「任天堂資料館」その戦略をゲームジャーナリストに聞いてみた

観光資源にとどまらぬ、コンテンツ産業の意義
2021年06月06日 16:00
ライター/SAKISIRU編集部
  • 任天堂が2023年度に京都市内に資料館を開設する計画を発表
  • ゲームジャーナリストのジニ氏「これまでにないゲームの名所に」
  • 資料館開設はキャラクタービジネスに注力する経営方針の表れ
資料館完成イメージ。任天堂ニュースリリースより

任天堂は2日、京都・宇治小倉工場用地を改装し、過去のゲーム機やソフトなどを体験できる「任天堂資料館(仮称)」を開設予定と発表した(プレスリリース)。完成は2023年度(2024年3月期)を目指す。

同社は80年代のファミリーコンピュータ(ファミコン)ブームをはじめ、これまで、7億9000万台以上のハードウェアと50億本以上のソフトウェアを世界に送り出した。ゲーム作品も、マリオやドンキーコング、ゼルダの伝説、メトロイド、どうぶつの森、ピクミン、スプラトゥーンなどのヒット作を生み出したことで知られているが、今回の資料館開設について、ゲームジャーナリストのジニ氏に、資料館に対する期待を聞いた。

コロナ後の観光資源に

ファンとしてとても楽しみだし、何より経済効果も高いだろうなと思いました。インテリジェントシステムやトーセなど、ゲーム関連企業が多数集まる京都はゲームファンにとって、いわばメッカ的存在。これまで観光地となるようなゲーム関連の名所は特にありませんでしたが、任天堂の資料館というメッカの象徴が作られれば、コロナ終息後には格段に観光客が増えると思います

展示内容などの詳細はまだ発表されていないが、どんな内容が望ましいだろうか。

すべてのゲームの元祖ともいえる『ファミリーコンピュータ(ファミコン)』はもちろんですが、海外版ファミコン『NES(ネス)』のような国内希少品、1985年発売の『ファミリーコンピュータロボット』のようなマイナーな周辺機器も展示して欲しいですね。『ファミリーコンピュータロボット』は2018年発売のアクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』でも登場しているので、認知してるファンは意外と多いんです

オフィシャルショップの併設も期待したいところだ。

渋谷パルコにある任天堂の直営オフィシャルショップ『Nitendo TOKYO』と同様の施設を、『Nintendo KYOTO』として併設して欲しいです。マリオやゼルダ、どうぶつの森、スプラトゥーンなどの魅力的なキャラクターのグッズを購入できたら嬉しいです。さらに、任天堂の花札など伝統的な商品もあったら良いなと思います

Czgur/iStock

任天堂の「知財戦略」の一環か

任天堂が資料館を作る意義は、地元自治体や日本のコンテンツ産業にとっても大きいという。

京都は自治体レベルでコンテンツ産業に力を入れており、『京都国際マンガ・アニメフェア(略称:京まふ)』の開催や『京都国際マンガミュージアム』の運営を行っています。ゲーム関連では、少人数・低予算で作られたインディーゲームのイベント『ビットサミット』の開催地となっています。資料館の計画は地元宇治市の意向を受けて生まれたもので、産官の連携という意味でも、大きな意義があると思います

今後、任天堂は「IP(= intellectual property、知的財産)」に関わるビジネスに力を入れるという。具体的には、マリオやゼルダといったキャラクターや世界観を貸し出して対価を得るビジネスを指す。

任天堂の古川俊太郎社長は、『任天堂IPに触れる人口の拡大』を基本戦略に掲げています。任天堂全体でIPの価値を拡大する傾向にあり、オフィシャルストア『Nintendo TOKYO』や今年3月に作られたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の新エリア『スーパー・ニンテンドー・ワールド』も、その表れでしょう。この資料館も、任天堂のキャラクターや世界観をより多くの層に浸透させる狙いがあると見て良いでしょう

資料館の開館予定地は、京都駅から30分程度とアクセスも良好。京都の新名所に期待したい。

 

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ライター/SAKISIRU編集部

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