ファーストリテイリング、時給最大3割引き上げへ 〜 待遇改善以外に必要な視点とは?

「コロナ後」見据える人材戦略
ライター・編集者

ユニクロやGUを展開するファーストリテイリングは14日、2022年8月期連結決算(国際会計基準)の業績予想を上方修正した。円安で海外における収益が、円換算で膨らんだためだ。

売り上げ収益は前期比5.5%増の2兆2500億円(修正前は2兆2000億円)、営業利益は同16.5%増の2900億円(同2700億円)、純利益は同47.2%増の2500億円(同1900億円)。

carterdayne /iStock

パートやアルバイトの時給引き上げへ

営業利益、純利益ともに過去最高となる見込みだが、好調な業績を背景に同社が見据えるのは“コロナ後”だ。まずは何よりも人材の確保。同社によるとコロナ禍からの経済再開で、欧米では人手不足が顕著になっているという。今後、日本でも同様の傾向が広がると見て、ユニクロやGUで働くパートやアルバイトの時給を今秋以降、約1~3割引き上げる方針を明らかにした。

現在、ユニクロの都内大型店で働くパートやアルバイトの時給は1200円以上。今年3月以降に時給を平均で3%引き上げているが、賃金面での待遇改善をさらに進めていく。秋以降の時給アップについては新規採用だけでなく、すでに働いているスタッフも対象になるという。

帝国データバンクは5月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、業種別で見る非正社員の人手不足割合は飲食店77.3%、旅館・ホテル56.1%に続き、「各種商品小売」は52.3%で3位。深刻な人手不足となっている。アパレル販売の平均時給はアルバイト・パートで約988円だが、これに比べるとユニクロの1200円は高賃金だと言えそうだ。だが、東京都のアルバイトやパート、派遣の平均時給1423円に比較すると決して高くない。同社が言うように「成長意欲があり、会社に貢献する人材の獲得競争が厳しくなってきている」中、確かにこの賃金では優勝な人材確保は難しいかもしれない。

大阪市内のユニクロ店舗(2019年撮影 bee32/flickr)

店舗オペの効率化は必要

アパレル販売というと、単なる接客だけでなく個人的な売り上げノルマがあったりするものだが、ユニクロの販売員にはそうしたノルマはない。ユニクロの接客は「ヘルプユアセルフ方式」といい、販売員自らお客に積極的に働きかけたりはしない。サイズや色の欠品で困ったり、高い位置に陳列された商品に手が届かなかったりするなど、お客から声をかけられて初めて接客を行う。

また店によっては、お客が商品をレジ台に置くだけで自動的に商品の数や値段を読み取って、会計や清算を行うセルフレジが導入されているので、いわゆるレジ打ちの仕事がないことも多い。

そう聞くと、ユニクロの販売員の仕事は楽だと思われるかもしれないが、実は体力勝負の側面が強かったりする。売り場の洋服をお客が散らかしたそばから畳んでいくのはアパレル販売の基本だが、ユニクロも同様だ。だがユニクロの場合、他のアパレル小売りと違って売り場は広く、商品の数も膨大だ。来店客数もハンパではない。商品整理が追いつかないこともあるほどだという。それ以外にも商品補充だってあるし、開店前や閉店後もやるべきことは多い。時給に比べて、決して割のいい仕事とは言えないかもしれない。

何といっても、売り上げ2兆円規模のグローバル企業である。とにかく同業他社と比べて、ユニクロはスケールやボリュームがケタ違いなのだ。同じような仕事をしていても、労力が全然違う。優秀な人材を確保したいのであれば賃金などの待遇改善だけでなく、セルフレジを導入したように店舗オペレーションの効率化といった“働きやすさ”もより必要になってくるだろう。

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