いまの日本の電波規制では、ウクライナのように民生用ドローンで戦えない !?

【ドローンと電波:前編】海外製が「日本仕様」で性能ガタ落ち
明治大学POLARIS研究員、POLARIS-DUT(軍民両用・融合技術研究ユニット)代表
  • ウクライナがロシアとの戦いで民生用ドローンを活用したことは日本でも可能?
  • 海外製を日本で使うには日本の電波法に合わせた仕様に。性能面で何が起きる?
  • 海外製の「5GHz帯」と日本仕様の「2.4GHz帯」で何が違うのか

ロシアの侵略行為に徹底抗戦を続けるウクライナ。その中で初期から現在も活用され続けている民生用ドローン(小型マルチコプター、以降、民生用ドローン、ドローン)。戦況を伝える空撮映像はロシアの侵攻が始まって以降、現在も途絶えることなくネットで拡散され続けている。

それこそ初期の頃に与えたインパクトは日本における民生用ドローンへの意識を変えたのは確かだ。「じゃあ同じことを日本でやってみよう!」とか、「家電量販店で売ってるからいざとなれば!」なんて思ってはいないだろうか?

7月29日、キエフ地域で、偵察用ドローンの操縦訓練をするウクライナ軍の兵士(写真:Abaca/アフロ)

「電気屋で買ったドローンで…」は幻想

しかし、海外と日本がウクライナに供与及び支援を申し出た民生用ドローンを技術的に比較すると、そういった思いつきは幻想でしかないことに気付かされる。

例えばアメリカ企業の支援。米陸軍に正式採用されているSkydio社やSWATをはじめとする特殊用カスタムドローン製造メーカーBRINC社など、アメリカ政府機関と繋がりの深いドローンメーカーが機体を供与している。また、各国の市民が寄附している安価な中国のDJI社の機体はウクライナのドローン愛好家たちによって改造された特殊仕様が使われている。

一方、日本は自衛隊が保有する民生用ドローンをヘルメットや防弾ベスト等と一緒に提供すると発表している。いつものことながら、その是非について、兵器か否か、軍事転用可能か否か、攻撃にも使用出来る云々、極めつけは家電量販店で売っている…という調子で実情を知らずに想像力のみで論じている。おそらくドローンを直接手に取ったり飛ばしたことはないのだろう。

家電量販店で購入できるという点は間違いないが、以下に述べるように甘くない現実がある。

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明治大学POLARIS研究員、POLARIS-DUT(軍民両用・融合技術研究ユニット)代表

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