回転寿司にもインフレの波…くら寿司「1皿110円」メニュー減、「1皿220円」提供へ

割安感は変わらない !?
ライター・編集者

いよいよ回転寿司が「1皿100円」で食べられなくなるのか?――。

大手回転寿司チェーンのくら寿司が6日、1皿110円(税込み)のメニューを減らし、8日から1皿220円の寿司を提供すると発表した。これまで同社では220円皿は期間限定だったが、今後は19品の220円皿がラインナップされる。一方で110円皿はメニュー全体の約6割に減らすという。

くら寿司公式サイトのメニュー一覧より

「まぐろ」は、110円だったときのものはシャリが見えるぐらいのネタの大きさだったが、リニューアルされる220円のものはシャリを覆い隠すほどの大きさ。「あぶりチーズサーモン」は110円のものは廃止されるが、220円になった分チーズの量が2倍になる。220円の皿は質・量ともにアップして、これまでの110皿と比べても割高には感じられない。

とはいえ、同社では「220円皿を強化する」としているものの、要は “値上げ”である。言うまでもなく、背景には原材料価格の高騰がある。急速な円安の進行やロシアのウクライナ侵攻などが、食材調達に暗い影を落とす。水産庁の統計によると、5月における東京都中央卸売市場の卸値は前年同月比でサバ(生鮮品)が127%、スルメイカ(冷凍品)が119%、マグロ(冷凍品)が125%、カツオ(生鮮品)に至っては実に140%となっている。

すでに業界最大手の「スシロー」は値上げに踏み切っており、同様の動きが業界に広がっていた。そんな中、くら寿司は価格を据え置いてきたが、ここにきて同社の代名詞ともいえる「1皿100円」戦略を維持できなくなってきたということか。回転寿司チェーンにおける原価率は約30%が平均だとされる。

だが、直近の財務データによると、くら寿司の原価率は45.2%だ。つまり、それだけ新鮮で美味しい寿司ネタを提供していたということだ。実はスシローも原価率は45.9%で、回転寿司チェーンは「安かろう不味かろう」のイメージを持たれがちだが、両社は凡百のチェーンと一線を画している。業界1.2位を占めるのは伊達ではないということだ。

もちろん40%を超える原価率でも利益を出してきたこれまでの企業努力を考えれば、クォリティを落として安価な寿司ネタを仕入れれば値上げをせずとも、「1皿100円」の看板を下ろさずに済んだかもしれない。

それでも美味しさの追求のため、値上げに踏み切ったのは業界2位の矜持と言える。

 
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