参院選の最中に東京大停電が起きてしまったら…もはやあの“新興国並み”になった日本

ひろゆき氏「衰退途上国では政府がエネルギー確保怠り…」
  • 史上最速の梅雨明けで早くも電力危機に陥る日本、参院選への影響は?
  • ネットでは岸田政権嫌いの保守層から苛立ち。ただ報道では圧勝予測の情勢
  • 最近の海外で大型選挙最中に停電が起きた新興国。似て非なる電力事情とは

気象庁は27日、関東甲信越、東海、九州南部が梅雨明けしたと発表した。東京都心部はこの日最高気温35.7度を記録。関東甲信の梅雨明けは統計開始から最も早かった一方で、エアコン使用量が増加したことで東京電力管内の電力使用はたちまちピークに迫り、5月に新設されたばかりの電力需給ひっ迫注意報を初めて発令した。

予想より早く節電対策に迫られた産業界は、保険会社が社員にノートパソコンの電源を外して仕事をさせれば、ファストフードやコンビニが各店舗で電源を一部オフにし、製鉄会社がピーク時間帯の夕方の操業を停止。業務への支障が拡大し、この日だけで日本経済の損失は計り知れなそうだ。

「綱渡り」の電力使用量におののく事態に…(東電サイト)

自公圧勝予測下での電力危機

こうした事態を受け、ここまで岸田政権の“不作為”とも言えるエネルギー政策に不満を溜めていたネットの保守層などからは「天誅が下った」などの物騒な物言いも飛び出す。さらには、世論調査で自民の大勝が報じられている参院選についても

大規模停電が本当に起こって、岸田政権が追い詰められたあげくに消え去る。それはそれで結構なことかもしれない…

いまやってる参院選では自民党の勝利が予想されているけど、この酷暑で電力逼迫して大規模停電が起きれば引っくり返ると思う。

たぶん停電起きないと誰も気付かんだろ。もう何回も参院選までに停電起きて自民に大打撃与えてほしい。

などと、選挙戦最中のブラックアウトが起きた場合の影響も取り沙汰されるようになってきた。ことに原発の再稼働を求める保守系ネット民は、安倍政権時代は自民党を支持していた人たちが多く、節電に協力的な家庭にポイントを付与する制度導入など、本質論から逃げ回る岸田政権に愛想を尽かし始めている。

選挙前から物価高を争点にしようとする、立憲民主に「岸田インフレ」のレッテルを貼られても不発気味だった野党の追い上げだが、国民民主は26日、緊急政策として「再エネ賦課金の徴収停止」を発表し、「節電やポイントでごまかすのではなく、現実的な発電と家計への直接支援を」と訴えて一部ネット民の支持を広げつつある。

とはいえ、週明けの報道各社が発表した参院選情勢では「自公 改選過半数の公算大」(FNN)「自公で改選議席の過半数大幅に上回る勢い」(JNNニュース)といった具合で、与党の磐石な体制は微塵も揺るがないように見えるが、仮に大停電が選挙中に起きてしまったらどうなるだろうか。

大統領選当日も停電のフィリピン

ここ最近の海外での大型選挙の最中に停電が起きたのは、5月に大統領選が行われたフィリピンのケースがある。同国最大の電力販売会社、マニラ電力は地元メディアの取材に対し、投票日当日の5月9日、同社管内で少なくとも20件の停電があったことを明らかにした。

フィリピンの電力事情の悪さは「定評」がある。7000を超える島々のうち、有人島に限っても約1000の同国は送電や配電などインフラ整備が容易でない。日本から見ると、1986年の大手商社のマニラ支店長誘拐事件や、当時のマルコス政権を打倒したエドゥサ革命などにより、政情不安や貧困が課題で、ASEAN諸国の中でも「劣等生」というイメージもかつては強かった。

セブ市で停電し、キャンドルを点灯する女性(2015年撮影:vincentlecolley /flickr)

しかしこの10年ほどは、アキノ政権やドゥテルテ政権が、汚職撲滅や行政改革、投資計画を大胆に実行したことで経済的に上向き始め、外国からの投資も増加。何よりも人口の増え方が加速度的で、1980年に4700万人ほどだったのが2002年に8000万人に到達すると、15年に1億人を突破。平均年齢は26歳と日本人の47歳よりも若い。この勢いは経済成長率にも表れ、2012年以降コロナ禍の一時的なマイナスを除くとほぼ6〜7%台で推移してきた。

ただ、急速な成長による電力需要があるだけに、インフラが追いついていない。米軍基地を閉鎖に追い込んだピナツボ山に代表される火山国の特性を生かし、世界第3位の地熱発電容量を持つものの、総発電の半数以上を火力が占める。物価は食料などが日本の3分の1程度とされるが、電気代については1キロワットあたりでは日本よりも高く、生活コストの負担感は大きい。ゆえに配電設備に電線を違法につなぐ「盗電」も後を絶たない。

新大統領「父の悲願」原発稼働へ

バターン原発(Jiru27/Wikimedia CC BY-SA 3.0

実はフィリピンは電力事情を改善する切り札として長らく原発導入が持ち上がってきた。マルコス政権時代の1970年代から、マニラ西方約80キロのバターン半島に米ウェスチングハウス社製の原子炉を導入。このバターン原発が85年に完成し、東南アジア初の原発として稼働寸前にまで漕ぎ着けたものの、1年後に政権が倒れ、後継のコラソン・アキノ政権は、ソ連(当時)チェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故の影響から稼働を許さなかった。

しかしドゥテルテ政権は近年、バターン原発の再利用を推進。すでに老朽化している設備をどう活かすかの課題はある中で、30日に後継の大統領に就任するフェルディナンド・マルコス氏は、バターン原発を開発した父の悲願を果たすべく動くことになりそうだ。

“マルコスJr.”氏は投票日当日も一部地域で停電に見舞われたものの、原発導入を公約に掲げ、なんなく圧勝で初当選を果たした。同じ原発なしの状態でも日本は原発から逃げたい一国のリーダーが電力供給で綱渡りの日々に怯えながらの選挙戦だが、このまま小手先のポイント制だけで何もしないのか。今や、ひろゆきこと西村博之氏にはツイッターでこのように皮肉られる始末。

満足に電気が使えない発展途上国では、精密機器工場などが作られません。 21世紀の産業に電気は不可欠なので、先進国の政府はエネルギー確保の努力をしています。 ただ、某アジアの衰退途上国では政府がエネルギー確保を怠り、国民や企業に電気使用を控えさせてるそうです。

これで万一、大停電が起きたら…。投票日まで残り13日。参院選が想定より早く熱い日々を迎えている。

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