世界的な食糧危機を前に「タンパク質市場」が急拡大!大手企業も続々と新規参入
2030年の市場規模は3兆円超?「日本市場」の特徴とは- ロシアのウクライナ侵略で現実味を帯びる世界的な食糧危機
- 2025年のタンパク質危機も取り沙汰…代替タンパク質市場が活況に
- 次世代タンパク質「日本市場」の特徴は?専門家の見解は
今年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略は、既におびただしい数の死者を出しているが、そのリスクは世界中に及びかねない。ロシアのウクライナ侵略に端を発して、世界的な食糧危機が懸念されているのだ。

ロシアの海上封鎖で小麦輸出ストップ
ロシアは、この侵略の初期段階で、ウクライナの港湾や空港を重点的に攻撃した。港湾や空港への攻撃の狙いは、ウクライナへの物資の輸送を断つことにある。その結果、現在、ウクライナの港はロシアによって事実上、封鎖されている。
ウクライナへの物資の輸入を断つということは、当然のことながら、ウクライナからの物資も輸出できない。農業大国で、「ヨーロッパのパンかご」と言われるほど、ウクライナは小麦の生産が盛んだった。
国連食糧農業機関(FAO)によると、ウクライナは小麦輸出量の世界第5位。侵略前まで、年間3000万トンあまりの小麦を世界中に輸出していた。これが今は、事実上、輸出できない。なお、小麦輸出量の第1位はロシアなのだが、ロシアについては欧米の経済制裁で海外との取引がしづらくなり、輸出量が大幅に減る可能性がある。
ウクライナ侵略で深刻さ増す食糧危機
こうした中、現実味を帯びてきたのが、世界的な食糧危機だ。特に、ウクライナやロシアの小麦はアフリカや中東の比較的貧しい国々に多く輸出されてきた。これらの地域で特に、食糧危機は深刻になりつつある。
国連世界食糧計画(WFP)は5月、急激な食糧不足で緊急支援が必要な人は、アフリカや中東を中心に世界53の国・地域で約2億人に上るとの推計を発表した。前年より4000万人増加した過去最多の数だが、これは昨年、つまりウクライナ侵略の前のものだ。WFPのビーズリー事務局長は「ウクライナ戦争が世界の飢餓をさらに大惨事に陥れる」と述べた。食糧危機の主な原因は、アフガニスタンやアフリカ、中東での紛争や経済の悪化、さらに干ばつなどの異常気象が挙げられる。そこにウクライナ侵略が輪をかける格好で、事態は悪化の一途を辿っている。
2025年には「タンパク質危機」も

そして、食糧危機とともに今、世界で深刻になりつつあるのが、「タンパク質危機」だ。タンパク質危機とは、世界のタンパク質の需給バランスが崩れることを指す。
国連の調査によると、全世界の人口は現在、約78億人だが、2030年には約85億人、2050年には約100億人に達すると予測されている。人間は、1日に体重の1000分の1のタンパク質が必要とされているが、このままでは全世界の人口に、必要なタンパク質を供給できなくなると懸念されている。早ければ、2025年から2030年にタンパク質需給のバランスは崩れるという予測もある。
タンパク質が不足すると、身体機能の維持に筋肉内のタンパク質を使わざるを得なくなる。エネルギー減が筋肉になるため、筋肉量や筋力が低下する。そうなると、自然と運動機能や活動量が低下する。ひどくなると、日常生活にすら支障をきたす可能性がある。まさに、タンパク質危機は人類の危機でもある。
拡大を続けるタンパク質市場
すぐそこに迫ってきているタンパク質危機を前に注目されているのが、肉や大豆などに代わる、「代替タンパク質」だ。矢野経済研究所の調査によると、代替タンパク質(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)の2021年の世界市場規模は、約4861億円に上る。2025年には1兆1991億円、2030年には3兆3113億円にまで拡大すると予測されている。
一方、プロテインなどのタンパク質市場も右肩上がりに成長している。手軽にタンパク質を摂取できるプロテインだが、ボディビルダーやスポーツ選手が摂取するものと思う人もいるだろう。しかし、最近では健康な体作りのために一般の人も積極的に摂取している。2011年に130億円だった国内のタンパク質(プロテイン)市場規模は毎年、高い伸び率を見せ、2020年には765億円に拡大。今後も高い成長率で市場規模は拡大していくと考えられている。
市場規模の拡大を受けて、タンパク質市場は新規参入が相次いでいる。大手だけに限定しても、味の素や日本水産、日清食品がここ数年で新規参入している。

次世代タンパク質「日本市場」の特徴
健康・栄養食品やサプリメントに特化コンサルティングを行う、株式会社グローバルニュートリショングループ代表取締役で、健康食品業界で数々のヒット商品の開発に携わってきた武田猛氏は日本のタンパク質市場を取り巻く現状について「海外で先行していた植物由来の肉代替品は今、頭打ちになっています。投資家が期待したほど、売り上げは伸びていないのが現状です」と指摘する(参照:ウェルネス総研リポートonline)。
さらに武田氏は日本市場の特徴について、このような見方を示す。
日本では、肉代替品のニーズはあまり高くならないかもしれません。なぜなら、日本人は代替品という理由で選ぶより、味や好みで選ぶ傾向が強いからです。さらに、私たちは肉よりも魚のほうが健康によいということを知っています。近年の秋刀魚の価格高騰に対するメディアの反応やクロマグロの完全養殖をみても、水産業にかける期待の強さは明らかです。
日本の次世代タンパク質市場は「肉代替品よりも魚代替品においてチャンスがあるかも」との持論を述べた上で、「消費者にとって共感を得やすいことに加え、世界が納得するような、たんぱく源の提供ができるようになるとよいです」との期待を述べた。
魚代替品の重要性が増しそうなタンパク質危機の時代、“さかなクン”の出番ニーズが増えるのか?
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