アメリカ経済の「悪夢」再び……カーター時代と同じ轍を踏もうとするバイデン大統領

2期連続のマイナスも、利上げは中途半端に...
人間経済科学研究所 代表パートナー(財務省OB)
  • 米経済は四半期GDPが2期連続マイナス。バイデン政権は「景気後退」認めず
  • 往年のカーター政権を彷彿。「景気後退」を否定する余りに残した笑い話とは
  • 現政権の中途半端なインフレ対策。ここでもカーター政権時代の記憶が…

アメリカの今年第2四半期のGDPが7月28日、前期比年率でマイナス0.9%となり、第1四半期に続きマイナス成長となった。FRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き上げている影響で住宅販売が落ち込んだことやインフレの進行で個人消費が鈍ってきていることなどが主な原因だ。

DNY59/iStock

バイデン「景気後退」否定騒動

この2期連続のマイナス成長は、一般的な定義によれば、「景気後退(リセッション、recession)」と認定されるはずだったが、バイデン大統領は、失業率が低く雇用情勢が良好であることなどを理由に、現状は景気後退という状況ではないと言って景気後退を否定した。またイエレン財務長官も、経済は安定的・持続的成長に移行しているのであって景気後退ではないと述べ、パウエルFRB議長も同様に景気後退を否定している。

これに対して野党の共和党はさっそく猛反発し、政治家だけでなくエコノミストや一般人を巻き込んで論争が起きている。この論争はネットの世界にも波及して百科事典のウィキペディアの「Recession(リセッション、景気後退)」のページは、景気後退肯定派と否定派の書き込み合戦の場になり、短時間に非常に多くの書き込みがあったため、ウィキペディアはこの項目をロックしてしまった。

この措置について、バイデン政権に批判的な人は「ウィキペディアはバイデン政権を擁護するために景気後退の定義を変えた上で、ページをロックしてしまった」とツイートしたほか、テスラ社のイーロン・マスクCEOも「ウィキペディアは客観性をなくしている」とツイートで厳しく批判した。その後現時点でも、本来なら自由に書き込みができるウィキペディアだが、この項目については、未登録ユーザーや新規アカウントからの書き込みは、ウィキペディア編集者の事前チェックを受けた上で掲載されるようにルール変更されている。

この「景気後退」否定騒動を見ていると、私は1970年代終わりのカーター大統領時代の出来事を思い出す。

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