東京23区の格差がネットで話題、1位の港区と23位の区の差は半世紀で倍に拡大

ランキングは予想通りも、掘るとさらに興味深い事実が…
ライター・編集者
  • 東京23区における給与格差が、ネットで話題に。総務省調査の報道がきっかけ
  • 収入1位が港区、23位葛飾区。ランキングは予想通りだが、意外なのは…
  • 格付けに批判の声も。格差の歴史を紐解くと…

東京23区における給与格差が、ネットで話題になっている。富裕層向けの総合情報サイトが今年4月に発表された総務省の「課税標準額段階別令和3年度分所得割額等に関する調査」を基に23区の平均年収を順位付けしたのがきっかけだ。

東京の「顔」はさまざま…(franckreporter /iStock)

ランキングは大方予想通りだが…

それによると、ベスト5は1位・港区1185万円、2位・千代田区985万円、3位・渋谷区912万円、4位・中央区713万円、5位・目黒区639万円と続く。一方、ワースト5は19位・荒川区388万円、20位・江戸川区378万円、21位・板橋区377万円、22位・足立区357万円(357万9円)、23位・葛飾区357万円(356万8147円)だった。ランキング自体は、大方の予想を裏切らない結果だったのではないか。意外なのは「日本人の給与が上がらない」と言われる中、千代田区以外は昨年に比べて22区の年収が軒並みアップしている点。コロナ禍も下火になり、経済状況も改善しつつあるということなのか。

上位グループを見ていくと、何といっても港区は納得の1位だろう。23区で唯一の1000万円超えだ。東京商工リサーチの『全国「社長の住む街」調査』では、住民の7人に1人は社長だというから驚きだ。港区の1位には、こんな声もあった。

港区と葛飾区で実に3倍もの給与差?どう考えても港区の所得者は、給与所得以外にも不動産所得や株式の売却益や配当などもあるだろうから、記事中に連呼されている給与という言葉は間違いだろう。収入と所得。総合課税と分離課税の違いも分からない記者だと思う。

当たり前の結果。ただ、港区が平均で1200万弱もあるのは、1200万前後が一番多いわけではなく、何億、何十億という収入の人が平均を押し上げている要因も大きい。

格付けに批判の声も

23区のうち唯一昨年から年収が下がった千代田区は、1000万円の大台からも転落したものの、前回同様の2位をキープ。23区で最も人口が少ない千代田区だが、帝国ホテルの建て替えや高さ330m級の3本のタワーの建設など、日比谷公園周辺の再開発もスタートするから今後、高給与のビジネスパーソンが流入してくるだろう。

下位グループに目を移すと、いずれも城東もしくは城北地区に集中している。さらに共通しているのは、高齢化率が高い区であること。こうした高齢者は個人商店の店主などの個人事業主であることが多く、老後の生活は国民年金によって賄われている。年収が低い傾向にあるのは、当然といえば当然だろう。ただ、わざわざ収入の低い区をあげつらうことに批判も。

こういうのって平均で比較することになんの意味があるのか?そもそも年収比較して何がしたいのか。

庶民的なムードの足立区北千住の繁華街(2019年撮影:y-studio /iStock)

格差の歴史を紐解く

1位の港区と23位の葛飾区とでは、実に3.32倍もの格差が存在する。2015年に中央公論新社から出版された『23区格差』(著・池田利道)によると、12年の港区区民の平均所得は904万円で、最も低かった足立区は323万円。3倍近い格差だったとある。

また、11年に筑摩書房から出版された『階級都市』(著・橋本健二)には1985年当時、最も所得が高かった千代田区と最も低かった足立区の格差は2.3倍だったとの記載がある。年収は上がっても、それ以上に格差が広がっていることがわかる。

さらに別の調査によると、もっと遡った75年には港区と足立区の差は1.57倍しかなかったという。この47年で格差の幅が2倍以上広がっていることになり、もはやわが国が格差社会であることは紛れもないと言えるだろう。

 
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