地元メディアが報じない沖縄県知事選のリアル 〜 玉城知事「公約実現率99%」のウソ
【選挙戦展望:前編】本土復帰50年、県民の選択は?- 沖縄県知事選が告示、下地幹郎、佐喜真淳、玉城デニーの3候補が名乗り
- 「下地氏の出馬が玉城氏に加勢」前回書いた知事選の構図は?
- 選挙直前の県議会で紛糾…玉城氏「公約実現率99%」のウソ
全国屈指の人口の自然増加率を誇っていた沖縄も、いまや人口減少時代(かつ急速な高齢化時代)に突入している。若年人口の増加という「沖縄最大の優位性」が失われるのに伴い、沖縄は初めてその「地力」を評価される局面に立たされているのだ。
本土復帰50年という節目にあって、この難局を正しく認識し、有効な対抗策を打ち出せる指導者を選ぶことが沖縄の未来を決するといっても過言ではない。

9月11日(日)に投開票の沖縄県知事選挙が8月25日(水)の告示日を迎え、いよいよ本格的な戦いがスタートした。立候補したのは(届け出順)、無所属で前衆議院議員の下地幹郎氏(61)、自由民主党、公明党が推薦する前宜野湾市長の佐喜眞淳氏(58)、オール沖縄会議(社会民主党、沖縄社会大衆党、日本共産党、立憲民主党、れいわ新選組など)が支援する現職の玉城デニー氏(62)の3候補。
事前の報道では、他に無所属の2候補が立候補すると伝えられていたが、告示日を迎えても届け出は出ていない。IR汚職に絡んで昨年下地氏を除名処分とした日本維新の会は自主投票を決め、参政党、NHK党は候補者擁立を見送っている。参政党は、自民党からの支援要請はあったが、断ったという。
7月23日掲載の拙稿「沖縄県知事選:下地前衆院議員、参政党の出馬で「デニー楽勝、自民絶体絶命」か」では、下地氏の出馬が玉城氏に加勢することになるという予測を伝えたが、いまもその構図は大きく変わっていない。しかしながら、このひと月ほどの間に、各陣営の姿勢に変化が生じているので、今回はそうした変化を踏まえて、知事選の行方を占ってみたい。
玉城知事「公約実現率99%」のウソ
もっとも際だった変化は、7月31日の事務所開きで挨拶に立った玉城知事が、「公約実現率は99%」と発言したことだった。これには驚いたというより、開いた口が塞がらなかった。「とんでも発言」といっていい。なぜなら、昨年秋の段階で玉城知事自身が公約について発言した内容とまるで異なっていたからである。
玉城知事は、昨年9月21日の県議会で、身内(オール沖縄)の県議から行政上の実績について問われて、「就任時の公約は291本、達成した公約は5本、着手した公約は6本」というデータを自ら公表したのである。公約実現率でいえば1.7%、100点満点で1.7点という救いようのない落第点だった。この数字のせいで地元メディアはちょっとした騒ぎになったが、当時の玉城知事は悪びれることもなく、「公約実現に向けて努力する」といって平然としていた。

ところが、あれから1年も経たないのに、玉城知事は「公約実現率99%」と言い出したのである。「1.7%が99%」はふつうならありえない。玉城知事が寝食も忘れて公約実現のために奮闘したとしてもおいそれと達成できない数字だ。玉城氏はスーパーマンなのか、それともたんなるウソつきなのか。
今年6月の県議会でのやり取りにその「謎」を解く鍵があった。玉城氏や県庁担当者の議会での答弁をまとめると、「291本の公約のうち実現完了したものが8本、推進中(予算化したもの)が279本」ということを意味するらしい。なんのことはない、玉城氏は予算が付いたものすべてを実現したものと見なしていたのである。
予算が付いたからといって公約の実現を意味しないことは、子どもでもすぐにわかることだが、知事は8本の実現した公約と279本の予算化した公約を合算し、「291分の287」という分数を導き出した上で「公約実現率99%」と言いだしたのである(厳密には98.6%)。
知事はその後も、マスコミ等が主催する立候補予定者の討論会などで「公約実現率99%」を進んで口にし、有権者に対するPRに努めているが、これはまやかしや誤魔化しですらない。明らかなウソだ。6月の時点では、この公約実現率をめぐって県議会は紛糾し、メディアも問題にしようとしたが、選挙戦が本格化するにつれ、置き去りにされてしまった感がある。本来ならもっと厳しく追及されるべき、有権者に対する背信行為である。
だが、現在までのところ「知事のウソ」は争点になりそうもない。「デニー人気」は依然として高いままで、佐喜眞氏の劣勢は直ちに改善されそうもない。それどころか…。(後編へ続く)
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