『孤独のグルメ』原作者のツイートが話題、新聞社の「インタビュー無償」は時代錯誤か?

現役記者「無報酬が原則」、ネット民「他人の時間は有料」

人気ドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)の原作者、久住昌之氏のツイートが先週末大きな話題となった。久住氏は16日、次のようにツイートした。

最近いくつかの新聞社から「孤独のグルメ」についてのインタビュー依頼があったけど「今回は無償で」とか「報酬と著者校正はございません」っていうので断る。「宣伝してやるからインタビューただでさせろ」っていうみたいな新聞社の態度は、時代錯誤で非常識。

このツイートは、20日午前の時点で約2.4万件のリツイート、約9.2万件の「いいね」が寄せられるなど大反響を呼び、ツイッターは賛否両論が入り乱れている。「取材は無報酬が原則」と主張するのは、新聞記者とみられるアカウントだった。

記者アカウント「取材は無報酬が原則」

ある匿名記者アカウントは、「金銭の介在により、真実性が歪みかねないからです」と連続ツイートしていた。

取材は無報酬が原則です。金銭の介在により、真実性が歪みかねないからです。非常識、というものがあり得るとすれば、無報酬原則を相手に押しつけてごねたり、秘したりといった場合です。取材側は基本、無報酬でお願いしますが、そこに納得がいかなければ断っていただいて全然OKなんです。

さらに言うと「宣伝してやるから」なんて意識は常識的な記者であれば持ち合わせていないと思います。なんなら「俺たちの記事は宣伝じゃねぇぞ」くらいの気持ちでいます。「記事で宣伝してください」「PRしてください」と言われることが多いが、そのたびに言い返したくなる。

ネットに蔓延る報道批判を見るに、その批判者の多くが私たちの業界が大切にしていることへの理解に欠けていると感じます。そうした人々が悪いというより、私たち自身が私たちの仕事について知ってもらう努力が足りていないのかもしれません。

朝日新聞旭川支局三木一哉記者は、「著名人に対する取材ではままある難題」とツイートしていた。

著名人に対する取材ではままある難題です。相手も時間を切り売りして生活なさっているので、それを無償で提供してもらえるかどうかは、相手方の考え方によると思います。番組や著作の宣伝になるという相手方のメリットで応じていただいたことも少なくありませんし……

元読売新聞記者で、ニュースサイト「バズフィードジャパン」の記者、岩永直子氏は「医療の専門家や患者さんに取材する時も原則無報酬でお願いしています」とツイートしていた。

医療の専門家や患者さんに取材する時も原則無報酬でお願いしています。専門知識や貴重な体験を読者に広く共有することで、世の中を少しでも良くしたい。取材に応じてくださる方はそういう思いにご賛同いただいているのだといつも感謝しています。

Mihajlo Maricic /iStock

一般ユーザーの多くは久住氏の意見に好意的

一方、一般ユーザーの多くは、久住氏の意見に好意的で新聞社の「取材は原則無報酬」という方針に批判的だった。

報道ならまだしも著者インタビューで報酬も校正もなしっていうのは思い上がり以外のなにものでもないですよね

新聞社の多くは謝礼を払わない。書いた原稿も内規で見せない。理由は報道だから、宣伝にもなるから。もう、あらためてもいい時期ではないでしょうか

こんな有名な方にも取材の報酬払わないとか日本は本当におかしいよね?

久住先生はギャラが欲しいと言ってるのではなく「他人の時間は有料」という当たり前のことを言ってるだけではないかな

事件取材とインタビューを分けて考えてない、自分は人のソースを材料に金銭を得ようとしてるくせにその『原価』を払えない報道モドキの考え方が非常識を生むんでしょうね。

中には、「無報酬どころか、書き手に都合のいいように切り取って本来の趣旨をねじ曲げる」「デマは流すわ、自作自演はするわ、もう新聞とかいらなくね?」など、新聞社自体にアレルギー反応を示すようなユーザーも少なくなかった。

いずれにしても、新聞記者の常識と世間の認識に大きなズレが生じていることが、今回の一件から明らかになった格好だ。

 

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