選択的夫婦別姓のリアル③ 稲田氏に「待った」自民党内外、異論まとめ

反対から、別の賛成論まで多彩に
2021年04月28日 06:00

Yagi-Studio / iStock

選択的夫婦別姓について稲田朋美氏は“婚前氏続称制度”を提唱しているが、自民党内では反対派の声も根強い。

山谷氏(参議院サイト)

選択的夫婦別姓制度に慎重な対応を求める議員連盟「『絆』を紡ぐ会」共同代表の山谷えり子参院議員は、次のように主張している(参照:朝日新聞デジタル)。

「社会の基礎単位は家族。選択的夫婦別姓というのは、ようするにファミリーネームの廃止。氏が、個人を意味するものに変化する。家族が、社会の基礎単位ではなくて、個人の寄り集まったものみたいに変化していく可能性は大きいのではないでしょうか」

ファミリーネームの廃止はやや言い過ぎのようにも思えるが、“家族=同一の姓”というイメージを持つ人は、一定数存在する。山谷氏は、通称使用を支持する立場だ。

「通称使用は色んな分野で拡大されています。私自身、マイナンバーカードやパスポートも旧姓を併記していて、不都合なくやっています。一方で、不便を感じているとの声もあるので、見直せるところは見直したらいいんじゃないでしょうか」

選択的夫婦別姓制度は、希望者に選択肢を広げる制度に過ぎないが、それでも“家族の絆”が崩れることへの懸念があるという。

「2015年の最高裁判決も家族の呼称を一つに定めるのは合理性がある、と判断している。選択肢が広がるのも良いことだと思っているんだけれど、家族の存在、絆を保つのがなかなか難しくなるんじゃないでしょうか」

丸川氏(内閣府サイト)

自民党の有志議員50人は1月末、地方議会の議員に対し、選択的夫婦別姓に賛同しないよう求める文書を送付。そのなかには、男女共同参画大臣の丸川珠代参院議員や前総務大臣の高市早苗衆院議員の名前も連なっていた。

丸川議員は選択的夫婦別姓に反対する理由について、福島瑞穂社民党党首に国会で8回にわたって問われると、次のように答えた(参照:毎日新聞デジタル)。

「家族の一体感について議論があって、これは家族の根幹に関わる議論なんだなという認識を持ったということ」

夫婦別姓を認めると”家族の一体感が損なわれてバラバラになり、家族の解体を招く”という、反対論者の一般的な意見を述べるに留まった。

時代にマッチした形へ

越智氏(衆議院サイト)

他方、反対派が根強いように見える自民党だが、近年は柔軟な意見も出始めている。福田赳夫の孫で東京都世田谷区を地盤とする越智隆雄衆院議員は、選択的夫婦別姓に賛成の立場で、こう語っている(参照:現代ビジネス公式サイト)。

「時代が変わり、少子化が進み、人生100年時代といわれ、夫婦や家族のあり方も仕事の仕方も多様になってきた。そのなかで、現行の制度はいわば『同姓強制制』。それを『別姓選択制』に変え、選択肢を増やすという話です」

通称使用については、慎重な立場だ。

「本名と通称というふうに名前が複数あると、本人確認という概念とあわなくなるし、社会設計としてどうかなと思うんですよね。もちろん、別姓が認められて、社会が壊れるんじゃないかという不安には慎重に応えるべきだとは思います」

浜田氏(衆議院サイト)

3月25日には、自民党の「選択的夫婦別氏(姓)制度を早期に実現する議員連盟」が発足し、100人余りが参加。会長の浜田靖一元防衛相は、次のように語った。

「世の中は時代にマッチした形で変わっていくべきだ。国民にわかりやすく議論し、制度の実現に向けて努力していきたい」

選択的夫婦別姓に完全に反対の立場から、通称使用の法制化、婚前氏続称制度の法制化、選択的夫婦別姓に賛成まで、自民党内の意見もさまざまだ。

一方、立憲民主党をはじめとする野党は選択的夫婦別姓に賛成の立場。同党の井戸まさえ元衆院議員は、婚前氏続称制度ではなく、あくまでも選択的夫婦別姓制度の導入が必要だと説いている(参照:朝日新聞デジタル)。

婚前氏続称制度は、離婚後に婚姻中の姓を名乗れる”婚氏続称制度”の派生形だが、一人の人間が複数の名前を持つという意味で、問題があるというのだ。

井戸氏(立憲民主党サイト)

「離婚後も結婚していた時の氏を使い続ける『婚氏続称制度』ができたのが1976年です。当時は、姓を戻すことで離婚というプライバシーを開示しなければいけないことが大きな問題でした。制度ができてその問題はクリアしましたが、これは実は『ひとりの人が二つの氏を持つ』という禁じ手です」

禁じ手をクリアにするには、選択的夫婦別姓というシンプルな制度のほうが良いという主張だ。

「今回、稲田さんがこの制度を応用した『婚前氏続称制度』を提案しましたが、禁じ手をさらに広げ、混乱を招くでしょう。なぜそんな面倒なことをしなければいけないのでしょうか。表面的な解決で終わってしまうことは、夫婦別姓が選べない状況を維持することにつながりかねません」

男性にとって不利益であっても、制度変更が必要だという。

「医学部の入試差別のように、見えない差別は当たり前に存在してきました。真の男女平等のためには、男性が既得権益を手放さなければいけない苦しいものです」

平等な社会とは、どうあるべきか。今後の議論に注目したい。

最終回に続く

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でSAKISIRUをフォローしよう!

関連記事

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事