物価高が争点に急浮上!高齢者直撃で与党圧勝予測の参院選に異変あるか?

フランスでは与党敗北!日本メディアの選挙予測外れづづける中...
ライター/SAKISIRU編集部
  • 総務省が24日発表した5月の全国消費者物価指数でさらに物価高。円安も追い打ち
  • 世界的にも物価高でフランス与党が選挙で敗北。コロンビアも急進左派が大統領に
  • 「高齢層はインフレに強い警戒感」と日経。投票率が高い高齢者の参院選動向は?

総務省が24日発表した5月の全国消費者物価指数によると、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、昨年の5月を2.1%上回った。原油価格の高止まりや穀物価格の高騰に加えて、急速な円安が輸入品の物価を押し上げた。

政府や日銀が物価上昇の目標として掲げる2%を2カ月連続で突破したが、エネルギーを除く指数だと、前年同月比+0.8%。値上がり幅が大きかったのは主に光熱費で、電気代が前年同月比+18.6%、都市ガス代が同+22.3%、灯油が同+25.1%だった。

物価高不満でフランス与党敗北

このニュースを日本経済新聞は、「物価高『2.5%』高齢層ほど痛み 食品・光熱費割合大きく」の見出しで報じた。記事は、内閣府の消費動向調査結果を用いて、「高齢層はインフレに強い警戒感を抱く」としたうえで参院選の結果に大きな影響を与えかねないと指摘している。

sakai000/iStock

物価高は、既に世界の選挙結果に影響を及ぼしている。19日に行われたフランス国民議会選挙では、マクロン大統領を支える右派連合「アンサンブル」が245議席を獲得し多数派となったものの、過半数の289議席には届かなかった。過半数割れの与党政党が政権を運営するのは、ミッテラン政権下以来、31年ぶりのことだ。20日付の仏紙ルモンドによると、野党グループは内閣不信任案の提出や憲法評議会による法案の違憲審査請求を多用することも可能だと指摘した。

フランスで与党が過半数割れした原因として考えられているのが、マクロン大統領の物価高対策への不満だ。フランス国立統計経済研究所が発表した5月の消費者物価指数は、前年同月比で5.2%上昇。フランスの市場調査会社「イプソス」が行った世論調査では、選挙の関心事を「家計」とする人が半数を超えた。そうした中、野党は最低賃金の大幅アップや消費税の廃止を打ち出し、議席を伸ばした。

コロンビア、杉並区も

19日に行われたコロンビア大統領選で、元左翼ゲリラの急進左派グスタボ・ペトロ氏が勝利したのも、これまで政権を担ってきた中道右派が取ってきた物価高対策への不満が理由と見られている。ペトロ氏は、大統領選で公立大学の無償化や年金改革などで格差是正に取り組むことを公約としていた。

さらに、日本でも“異変”が起きている。20日に開票された東京都杉並区長選で、立民、共産、れいわ、社民が推薦する無所属新人で公共政策研究者の岸本聡子氏が当選した。岸本氏は、政治経験がなく知名度も高いとは言えずに苦戦が予想されており、議会多数派の自公がバックアップする現職の田中良氏の再選が固いのではと見られていた。しかし、ふたを開けてみれば僅差で岸本氏が田中氏を破った。

この理由も、物価高にあると考えられる。選挙戦で、岸本氏は学校給食の無償化や、義務教育にかかる費用補助の拡充、家賃補助制度の創設、公営住宅の増設、福祉職員の待遇改善などを訴えていた。

参院選はどうなる?

激戦となった参院選東京選挙区(編集部撮影)

フランス、コロンビア、杉並区、先週末に行われた3つの選挙を、フジテレビの平井文夫上席解説委員は、自身のコラム「平井文夫の言わねばならぬ」で次のように総括した。

フランスの場合は既成政党の力がこれまでよりさらに弱くなり、左右両極の過激な政策に国民が共感している。コロンビアでは特に経済が深刻なため低所得層だけでなく国民の多くが社会主義的な政策を望んでいる。杉並は、やはり野党が共闘すると強い、ということだ。

平井氏は、7月10日の参院選でフランスやコロンビアと同じようなことが起こらないかと指摘する。

日本では物価高の原因は円安という印象だが、世界ではロシアのウクライナ侵略による資源、エネルギー、食糧の不足が物価高の原因だ。つまり物価高の「諸悪の根源」であるロシアのプーチン大統領のせいで世界中の保守政権が選挙に負けているという事なのだ。

岸田内閣の支持率は今月に入って多少落ちたとはいえ、まだ50%程度ある。さらに、自民党の支持率も他党を突き放している。大方のマスコミの予想は今のところ、「自公勝利」だろう。しかし、そのマスコミの予想も最近、あてにならない。昨年行われた衆院選では、各社とも予想を外している。議席予測の正確さに定評のあるNHKでさえ、大ハズレだった。

NHKは、自民党が「単独で過半数に届くかどうかはギリギリの情勢」、立憲民主党は「選挙前の109議席から議席を増やす勢い」と伝えたが、自民党は261議席を獲得し、過半数の233議席を大きく上回った。立憲民主党は、議席を増やすどころか13議席も減らした。

物価高は高齢者に直撃しており、その高齢者は人数も多く、投票率も高い。参院選で“異変”は起きるか⁉

 
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