角川会長逮捕で「パンドラの箱」は開くのか? 夏野体制が約30年越しに直面する「宿命」

“ガーシー化”する見城氏「コカイン疑惑事件、誰が仕組み」
  • KADOKAWAグループ角川歴彦会長の逮捕で今後も波乱含み?
  • 見城徹氏がSNS投稿で、歴彦会長の兄、春樹氏のコカイン事件真相を示唆
  • 奇しくも出版業界の再注目を集めつつある事件当時の雑誌記事とは

東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、出版大手KADOKAWAグループの角川歴彦会長(79)が贈賄容疑で東京地検特捜部に逮捕されたことが出版業界に大きな波紋を広げているが、今後もさらなる波乱含みの様相だ。

東京・千代田区の角川本社ビル(撮影:アフロ)

見城氏、確信通りの会長逮捕

心を卑しくして経営はしていない。自分たちの精神を汚してまで仕事をしろとは言わない。

一連の汚職事件でKADOKAWAの関与が最初に報じられた直後の今月5日、角川容疑者は強い口調で潔白を訴え、疑惑を全面的に否定していた。しかしその翌6日に、特捜部は元専務と元担当室長を同容疑で逮捕。角川容疑者の自宅も家宅捜索を受けた。

また読売新聞が9日、同社の顧問弁護士が高橋治之元理事の知人の会社への資金提供について賄賂性を指摘したのを押し切っていた可能性があると報道。ここまでの「のめり込み」となれば、社内で強力な命令系統があった上での贈賄があったとの見方は強まるばかりだった。

そうしたKADOKAWAグループの社内構造を熟知していたのが同社の元役員でもある幻冬舎見城徹社長だ。本サイトが先日報じたように、今月7日の時点で、SNS「755」に「今のKADOKAWAは角川歴彦氏の大ワンマン会社である。ある程度の案件は角川歴彦氏が了解していなければ何も進まない。今回の場合は角川歴彦氏が企画立案し、部下に下ろしたものだと僕は確信する」と断言していた。

そして、この時、見城氏はもう一つ気になる話も指摘している。いまのKADOKAWAの前身、角川書店を揺るがせたあの事件にウラがあるというのだ。

あのコカイン事件にウラ?

見城氏は「角川春樹氏が逮捕され、角川書店を追われた30年前の角川コカイン疑惑事件。その作・演出は角川歴彦氏である」と、角川容疑者が“黒幕”と言い切った上で、「30年前の角川コカイン疑惑事件は誰が仕組み、警察にリークし協力したものなのか?その詳細な記録を僕は残してある。いつか誰かにノンフィクションとして書いてもらいたいと思っていたからだ。主人公は角川歴彦氏とその部下のT氏。そして、作家のR・T。衝撃的なものになるはずだ。その時期は近付いているのかも知れない」などと、暴露するような内情があることをほのめかした。

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角川春樹氏とは、角川容疑者の長兄で、角川書店創業者、源義氏の長男。1965年に角川書店に入社すると、洋画のノベライズなど今でいうメディアミックスの先駆けとして成功。1975年、父の死去に伴い社長に就任すると、映画事業を本格化させ、「犬神家の一族」(1976年)「人間の証明」(77年)「戦国自衛隊」(79年)「セーラー服と機関銃」(81年)などの大ヒット作品を連発。春樹氏は一躍、メディア界の寵児となった。

しかしハリウッド進出が失敗するなど勢いに陰りも出始めた1993年、春樹氏はコカイン密輸事件で逮捕・起訴され、社長を辞任。一時、服役もするなど失脚したが、映画制作に復帰後は「男たちの大和/YAMATO」(2005年)などの注目作を手掛けてきた。

一方、春樹氏が去った角川書店は、兄との路線対立で一時、追い出された弟の歴彦氏が社長に就任。兄に劣らぬ経営手腕で、角川グループを再び蘇生させることに成功させ、映画でも「失楽園」「リング」などのヒット作を世に送った。近年、ネットの荒波がメディアを呑み込む中で、ドワンゴとの経営統合を実現させた。

KADOKAWA川上量生社長(右、当時)と角川歴彦会長(写真:つのだよしお/アフロ)

春樹氏を告発したのは誰か

そうした兄弟の愛憎劇を経て、奇しくも兄弟そろって逮捕を経験するという事態を機に、出版関係者が注目する過去の雑誌記事がある。

春樹氏のコカイン事件直後に出版された雑誌の「宝島30」で、ノンフィクション作家の岩上安身氏が書いた「誰も書かなかった『角川家の一族』」。ここでコカイン事件を警察が把握したきっかけについて、春樹氏周辺しか知り得ない情報も含めた内部告発があったことが、事件を取材した警察担当記者らの証言を元に紹介されている。内部告発は誰がしたのか。見城氏が断言するように、角川容疑者が兄のコカイン事件の告発を主導したのかどうか、真相が明らかになるか注目されそうだ。

今後のKADOKAWAはどうなるのか。創業家の角川容疑者は現在も2%強の株を保有するが、今後有罪が確定した場合は経営を離れざるを得ない。ドワンゴ出身の川上量生氏もすでに経営不振の責任を取り社長職を離れたばかりだ。ホリエモンこと、実業家の堀江貴文氏は14日、自らのユーチューブチャンネルで「経営力のある夏野(剛)さんがよりKADOKAWAの経営をリードしていくのではないか」との見方を示した。

その夏野社長は会長逮捕の直後、社員宛のメールで「この危機的状況を乗り切っていくためには、役職員の皆さまと私たち経営陣が心をひとつにして対応していくことが不可欠であると考えます。同じ船に乗る仲間として、可能な限り、皆さまに状況をお伝えしてまいりたいと思っています」と述べた。

しかし、特捜部の捜査の進展に加え、30年近く前の春樹氏の逮捕劇のウラ事情にも注目が集まりつつある。果たして、角川容疑者の逮捕をきっかけに、封印されていた“パンドラの箱”は開いてしまうのか。

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