JALとANAが相次いで株主総会を開催、航空業界に久しぶりに光は差すか
コロナ禍の苦境の中で得た新たな可能性は?- JALとANAが相次いで株主総会を開催。両社ともコロナ禍から回復見通し示す
- コロナ禍の2年間、ANAは社員にボーナスを出せないなど苦境に陥っていた
- 総会では両者とも黒字見通しを提示。コロナ禍の中、需要を伸ばしたのが…
日本を代表する航空会社、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が、それぞれ20日、21日と相次いで株主総会を行った。来期は両社ともに、コロナ禍からの回復する見通しを示した。

両社ともに今期は黒字見通し
20日に株主総会を行ったANAの親会社・ANAホールディングスの芝田浩二社長は、今年3月から政府の水際対策が緩和され、ビジネス需要が回復したとし、「コロナ禍からの回復の動きは一層強まった」と述べた。ANAは、2021年3月期に過去最悪の約4000億円の赤字を計上。2022年3月期でも約1436億円の赤字だった。しかし、今期は、連結最終損益で210億円の黒字と3期ぶりの黒字を想定しているという。
21日には、JALが株主総会を開催した。同社の赤坂祐二社長は、総会の冒頭、2022年3月期の事業報告を行った。それによれば、グループ全体では約1775億円と、2021年3月期よりは回復しているものの(2021年3月期は2866億円の赤字)、2期連続の赤字決算だった。ただ、ANAと同様、今期に関しては、コロナ前を100%とした需要の見通しでは、国内線は夏までに90%に回復。国際線も、今年度末までには60%に回復する見通しを明らかにした。赤坂社長は「2022年度は黒字化を達成する」と述べた。
コロナ禍の中、需要を伸ばしたのが…
コロナ禍で大きな打撃を受けた両社。ANAは2年の間、社員にボーナスが出せないほどの苦境に陥った。JALも2018年3月期には、好調な業績を反映して社員に年3回のボーナスを支給していたが、昨年の夏のボーナスは2012年の再上場後、最低額となる基本給の0.3か月分という寂しいものだった。
ただ、両社がコロナで得たものもある。それは、人ではなくモノを運ぶ貨物事業だ。2021年、スエズ運河で起きた世界最大級のコンテナ船「エバー・ギブン」の座礁により、350隻以上の船舶が足止めを余儀なくされた。結果、世界の貨物の12%以上が影響を受けた。そうした中、遅延のリスクが低く、輸送スピードも速い航空貨物が需要を伸ばしている。

世界中の航空会社が、貨物事業を拡大させているが、JALとANAも例外ではない。ANAは、2021年3月期の決算短信で、貨物収入が前年同期比72.1%増となったことを報告したうえで、貨物事業について次のようにまとめた。
貨物事業においては、海上物流の混乱が長期化する中、航空貨物需要は自動車関連や半導体関連部品等の北米向けの輸送を中心に引き続き好調に推移しました。自社旅客機および他社貨物機を利用した貨物便を積極的に運航し、旺盛な貨物需要に対応し増収を図ってまいりました。
決算短信によると、JALは今後も貨物事業に力を入れていくという。
また、ANAも、2022年3月期の決算短信で、貨物事業について次のように振り返っている。
国際線貨物では、経済の回復による貨物需要の活発化に加え、海上輸送の混雑に伴う航空へのシフト等により、引き続き航空貨物需要は好調に推移しました。~中略~以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は976千トン(前期比49.1%増)となり、収入は過去最高の3,287億円(同104.8%増)となりました。
ANAもJALと同様、今後の収入最大化の中心に旅客事業とともに、貨物事業を据えているという。
コロナ禍で、一時は経営危機が取りざたされたANAとJAL。海外と比べると、日本の水際対策は依然厳しいままで、コロナ前の暮らしとは程遠いのが実情だ。G7ではとうに撤廃された空港検疫所でのコロナ検査はまだ実施されていて、場合によっては自主隔離する必要もある。
しかし、遅れてはいるものの確実に、日本もコロナ禍から抜け出しつつあることは事実だ。両社ともに、今期は2期ぶりの黒字が見通される中、コロナ禍で手にした貨物事業の好調ぶりも相まって、久しぶりに光が差すか。
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