“村神様”今オフ渡米の追い風? ヤクルト村上、24年ぶり円安下での「最年少50発」

輸出産業で上方修正相次ぐ中...
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役
  • ヤクルト村上が史上最年少のシーズン50号本塁打の快挙
  • 五冠王も射程に…記録づくめで焦点になるのがメジャー移籍の時期
  • 松坂のレッドソックス入り当時と大きく変わった円相場

プロ野球・東京ヤクルトスワローズの村上宗隆内野手が2日、神宮球場で行われた中日ドラゴンズ戦で右越えの3ランを放ち、今シーズンの本塁打数を50の大台に載せた。

日本人選手がシーズン50本を放つのは、2002年の巨人・松井秀喜以来で20年ぶり。22歳7か月での快挙は、1964年に巨人・王貞治が24歳でマークした最年少記録を塗り替えるという大快挙となった。

2021年8月、東京オリンピック決勝で先制弾を放った時の村上(写真:AP/アフロ)

いまやネットで「村神様」の愛称が定着した若武者の勢いはとどまるところを知らない。毎日新聞の電子版は、新記録の一発が出た直後の昨晩19時過ぎにはデジタル版で記録速報だけではなく、1000字ほどのコラムを早々とアップしていた。もちろん記者が事前に仕込んでいた予定稿だが、「『村神様』タイトルは何冠に?」というテーマで、2004年のダイエー松中信彦以来、18年ぶりとなる三冠王に加えて、出塁率と安打数でもリーグトップに立つ「五冠」をも射程にとらえている凄みを論じている。

さて、ここまでの快挙を達成となると、ヤクルトファンならずともプロ野球ファンが気になるのが「村神様がいつ海を渡ってしまうのか」。大台50発が近づくにつれ、ここ数日、週刊誌系のネットニュースが書き始めてきた。海外FA権の取得は6年後の2028年シーズン中の見通しだが、誰もそこまでかかるとは思ってはいまい。大谷翔平が23歳だった2017年、日本ハムからポスティングシステムを使ってエンゼルスに移籍したケースもある。

あとは本人と球団、メジャー側の意向が“一致”すれば、今シーズンオフも理論的にはあり得る。本人はもちろん、球団としても「売り時」がある。2006年にポスティングで渡米した西武・松坂大輔の事例では、球団にはレッドソックスから60億円(当時のレートで約5111万ドル)もの移籍金が入って話題になった。これを原資として球場の改装費に充てられたことが話題になったが、メジャー側の経営圧迫を背景に現行制度の移籍金は、上限が2000万ドルに抑えられている。

日本の球団に入る移籍金はドル建てでは確かに6割も減った公算だが、現在の相場で見ればマイナスばかりではない。松坂のボストン行きが決まった16年前の相場は1ドル111〜117年台で推移していたのが、ここにきて円安はとうとう24年ぶりの1ドル140円台に突入した。円安により、輸出産業で上方修正が相次いでいるが、年内には145円に突入するという専門家もいる。

もちろん為替で、球団が日本球界の至宝ともいえる村上の移籍を容認するわけではないが、実入りが増えるという点では村神様の渡米に「追い風」になるのだろうか。いずれにせよ、村上の早まった快挙は、ファンだけでなく、球団にとっても嬉しい悩みを深めそうだ。(敬称略)

 
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役

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