外国人起業家に無担保で1500万円融資…どうすれば東京都の炎上は避けられたのか
外国出身の起業家増やす対策は必要だが...- 東京都が外国人起業家に最大1500万円を無担保融資する支援策が炎上
- 外国人起業家が少なすぎるのが背景だが、「小池さんはアホなの?」酷評も
- 経産省はスタートアップビザなどの対策に乗り出しているが、本来やるべきは…
東京都が発表したある独自政策が、ネット上で“炎上”している。
「外国人起業家の資金調達支援事業」という政策で、東京都で事業計画の認定を受けていることなど、一定の条件を満たした外国人起業家に対して、最大1500万円の融資(利率2.7%以内)を原則、保証人不要、無担保で融資するというものだ。
ひろゆき氏「小池さんはアホなの?」
外国人起業家を招くための優遇策とはいえ、この制度を知ったネットの保守層が今月上旬、中国や韓国出身の利用者が増えることを懸念して話題になり始めた。当初はSNSでの炎上にとどまっていたが、15日になって、2ちゃんねる創設者で実業家のひろゆき(西村博之)氏がツイッターで反応。
外国人が創業すると東京都が1500万円を保証人無しで貸してくれる夢溢れる政策。無担保なので使い切ったら中国に戻るだけでOKです。中国まで取り立てには行きません。払うのは都民の税金。都知事の小池百合子さんはアホなの?
この政策への感想を酷評し、ツイートは5万件を超える「いいね!」が付く注目を集め、大手メディアのネットニュースでも取り上げられたことで問題が広く知れ渡るようになった。
外国人が創業すると東京都が1500万円を保証人無しで貸してくれる夢溢れる政策。
無担保なので使い切ったら中国に戻るだけでOKです。
中国まで取り立てには行きません。払うのは都民の税金。
都知事の小池百合子さんはアホなの? https://t.co/uSKL5G86zm
— ひろゆき (@hirox246) August 14, 2022
ひろゆき氏のツイートに反応するユーザーの多くは、この政策に否定的で、「なんで日本人には渋るのに外国人には大盤振る舞いなんだ」といった意見が散見された。
なお、ネットでの注目を背景に、自民党の川松真一朗都議が都の担当部署に確認したところ、18日現在で3ケタの申込者があったものの、同日時点で認定された事業はまだないことをツイッターで報告。「東京都の審査も甘くはないので、中々次の段階に進んでいません」と強調した。
【報告】
外国人起業支援事業1500万円融資の件ですが、現時点で融資件数は0。まだ1つも認定されていません。申請に向けての問合せは3桁を超える数が集まっているようですが、東京都の審査も甘くはないので、中々次の段階に進んでいません。金融機関審査にも進んでない。今日時点での調査結果です。
— 川松真一朗【Statesman、墨田区選出・41歳】 (@kawamatsushin16) August 18, 2022
米経済引っ張るのは移民出身経営者
ただ、今回の東京都の支援制度の是非はおいても、日本で外国人の起業家が少ないのは事実だ。世界最大の経済大国・アメリカでは、外国からの移民や2世が経済を引っ張っている。グーグルの共同創業者のセルゲイ・ブリン氏はロシアからの移民。ブリン氏だけではなく、アメリカの大手IT企業の創業者の中には、外国出身者が少なくない。グーグル、ズーム、ウーバー、テスラ。これらの企業に共通するのは、外国人や移民がアメリカで創業したという点。
また、アメリカ・シリコンバレーでは、外国人起業家の割合は半数弱(46%)に上る。日本は、アメリカはもちろん各国と比べても、外国人起業家が少ない。「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」によると、ベルリンにおける外国人起業家の割合は43%、ロンドンは42%だった。アジアでは上海が36%、シンガポールは35%、北京が23%の中、日本はわずか2%にとどまっている。
現在、世界各国では、将来、莫大な税収を国にもたらしてくれるかもしれない有望な外国人起業家を誘致するための競争も激しくなっている。日本はつい最近まで、そうした競争に一切参加できずにいたが、遅ればせながら状況は変わりつつある。
経産省は対策に乗り出すも…
経済産業省は自治体と協力して、2019年から「外国人起業活動促進事業」をスタートした。起業を目的として来日する外国人に対して、一時的な在留資格を認める制度(スタートアップビザ)を開始している。
現在まで、福岡県福岡市を皮切りに、大阪府大阪市、神奈川県横浜市、東京都渋谷区といった17の自治体がこの事業を活用して外国人起業家の誘致に力を入れている。スタートアップビザを実施する自治体は今後も増えていくと考えられている。なお、今回話題になっている東京都による、「外国人起業家の資金調達支援事業」は、経済産業省の事業とは全く別のもので、東京都独自の取り組みだ。
外国人起業家が日本市場に参入することで、シリコンバレーに代表されるような多様性によるイノベーションが創出されれば、市場は活性化するだろう。ユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業)が生まれる可能性もあり、そうした場合、国や自治体も税収によって潤う。
しかし、外国人起業家を増やす取り組みを実施するのであれば、経済産業省や個別の自治体ではなく、国が主導して特区をつくるような規制改革をすべきではないだろうかという疑問も生じる。世界各国で、いわば才能のある外国人起業家の取り合いになっている中で、このまま砂に水を撒くような「分配」でいいのだろうか。
また、東京都も東京都で、外国人起業家を巡る世界的な潮流や、なぜ今、東京都が外国人起業家の誘致に力を入れているのかを丁寧に説明していれば、今回のようなネット炎上は起こらなかったのではないか。
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