「終身雇用をやめるべきか」NHK日曜討論の各党党首議論にツッコミあれこれ
「終身雇用なんて、すでに存在していない」そもそも論な意見も- 参院選に際しNHK日曜討論で各党党首が「終身雇用見直し」是非で議論し話題に
- 見直し派、維持派それぞれにネットでは、共感もあれば異論や揶揄も…
- 終身雇用の是非をめぐって20年来議論が続いてきたが、“二元論”ばかりでいいのか?
今週の前半は、6月19日放送の『日曜討論』(NHK総合)が、ネットで話題を集めた。放送時は参院選の公示を3日後に控えていたこともあり、各政党の政策責任者が激論を戦わせた。中でもネット民の心に刺さったのが、“終身雇用をやめるべきか” というテーマだった。
同番組では、「世界競争力ランキング」でわが国が34位と微妙な順位だったことを紹介。日本の競争力を高める課題の一つが雇用だとし、終身雇用の見直しについて各党党首に賛否を求めた。「終身雇用を見直すべき」を選んだのは自民党、日本維新の会、国民民主党、NHK党。一方、「終身雇用を続けるべき」を選んだのは公明党、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党だった。
「連合にすり合わせ?」国民・玉木氏に揶揄
自民党総裁として参加した岸田文雄首相は、「働く立場からの、選択の幅をもっと広げないといけない。現場には、兼業したい、副業したいなど、いろいろな働き方を望んでいる方がおられる。この選択をできるシステムを作っていかなくてはいけない」と語った。
これに対して、ネットでは「副業せんでも暮らしていける給料払わんから消費増えんし、結婚も子どもも諦めんねん。大企業ばかり優遇した結果や」という反論も。賃金が安いから副業や兼業をするのであって、そのために終身雇用を見直すべきと主張する岸田首相は本末転倒だとする意見だ。とはいえ、1つの勤務先にとらわれず自ら望んで副業する層も相当数存在するのも事実。
「終身雇用は維持が不可能」と、国民民主党の玉木雄一郎代表も、終身雇用には否定的。その上で万全のセーフティネットを構築すべだとし、「誰でも無償で職業訓練などの学び直しができ、より賃金の高いところに円滑に移動できる仕組みを整えるべき」と語った。これには「いやいや、玉木。あなたの支持母体の連合にすり合わせしたのか?」と揶揄する声。終身雇用の見直しに舵を切ろうとする経団連に対し、連合が「経団連の視点は大企業の特有の問題であり、日本の企業の99%を占める中小企業に当てはめるべきではない」と反論していることを念頭に置いたものだ。
雇用流動否定の山本太郎氏に「滑稽」とも
こうした終身雇用否定派に対して維持のスタンスなのが、れいわ新選組の山本太郎代表だ。国際競争力の引き上げと雇用の流動化は無関係と断じ、「国が衰退し続けてきたのは、竹中平蔵さん的な考え方のもとに雇用の流動化が進められて、一人ひとりの購買力が奪われていったことが原因じゃないですか。やらなきゃいけないことは、生産基盤の回帰。国が徹底的に政府調達で、日本国内で作られた商品やサービスを買う。そうやって基盤を強化し、国内の雇用がさらに高い賃金で安定したものへ変わっていく」と語った。
一方、これには「日本で終身雇用が始まった経緯を鑑みると、終身雇用維持を主張する政党に滑稽さを感じてしまう」との意見。日本の終身雇用制度は、1950~60年代の高度経済成長時代に労働力不足に悩まされた大企業によってつくられた労働者を長期的に雇用する慣習だ。それがわかっていれば、このゼロ成長時代の現在に終身雇用維持を訴えるなんて笑止千万というわけだ。
そもそも「終身雇用なんて、すでに存在していない」という身も蓋もない声も。
“二元論”ばかりでいいのか?
終身雇用の是非をめぐってはこの20年来、侃々諤々な議論が続いているが、成果主義が叫ばれ、富士通やNECなど多くの大企業で高齢社員のリストラ人事に踏み切っているのが実情だ。19年5月には、当時の経団連会長が記者会見で『終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることに限界がきている』と発言して注目された。
そうした時代に十年一日のごとく、終身雇用制の是非という“二元論”ばかりでは議論は深まらず、広がりもない。何ら具体的な解決策が提案されることなく、現実に働く労働者にとって不毛でしかない。
思うに、終身雇用について議論が深まらないのは、実際に汗水垂らして働くことなく、現場を知らない政治家たちが上っ面の議論を戦わせているだけだからではないか。本音では終身雇用が続こうが続くまいが知ったこっちゃないと、考えているような気がする。ネットには「終身雇用の是非ではなく、セーフティネットの中身の議論を深めて欲しい」との意見があったことも記しておきたい。
関連記事
編集部おすすめ
ランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
- 【スクープ】「町田小6いじめ自殺」新事実浮上、真相解明のカギ握る遺書
- 福原愛さん代理人弁護士の声明文に、紀藤弁護士「意味不明な見解」
- 町田小6女児自殺:講談社フライデー、岡田・岩崎両氏の悪質極まるフェイクとミスリード
- 「相互依存の武器化」とは?大国間の覇権争いで変質する経済的ネットワーク
- 親子を断絶する「DV支援措置」謎ルールが生む3つの“バグ”
- 原英史氏、森ゆうこ氏に勝訴!東京地裁、名誉毀損とプライバシー侵害認め賠償命令
- 2023年 SAKISIRUで最も読まれた記事は?年間ランキング発表
- グレタさん、中国の環境政策批判も中国メディアが応酬
- 日経が文春に抗議文!正当な怒りか、ただの“逆ギレ”か…関係者のヤキモキ必至
- 【ニッポンジャーナル】激動の24年最初の出演
- 【スクープ】「町田小6いじめ自殺」新事実浮上、真相解明のカギ握る遺書
- 防衛費増額なのに…弱体化した防衛産業をどう立て直していくか
- 「子どもに会いたければ正論はダメ」実子誘拐被害者を追い込む、裁判所実務
- 「共同親権」報道訴訟、SAKISIRU・西牟田氏が一審勝訴
- 東京23区の格差がネットで話題、1位の港区と23位の区の差は半世紀で倍に拡大
- 安芸高田市長にヤッシーが喝!田中康夫氏「やり方が下手っぴ。頭でっかちな偏差値坊や」
- 尾身氏の病院“焼け太り”?アエラドットの煽り記事に「誤報」指摘相次ぐ
- 5%減税でも…名古屋市の市税収入増加に注目。河村市長「減税で経済を盛り上げる」
- 福原愛さん代理人弁護士の声明文に、紀藤弁護士「意味不明な見解」
- 町田小6女児自殺:講談社フライデー、岡田・岩崎両氏の悪質極まるフェイクとミスリード
- 「共同親権」報道訴訟、SAKISIRU・西牟田氏が一審勝訴
- 「毎日新聞としておわび」記者のSNS炎上、問題の投稿を削除・謝罪
- 毎日新聞記者のSNS炎上を巡る同社への質問状公開
- ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトの正体がついに判明 !?
- 福原愛さん代理人弁護士の声明文に、紀藤弁護士「意味不明な見解」
- 安芸高田市長にヤッシーが喝!田中康夫氏「やり方が下手っぴ。頭でっかちな偏差値坊や」
- 東京23区の格差がネットで話題、1位の港区と23位の区の差は半世紀で倍に拡大
- 防衛費増額なのに…弱体化した防衛産業をどう立て直していくか
- 北村晴男弁護士「共同親権、裁判所が利権失うのが怖い」
- トヨタ「エース社員」退社続出は、“改革者”の豊田社長についていけないからなのか?
特集アーカイブ
人気コメント記事ランキング
- 週間
- 月間