました。ただ、心身ともにその実感が乏しく、日野原重明先生の「年齢の数え方7掛け説」で生きたいと思います。50手前という感じですね。
お世話になってきた皆様に改めて感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
関連記事
編集部おすすめ
ランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
【特報】文春もひろゆきも言わない岸田翔太郎の真実 〜 首相公邸「寝そべり写真」なぜ流出したのか?
AI規制論議が広島から始まる“奇縁”、岸田首相はキッシンジャーの警鐘をどう聞くか?
都議補選、終盤戦の疑心暗鬼〜「主役」は立候補してない公明
トヨタ「エース社員」退社続出は、“改革者”の豊田社長についていけないからなのか?
ロシアの日本人63人“出禁リスト”、笑えるところと笑えないところ
「大喪の礼」三浦瑠麗氏の読み違え、田中康夫氏ら追及。「武士の情けで…」擁護の声も
維新の梅村みずほ氏更迭に異論、ウィシュマさん「支援者」に注目集まる
ユダヤ人団体に“チクった” 中山泰秀防衛副大臣に疑問の声続出
20年前に殺害された国会議員の資料にネット注目。鳩山氏が「入手」
トランプ氏が大統領選出馬を9月に発表か、ネット民は安倍氏の国葬参加に期待
【特報】文春もひろゆきも言わない岸田翔太郎の真実 〜 首相公邸「寝そべり写真」なぜ流出したのか?
信託型ストックオプション“大増税”騒ぎ、ほとばしる国税と日経の「後出しジャンケン」
ストックオプション“大増税”騒ぎ、スタートアップ側の「記者顔負け」国税への“追及”シーン再録
「マイナンバーカード、全預貯金口座と紐づけ義務化」…2年前の記事が突如バズったワケ
鳩山由紀夫も、安倍昭恵夫人も……中国が工作の手を伸ばす「国家安全部:MSS」の正体
自民・公明「亀裂」で注目度アップの都議補選、自民は“災い”転じて足腰を鍛え直せるか?
「経験者でありますので…」共同親権の国会質問、斎藤法相の“告白”が注目
安倍元首相、布石を打ち始めていた共同親権
維新の梅村みずほ氏更迭に異論、ウィシュマさん「支援者」に注目集まる
維新・梅村氏、党員資格停止6か月の処分に。政治家女子48への移籍待望論も
学校教育を救うには部活動全廃しかない
SBI新生銀行TOB、日経のフライング報道に北尾節さく裂「聞きかじりで流すとは最低」
【特報】文春もひろゆきも言わない岸田翔太郎の真実 〜 首相公邸「寝そべり写真」なぜ流出したのか?
サミット熱もう冷却…増税避けて社会保険料の上乗せに、泉房穂前明石市長「セコイやり方」
維新の梅村みずほ氏更迭に異論、ウィシュマさん「支援者」に注目集まる
ジャニーズ問題「Colabo × 立憲民主党」で“左旋回”迷走への危惧
信託型ストックオプション“大増税”騒ぎ、ほとばしる国税と日経の「後出しジャンケン」
ウィシュマさん「支援者」問題、馬場代表会見の質疑は梅村氏処遇のみ、ネット世論とかい離
KADOKAWA元専務ら逮捕で再注目、川上量生氏の東京オリンピック関連での“古傷”
新聞休刊日前夜の動画アップ…ジャニーズ事務所のあざと過ぎる「謝罪」
人気コメント記事ランキング
- 週間
- 月間