「マイナンバーカード、全預貯金口座と紐づけ義務化」…2年前の記事が突如バズったワケ

「統一教会」と結びつける向きも...
ライター/SAKISIRU編集部
  • 「マイナンバーの全口座ひも付け 義務化」毎日新聞の記事がネットで話題に
  • 「いよいよ本性出した」ネットで非難が起きるも、実は2年前の5月の記事
  • 実際は義務化は見送り。それでも政府への不満や批判が噴出する背景は?

ここ数日、ネット上をざわつかせている記事がある。毎日新聞の「政府、マイナンバー「全口座ひも付け」義務化検討 来年の法改正目指す」という見出しの記事だ。

記事では、政府がマイナンバーと、国民が開設しているすべての預貯金口座を紐づける検討に入ったと報じている。新型コロナの対策として行った現金給付がマイナンバーと預貯金口座が紐づいていなかったことで、目詰まりが起こったことが背景にあるとしている。

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「だからマイナンバーは作りたくない」

この記事にネット上では、次のような大反発が巻き起こった。

いよいよ本性出した。国民の資産状況把握して、お布施をとりやすくしようってね。

とにかくあの手この手で草の根作戦で国民の金を吸い上げる方法を模索しているっぽいんだよな。

収入少なくても節約し貯金してる人もいる。プライバシー侵害の他、資産状況だけ見た給付の制限等、絶対弊害がでる

だからマイナンバーカードは作りたくない。

また、埼玉県労働組合連合会(埼労連)の公式ツイッターアカウントも「はっきり言って、やめた方がいいと思います。いろいろな意味で。違法使用、データ流出、必ず起きます。いまの状況では」と反発していた。

記事の配信は2020年5月

しかし、ネット上を騒がせていたこの記事。実は、2年前の2020年5月31日付の記事なのだ。毎日新聞は記事では、マイナンバーカードと預貯金口座の紐づけを義務化する法案を、来年の通常国会、つまり昨年の通常国会で成立を目指すとしていたが、実際にはそういった法案は成立も提出もされていない。それどころか、昨年、政府はマイナンバーカードと預貯金口座の紐づけ義務化を正式に見送っている。

昨年11月、当時の平井デジタル改革担当相は「(マイナンバーカードと預貯金口座の紐づけは)個人の希望に沿ってやるということは基本的には変わっていません。国民に対して義務化はしません」と述べている。

毎日新聞が報じた2年前の時点では、義務化も検討されていたのかもしれないが、政府はマイナンバーカードと銀行口座との紐づけは、あくまで利用者の任意とすることに方針転換しているのだ。今後、義務化が再検討される可能性はあるが、今のところそういった動きにはなっていない。

metamorworks /iStock

旧統一教会と結びつける向きも…

なぜ2年前に配信された記事、しかも政府が見送りを決めたものが、ここに来てツイッターでトレンド入りするほどの話題となっているのか。はっきりとした理由は定かではないが、旧統一教会問題に自民党が揺れるこの機に乗じて、自民党や政府叩きをしたいのではとみられるユーザーも少なからずいたことは事実だ。ことさらに、2年前のこのニュースと旧統一教会を結び付けて攻撃するユーザーも少なくなかった。

とはいえ、そうした思惑を持ったユーザーは少数派ではないか。ツイッターを見る限り、多くのユーザーは本気で心配し、そして怒っていた。そこからは、マイナンバーカードと国民の全預貯金口座の紐づけの義務化を、今の政府であれば「やりそうだ」、そして今の政府には「やられたくない」と多くの人が思っているということが読み取れる。つまり、国民が政府への不信感を募らせているのではないか。

マイナンバーカードの普及の目的は、基本的には国民の利便性の向上にある。たとえば、毎日新聞が報じたように、マイナンバーカードと全預貯金の紐づけが実現した場合、政府は国民の資産状況をより簡単に把握できるようになり、本当に困っている人に素早く給付金を支給することも可能だろう。コロナの給付金支払いが遅れたのはそれが一因だった。

しかし、情報を握る政府への不信感が高まっている状況では、そうした利便性の向上よりも「何に情報が使われるか分からない」といったリスクに目が行く。政府は躍起になってマイナンバーカードの普及拡大を急ぐ。しかし、政府への不信感によって、マイナンバーカードの普及が進まないという状況が今ではないだろうか。

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