ペロシ訪台に猛反発…中国の台湾に対する「強圧的行動」の原理とは?

佐々木れな『国際問題:リアルとセオリーの結節点』#6
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学
  • ペロシ米下院議長訪台で強まる、近年の中国の強圧的行動を理論的に考察
  • 国際関係論の「強圧的行動」とは?中国の強圧的行動の増加に対する3つの説明
  • 日本は中国とどう向き合うべきか

この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。

第6回は、台湾を巡って中国のより強硬な行動が懸念される中、近年の中国の強圧的行動の背景にある行動原理を取り上げる。

台湾に対する中国の強圧的行動

8月2日のペロシ米下院議長の台湾訪問を発端に、台湾を巡り緊張が走っている。中国の王毅外相は、「米国は台湾海峡の平和と地域の安定のための『最大の破壊者』になった」ことを証明したと述べ、この訪問を強く非難した。中国外交部の報道官は、「ペロシ訪台によって生じるすべての結果は、米国側と『台湾独立』分離主義勢力が負わなければならない」と警告した。

ペロシ議長と会談した蔡英文総統(蔡氏ツイッターより)

中国は、ペロシ訪台に対する台湾への威嚇・牽制を意図した数々の強圧的な措置を発表している。柑橘類から一部の魚類、ビスケットに至るまで、台湾からの何千もの食品輸入をブロックし、台湾への天然砂の輸出を停止している。また、中国からと思われるサイバー攻撃により、台湾政府のウェブサイトが一時的にダウンした。

しかし、最も深刻なのは、8月4日から始まった台湾を事実上包囲する大規模な軍事演習である。

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