統一教会問題で区切りと思いきや、「五輪疑惑」森喜朗元首相に累は及ぶのか

産経「森元会長に200万円」報道、岸田自民党「嵐の9月」へ
SAKISIRU編集長
  • 自民党は岸田総裁が旧統一教会との関係決別を宣言
  • これで区切りかと思いきや、燻り続ける五輪組織委汚職事件
  • 森元首相に関する「疑惑」報道、毎日に続き産経も…

岸田首相(自民党総裁)は8月31日、新型コロナ感染によるリモート執務から復帰し、記者会見で茂木幹事長に対し、党として旧統一教会との関係を調査するように指示をしたことを明らかにし、関係を絶つと宣言した。

今後、旧統一教会側が逆恨みをして、同党議員との過去の関係性を暴露する挙に打って出る可能性もあるが、一連の問題で内閣支持率は下落の一途。事は、関係性が最も強い清和会(安倍派)を揺るがすだけでない。安倍元首相の国葬問題も相まって政権の基盤をも脅かし始めたことを考えると、この月替わりのタイミングで区切りをつけざるを得なかったといえよう。

記者会見で、国民に陳謝した岸田首相(官邸サイト)

そして、これは意外に誰も指摘していないが、7か月後に統一地方選が控えている。いまの状態で問題を長引かせた場合、政権与党の「基盤中の基盤」である地方議員たちの命運を左右する可能性も出てくる。保守地盤が強固な地方で目立った政変は考えづらいものの、選挙民が移り気な都市部では、維新や参政党といった存在が保守票の新たな受け皿になりうる。

実際、維新は馬場新代表が就任早々、現在約400人の地方議員を600人に増やせなければ辞任すると宣言し、党勢拡大に本気モードだと見せつけた。参政党も500人規模の擁立を目指している。東京では、都民ファーストの会もあって小池都知事が逆襲の一手をどう打ってくるのかも焦点になる。

全く終わりが見えない問題」。こう頭を抱えていたのが、岸田首相に近い議員だ。今後どうなるかと尋ねられた筆者は「国葬までは何をやっても炎上するが、『人の噂も75日』。ワイドショーが同じ話題で回し続けられるかといえば視聴者も飽きがくるし、国葬の後まで引っ張り続けるのは難しいのではないか」と自分なりの予測を伝えた。ただし、この時、筆者はこうも付け加えた。「新しい燃料が投下されるとその限りではない」。

特捜部の本丸は森氏なのか?

その新しい炎上の燃料になりかねないのが東京オリンピック・パラリンピック組織委員会を舞台にした汚職事件。すでに組織委元理事の高橋治之容疑者とAOKI創業者の青木拡憲前会長が東京地検特捜部に逮捕された。永田町もメディアも注目しているのは、特捜部が「本丸」をどこに置いているのかだ、高橋容疑者らの疑惑が最初に表沙汰になった時からささやかれていたが、大会の約半年前まで組織委員長を務めた森喜朗元首相が本丸だという説が根強い。

2019年7月、東京五輪1年前イベントに出席した森氏ら(官邸サイト)

実際、森氏と、高橋・青木両容疑者との接点にクローズアップする報道も出始めている。最初に切り込んだのは毎日新聞。8月23日、高橋容疑者が森氏に青木容疑者を紹介したと説明している、とスクープした。

毎日新聞の取材に対し、森氏の代理人弁護士は「職員の慰労会のため、高橋氏の紹介で、青木氏が経営するカラオケ店を使ったことはあります」としながらも、「森氏、高橋氏、青木氏が3人で会合を持ったことはありません」と否定的なコメントをしている。

この手の報道が出た時、メディア側の勇み足か、特捜部の観測気球なのか、見極めが重要だ。仮に特捜部の本丸が森氏だとしても、毎日が記事を書いたのは、高橋氏らの逮捕から6日後のことで本人たちの取り調べ、起訴に向けて道半ばの段階だ。すでに事前の内偵で高橋、青木両容疑者の起訴後を見据えたシナリオも固まっているのであれば、特捜部が観測気球をあげた可能性もあるが、特ダネ競争で功を焦った毎日が特捜部の思惑より早打ちした可能性も捨てきれない。

後者の場合、特捜部が怒ってその社をしばらく出禁にすることがままある。2004年7月、当時、特捜部が調べていた日本歯科医師連盟(日歯連)の闇献金事件で、橋本龍太郎元首相が1億円の小切手を受け取ったことを読売新聞が1面スクープで報道。しかし、特捜部が観測気球をあげていこうと思ったタイミングより早かったのだろう。幹部の「逆鱗」に触れて読売は出禁処分に。東京郊外の地検支部の取材まで一時対応せず、当時、支部担当記者だった筆者が巻き添えで困ったこともあった。

「2発目」産経が特報

さて毎日の記事はどうか。森氏の話を書いた後、捜査情報で目立った独自取材の記事は出ていない。出禁を食らったのかどうかは知らないが、他社で追随する動きはその時点ではなかった。勇み足ではないのか…と思った矢先、産経新聞がこの未明、勝負をかけてきた。青木容疑者が森氏に「がん治療のお見舞い」として現金200万円を手渡したと供述していると報じた。

<独自>「森元会長に200万円」青木前会長供述

森氏サイドは現金の授受を否定している。一方で、AOKI側が高橋氏とのやりとりを録音し、その音源データを特捜部が押収・分析していることがこれまでの報道で明らかになっているが、これまでの捜査の積み重ねの上でのことか。特捜部が自信を持ってリークしたのか、産経の勇み足なのか。毎日以外の社で、森氏の関わり合いを報じるのは初めてで、現金の授受にまで踏み込んで書いている。

安倍元首相の国葬までの約1か月。永田町に「9月の嵐」が吹き荒れようとしている。

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