イーロン・マスク氏が中国の「検閲当局」機関紙に寄稿、気になる内容は?

「雑誌『中国網信』からの招待に感謝します」
ライター
  • イーロン・マスク氏が中国の月刊誌『中国網信』に寄稿
  • クリーンエネルギーや人型ロボットなど、4項目に渡って見解を述べた
  • 中国と距離を縮めることについて「綱渡り」と危惧する声も
マスク氏の寄稿記事と見られる画像(中国サイト「IT之家」より)

米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、中国の「国家インターネット情報弁公室」機関誌にコラムを寄稿し、話題となっている。

国家インターネット情報弁公室は中国のネット空間の管理や監督を行う行政部門で、不適切と見なされたコンテンツを検閲する権限を持つ。

テクノロジーの進化4項目語る

機関紙は今年1月に創刊された月刊誌「中国網信(=中国ネット情報)」。マスク氏の寄稿文のタイトルは「科学技術によって素晴らしい未来が創造されると信じている」というもの。リード文は「雑誌『中国網信』からの招待に感謝します。科学技術や人類の未来に対する私の考えを中国の友人たちと共有でき、嬉しく思います」とある。

科学技術の発展に伴い、テクノロジーが人類の能力を超越する日が来るのかもしれない。こうした見方には楽観論、悲観論それぞれあるが、私たちが自惚れることなく緊張感を持ってテクノロジーを発展させていけば、人類の未来は素晴らしいものになると信じています。

と書き出し、4項目について語った。

1つ目はクリーンエネルギーについてで、

最終的には、世界経済は持続可能なエネルギーによって運転されることになるだろう。

と予言。太陽光や風力、水力、地熱、原子力などによって生成されたエネルギーが貯蔵・運搬される未来を描いた。

2つ目は人型ロボットについて。テスラ社は2021年に人型の「テスラボット」を発表した。

テスラロボットは最初は退屈な単純作業や危険性の高い仕事に従事する位置付けですが、将来的には各家庭で料理や芝生の手入れ、高齢者介護なども担えるようになることを目標としています。

3つ目は「脳接続コンピューター」。コンピューターを人間の脳に融合させることで、脳の機能に障害のある人への助けになるという。

この技術は人類と人工知能を融合させ、最終的には人類と世界を拡張し、他者との新たな相互作用を生み出すことになるでしょう。

2019年1月、訪中時に李克強首相と会談するマスク氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

最後は「宇宙探査」について。

私の最大の願いは、人類が火星上で自給自足可能な都市を作り出すことです。

と言い、

私たちは一度に100人の乗客や物資を乗せられる史上最大のロケット「スターシップ」を計画しています。未来には、少なくとも1000隻の「スターシップ」を作り、開拓者を火星に送って自給自足都市を建設できるでしょう。

と語った。

文末では、

志を同じくする中国の仲間たちとともに、クリーンエネルギーや人工知能、ロボット、宇宙探索などの分野に身を投じ、期待できる明日をともに作っていきたいと思います。

と締めくくった。

中国市場で31万台

深圳のテスラのショールーム(2016年撮影、DKart /iStock)

テスラは2021年には93万台の電気自動車(EV)を販売。地域別に見るとアメリカ市場で約35万台、次いで中国市場で31万台を売り上げており、同社にとって中国は無視できない存在だ。

ただ、政治体制の異なる中国へ傾倒することへの懸念の声もある。慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授の清水勝彦氏は「修羅場をくぐってきただけあって中国政府ともアメリカ政府ともうまく(なんとか?)やっていく自信があるのでしょう。ただ、アリババのマー氏もこんなことになるなんて夢にも思わなかったはずで、本当に「綱渡り」だと思います」と指摘した。

近年、中国を念頭に置いた経済安全保障が注目されており、以下のような声もあった。

大国家の対立とテクノロジーを通した人類の繁栄、どっちを取るの?という話になりつつあるな。

米中対立のなかでマスク氏はどう動くのか、今後も注目されそうである。

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