「体重の1.5倍持ち上げたら書類選考パス」エンジニア募集なのに“バーベル採用”打ち出したワケ

「企業哲学を面白がるユニークな人材」求む!
ライター・編集者

自分の体重の1.5倍あるバーベルを持ち上げられたら書類選考は免除!?――。しかも募集するのはエンジニアなど、“筋肉”とは全く無関係な職種だ。

そんなユニークな“バーベル採用”を行うのは、フィットネスブランド「VALX(バルクス)」を展開する株式会社レバレッジ。就職希望者はレバレッジの公式Twitterアカウントの投稿を引用リツイートし、そのツイートにバーベルを持ち上げた動画を載せることで応募できる。

※画像はイメージです(CreativaImages /iStock)

とはいえ、同社がフィットネス関連の事業を行う会社だからとか、仕事がハードで体力が必要だからとか、そうした理由でマッチョな人材を求めているわけではないだろう。体重やバーベルの重さは応募者の自己申告だというから、体重の1.5倍の重さを持ち上げることに大した意味はないはずだ。同社広報の吉田琴美さんは次のように話す。

「筋トレに励まれているような方は理論に基づいた方法で実践されていたりするので、論理的な思考が得意なのも事実。そうした部分に期待していないわけではありません。しかし、弊社は前例のない事業や取り組みを行う会社でもあるので、そうした企業哲学を面白がっていただけるユニークな人材に期待しています。新たな採用方法を取り入れ、人員の多様性を確保するのが一番の目的ですね」

もっともふざけているように見えるのは、採用試験の入口だけ。あとの選考過程は、一般の企業と何ら変わりはない。希望するセクションの社員、そして社長などとの数度の面接選考を無事クリアすれば、晴れて採用ということになる。おチャラけていると、不採用の憂き目に遭ってしまうだろう。人間、メリハリが大事である。

上場へ“リフティング”中

今年1月、東京・武蔵小山に開業したレバレッジ社運営の「VALX GYM」(プレスリリースより)

また同社は本業のフィットネス系メディアの運営やサプリメント販売だけでなく、さまざまなユニークな取り組みを行っている。プロテインとカクテルのコラボドリンクの考案、サウナとのコラボイベント開催などに続き、先月には筋肉に広告を掲載できるビジネスとして「マッチョ広告社」を立ち上げている。これは、依頼を受けたモデルが宣伝内容を記載したステッカーを自身の筋肉に貼り、SNS上にその画像をアップロードしていくというもので、3人のモデルが在籍する。さらに最近では、フィットネスとは無縁なM&Aビジネスにも参入。こうしたユニークな企業姿勢を広くアピールするための目新しい採用方法なのだろう。

それだけでなく、同社は2006年創業以来、黒字続きで売り上げも拡大の一途を辿っている。16期目の2021年度の売上高は、前期比362%の26億円を突破(同社の決算期は10月)。実は同社、かねてより株式上場を目指しており、現在は「直前々期」にある。直前々期とは上場準備におけるプロセスで申請期の2期前の期を指すが、上場企業として相応しい体制づくりに着手するなど、上場の行方を占う時期でもある。実際、今年4月には経営体制強化に向けて、社外取締役と監査役の4人が就任している。また、社員の採用もインターン生を含めると毎月10名程度を採用するなど、企業規模も拡大を続けている。上場準備が着々と進んでいる印象だ。今回のバーベル採用も上場準備が背景にあるのだろう。

そう考えると、バーベルを持ち上げるだけで上場企業へ就職できるチャンスが拓けるのは意外に“おいしい”かも!?

 

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