「#安倍晋三の国葬に賛成します」がトレンド入り、安倍氏の国葬の可能性はあるか

日本、アメリカなど各国それぞれの事情
ライター/SAKISIRU編集部
  • 安倍元首相の葬儀。今回は家族葬だが、ツイッターでは改めて国葬を求める声
  • 日本では吉田茂が最後の国葬。アメリカ、イギリス、フランスでは…
  • ツイッターでは安倍氏の国葬に賛否が二分しているが、岸田首相は…

参院選の演説中に銃撃を受け、8日に亡くなった安倍晋三元首相の葬儀が、12日午後1時から東京・芝の増上寺で執り行われた。葬儀後、安倍氏の棺を乗せた車は、長年に渡って安倍氏が活躍してきた自民党本部や総理大臣官邸、国会議事堂を巡り、東京・品川区の斎場に向かった。

安倍元首相の出棺を見送る大勢の人たち(写真:ロイター/アフロ)

ひろゆき氏「国葬にした方がいい」

安倍氏の葬儀はネット民の注目度も高く、安倍氏の葬儀関連のものと見られるキーワードが多数トレンド入りした。そんな中、注目を浴びたのが、「#安倍晋三の国葬に賛成します」というハッシュタグ。今回、安倍氏の葬儀は家族葬という形だったが、あらためて国葬をすべきだという意見だ。

在位3188日、憲政史上最長の内閣総理大臣というだけでも、国葬にすべきお方です。

日本人の殆どは国葬を望んでいる。また海外からも当然そうなるだろうと思われてる中、もし国葬にしなかったら日本人の品位と常識が疑われる。

日本の為に働く政治家の命がテロリストの銃弾により奪われた。日本はテロには屈しないという意思を示すためにも国葬をして頂きたい。

国民は国葬を願っている。世界中は安倍総理を称賛している。やらなかったら日本の威信が無いと認識される。

2ちゃんねる創設者で実業家のひろゆき(西村博之)氏も国葬をすべきだという意見のようだ。

持病を抱えながらの政治活動の最中に不慮の死を遂げた安倍元首相。政治信条はどうあれ日本国民として国葬にした方がいいと思うおいらです。岸田首相には「前例が無い」とかを理由にして欲しく無いです。

日本では吉田茂が最後の国葬

国葬とは、国に功労があった人が亡くなった時に、国家儀式として行われる葬儀のことで、葬儀の費用は国費が使われる。

戦前は、皇族や首相、旧・薩長藩主、元帥などが国葬の対象だった。

吉田茂(官邸サイト)

しかし、戦後になり法律が変わり「国葬令」が失効。日本には国葬自体がなくなった。その意味では、ひろゆき氏が国葬について「前例がない」と述べたとおりだが、正確に言うと平成以後は行われていない。昭和の戦後にまで遡ると、一度だけ吉田茂氏が亡くなった時に実施はされている。

吉田氏の国葬は、1967年(昭和42年)10月31日に日本武道館で行われているが、この時は閣議決定によって国葬を行うことが決められた。日本ではそれを最後に国葬は行われていない。

なお、その間、昭和天皇など皇族も亡くなっているが、皇族の葬儀は国費ではなく皇室費用が使われているため、厳密な意味では国葬とは区別されている。

アメリカでは大統領経験者は国葬

一方、海外では国葬は珍しくない。アメリカでは、家族が拒否しない限り、大統領経験者が亡くなった時には国葬が行われている。歴代大統領で国葬が行われなかったのは、リチャード・ニクソン(第37代アメリカ大統領)だけだ。軍人が亡くなった時も国葬が行われることがあり、日本でもなじみのあるダグラス・マッカーサー(連合国軍最高司令官)の葬儀は国葬だった。

2018年12月、ブッシュ元大統領の国葬の模様(By Dana Barciniak Public Domain

イギリスはより幅広く、国に貢献した人を国葬対象としており、ウィンストン・チャーチル(第61・63代イギリス首相)のほか、万有引力の法則を導きだした物理学者アイザック・ニュートンも国葬だった。ちなみに、マーガレット・サッチャー(第71代イギリス首相)は「準国葬」という扱いだった。

フランスは芸術大国らしく、大統領などの政治家のほか顕著な実績を上げた芸術家も国葬の対象となっている。最近では、ナチス・ドイツのアウシュヴィツ強制収容所からの生還者で、女性初の欧州議会議長を務めた、シモーヌ・ヴェイユ氏が2017年に亡くなった際に、国葬が行われた。

ツイッターでは、「#安倍晋三の国葬に賛成します」のハッシュタグがトレンド入りすると同時に、「#安倍晋三の国葬に反対します」も拡散され、さながら国論を二分するような展開となっている。今の日本で国葬を行うためには、前例からすると閣議決定で決めるしかないが、岸田首相はどうするか。結論はいずれにせよ、安倍元首相は亡くなってもなお国論を二分する影響力を与えている。

【追記】政府は14日、安倍元首相の国葬を今秋行うことを決定した。夜に記者会見した岸田首相は以下のように説明した。

外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。

こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。あわせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ、未来を切り拓いていくという気持ちを世界に示していきたいと考えています。

 
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