新垣結衣さんと星野源さん、法律的にはまだ“結婚契約” !?

日本の結婚制度の特徴とは?
2021年06月02日 06:00
弁護士
  • 新垣結衣さんと星野源さんは「時期をみて」の入籍。その間の法律的な関係性は?
  • 「婚約」も一種の「契約」。正当な理由なく破棄なら契約違反で損害賠償責任
  • 弁護士として婚姻トラブルを見てきた経験から、悲劇をもたらす「思い込み」とは

新垣結衣さんと星野源さんが、5月19日に結婚を発表した。新垣さんの結婚発表で、いわゆる「ガッキーロス」に陥ったファンがたくさんいたようだ。いまだに現実を受け止められず、「(ドラマ同様)契約結婚だ!」と思い込んでいるファンもいるそうだ(伝聞のため真偽は不明)。芸能メディアなどが報じるところによると、実は2人はまだ入籍しておらず「時期を見て入籍」と報じられている。

結婚を発表した星野源さん、新垣結衣さん(写真:アフロ)

細かな指摘で恐縮だが、婚姻の場合は新戸籍が編成(作成)されるので、誰かが誰かの戸籍に入る「入籍」という表現は法的には不正確だ。新戸籍に二人で一緒に入るという意味だと善解しよう。また、民法739条が「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」と規定しているように、婚姻届を提出して受理されれば(新戸籍作成前でも)婚姻は成立する。

では、大々的に結婚発表はしたが婚姻届を提出していない2人の関係は、法律上どうなるのだろう?

婚姻届が出るまでの関係、法律上は?

日本の結婚制度は「届出婚主義」を採用しており、婚姻届が提出されなければ婚姻は成立しない。つまり、婚姻届を提出していない2人は、法律的には夫婦ではなく戸籍も別々の状態なのだ。余談ながら、日本の「届出婚主義」は、実は世界的には少数派で、行政の係官等の面前で当人たちが一定の手続をしたりする「法律婚主義」の方が多数派だ。

「届出婚主義」を採用する日本では、形式が整った婚姻届を提出すれば法律的に婚姻が成立する。一方が無断で相手の名前等を勝手に記入した婚姻届を提出すれば、法律的には婚姻が成立してしまう。もちろん、このようなことをすれば有印私文書偽造等の刑法上の犯罪になるが、戸籍上の婚姻を解消するには裁判所で面倒な手続をしなければならない。

話を元に戻そう。新垣さんと星野さんは、結婚発表はしたものの(婚姻届が提出されていないので)法律的には夫婦ではない。こうなると、婚姻届が提出されるまでの2人の関係が気になるところだ。

結論から言えば、法律上の「婚約」が成立している段階と解釈すべきだろう。「結婚」も一種の「契約」なので、2人の現在の関係は「契約結婚」ならぬ「結婚契約」と呼ぶこともできる。「まだ婚約段階か!チャンスは残っている」と喜ぶファンがいるかもしれない(笑)

「婚約」と聞くと、婚約指輪を贈ったり結納を交わしたりする必要があると考える読者がいるかもしれない。しかし、法的には「双方が真剣に結婚する合意」があれば婚約は成立する。「真剣な合意」が肝なので、単なるピロートーク程度ではダメだ。

Pollyana Ventura/iStock

2人の場合、(契約婚約ならぬ)真剣な結婚の合意があるだろうから「婚約」が成立していると判断できる。正当な理由なく「婚約」を破棄すれば、契約違反と同様、損害賠償責任が発生する。賠償金額については、諸般の事情によって大いに異なるので一概には言えないが、50万円~200万円くらいが相場だ。

もっとも、正当な理由があれば、婚約破棄をしても損害賠償責任は発生しない。婚約関係にありながら、相手が他の異性と性的関係を結ぶ「浮気」をすれば、婚約破棄と同時に損害賠償を請求することもできる。現に、婚約成立後、一方や双方が元カレや元カノと不倫(?)をしたのが発覚してトラブルになるケースが少なくない。

結婚をブルーにしないために

その背景には、いわゆる「マリッジブルー」が潜んでいることが多い。結婚相手として1人の相手を選択すれば他の選択肢をすべて捨てざるを得ない。他の選択肢すべてを捨てることが後悔や悲しみにつながるのだ。

不幸(?)なことにもしもその人にマリッジブルーが訪れたとしても、昨今は(昔と違って)比較的容易に離婚ができるし、離婚したからと言って肩身の狭い思いをしなくても済む。結婚生活を始めて「どうしても一緒にやっていけない」と思ったら離婚すればいい。一方の離婚意思が強固で有責性もなければ、仮に裁判になっても大抵は離婚で決着がつく。やり直しのチャンスはいくらでもあるのだ。

言霊信仰が根強い日本で、「結婚」という慶事に際して「離婚」などという不吉な表現を用いるのはタブーかもしれない。しかし、「人生いつでもやり直しが効く」という心構えを持っておいた方が(結婚にせよ就職にせよ)何かと上手くいくものだ。マリッジブルーでドタバタすることもなく、結婚後もその日その日をお互いに楽しく過ごすことができる。

「やり直しが効かない」と思い込むことが原因となって多くの悲劇が生まれているというのが私の弁護士としての経験値だ。「やり直しが効かない」と思い込むと将来不安ばかりが蓄積されて、今その時を楽しめなくなるからかもしれない。

もちろん、2人の破綻を密かに願っている(?)一部のファンと違って(失礼)、私は新垣さんと星野さんにはマリッジブルーに陥ることなく、その日その日を楽しく過ごせる幸福な結婚生活を歩んで欲しいと心から祈っている。

ちなみに、ネットニュースでは新垣さんの次に「ロス」を与える存在として、長澤まさみさんの名前が取り沙汰されているが、彼女が結婚発表をしたら…密かに破綻を願わないと言い切れるか、あまり自信はない(苦笑)

 

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