国葬参列で、反対派にネット署名で突き上げられる朝日新聞と毎日新聞に見解を聞いた

毎日広報「活動は承知していますが...」
  • 安倍元首相の国葬にマスコミ幹部の参列の報道。ネットで説明責任求める署名運動
  • 国葬に実質的な“反対”の論陣を張っていたはずの毎日新聞や朝日新聞の対応は?
  • 岸田首相に説明責任を求めていた両社の広報に見解を聞いてみると…

安倍晋三元首相の国葬が27日の開催まで1週間を切り、反対派がデモ攻勢を強めるばかり。そうした中、社説などで事実上の反対論を煽ってきた大手メディアが、国葬に経営陣が参列するのかも焦点になってきた。

写真:ロイター/アフロ

反対派の放送局・新聞社OBらは18日、署名サイト「チェンジオルグ」で「【緊急署名】#マスコミ各社に国葬出席の説明を求めます」と題したキャンペーンを開始した。国葬の問題点を指摘してきたはずのメディアでも幹部らが参列する意向だと一部で報じられたことを受けて、「マスコミ各社は国葬に出席すべきではない」と主張。出席を予定している場合は、検討した経緯や参列を決めた理由を明らかにするように迫っている。

キャンペーンは21日未明に入った時点で3万人以上が署名するなど一定の反響を得ている。一方、政府側から主要メディア側に案内状が送付されており、これまでの国葬に疑問や批判をしてきた論調との整合性に注目が集まりつつある。

毎日新聞は政権に説明責任を求めてきたが…

東京・竹橋の毎日新聞東京本社(mizoula /iStock)

毎日新聞は、岸田首相が国葬実施を発表した直後の7月16日、「安倍元首相の「国葬」国民の思い尊重する形に」との題で社説を掲載。タイトルにもあるように、「国葬に関する法律や基準はない。首相経験者の業績で判断することになれば、時の政権によって恣意(しい)的に運用されることがあり得る」と主張し、銃撃事件の捜査が継続中の点からも「落ち着いた状況の中で、世論を見極めながら決めるべきではなかったか」と、慎重な立場を示した。

毎日は以後、反対論の高まりとともに社説でトーンを強化。「安倍氏国葬と学校 弔意を強要すべきでない」(8月24日)、「説明なき「国葬」 これでは納得ができない」(8月27日)、「首相の『国葬』国会説明 疑念の核心答えていない」(9月9日)などと「国葬」をタイトルに入れた社説を6度掲載してきた。

毎日新聞社社長室広報担当はSAKISIRU編集部の取材に対し、一部で伝えられた幹部らの出席について「渉外業務や儀礼行事の責任者である社長室次長と東京本社代表室長が出席する予定です。また当社会長は、日本新聞協会会長であることから出席することにしています」と明らかにした。

その上で、今回のネット署名については「活動は承知していますが、公開質問状は届いておらず、回答を控えます」とコメントを避けた。なお1967年の吉田茂元首相の国葬当時に参列したのかも尋ねたが、「確認できません」とのことだった。

“歴史戦”で国葬を止めにかかる朝日新聞は…

東京・築地の朝日新聞東京本社(mizoula /iStock)

そして、安倍元首相と最も対立したメディアだった朝日新聞。国葬問題では7月20日、社説「『国葬』に疑問と懸念」を掲載。「社説は安倍氏の政策の是非を厳しく問い、国会を軽視し、異論を排除するような政治姿勢も批判してきた」と自らの対決姿勢を改めて誇示した上で、「立憲主義をないがしろにした安保法制の強行は世論の分断を招き、森友・加計・桜を見る会をめぐっては、長期政権の弊害が明らかで、それはいまも解明されていない」などと強調。国葬に反対を明言こそしていないものの、嫌悪感を露骨に示した。

その後も再三に渡って、岸田政権の国葬問題の説明不足を社説で批判。法的根拠が乏しいと追及し続ける朝日はとうとう“故事”を発掘。今月7日には、かつての自民党の実力者だった前尾繁三郎衆院議長の秘書だった平野貞夫元参院議員の証言に基づいたスクープをデジタル版で掲載し、「1975年に佐藤栄作元首相が死去した際、当時の吉国一郎内閣法制局長官(故人)が国葬について『法制度がない』『三権の了承が必要』との見解を三木武夫首相に示していたことが分かった」と強調した。三木政権は、佐藤元首相を追悼を国葬ではなく国民葬で行う判断をしている。

しかし、この朝日の記事には疑問もつきまとう。安倍氏の経済政策のブレーンの1人だった高橋洋一氏はツイッターで「過去には法的根拠が曖昧だったから、2001年立法解決したのに、何を今さら言っているのかねえ。そのときには省庁再編に賛成していくせに」と首をかしげてみせた。

01年の中央省庁再編時に制定した内閣府法では、「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」(同法第4条第3項第33号)と明記しており、岸田政権はこれに基づいて国政を決定した経緯がある。高橋氏の見解に沿えば、朝日の報じた1975年時点では、たしかに法的根拠はなかったが、その後、法整備されたというわけだ。

もはや国葬を止めるためなら「歴史戦」を仕掛ける挙に出た朝日。ところが雑誌「選択」が、広報担当執行役員と秘書部長が出席すると報じたことで、国葬反対派の不興を買ってしまった。

朝日新聞は国葬を進める岸田首相に対し、社説で「説明責任から逃げ続けた姿勢がまず、厳しく問われねばならない」としているだけに、SAKISIRU編集部は朝日新聞社広報部に“深まった疑惑”を確認した。国葬参列の事実や、ネット署名についての見解をただしたところ、「現時点ではお答えを控えさせて頂きます」と、回答しなかった。

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