秀吉が令和日本の首相ならどんな改革をやったか?
【後編】なぜ信長・家康でなく秀吉が再評価されるべきなのか- 「秀吉がいま生きてたらたとえば何をするか」八幡氏の秀吉論後編
- マイナンバー、首都移転、国防強化…秀吉の歴史的政策を今日に当てはめると…
- 秀吉の評伝を書くにあたって思う歴史小説家と歴史学者への疑問
先日、歴史作家の小名木善行先生と対談した際、「秀吉がいま生きてたらたとえば何をするか」と聞かれたので筆者は次のように答えた。
たとえば、秀吉の仕事から容易に想像できるのは、①マイナンバーカード取得と携帯の義務化 ②首都移転を含む全国での新都市の建設 ③本当の意味での国軍の創設でないかといったので、ちょっと解説しておく。

秀吉がいま政治をやったら
①マイナンバーカード取得と携帯の義務化
秀吉の太閤検地は、戸籍、財産、所得などを総合的に把握する画期的な事業で、このお陰で全国どこでもよく似た行政ができるようになった。いまで言えばマイナーカードの取得・携帯義務化と各種情報の紐付けに相当する。この点については、別の機会に詳しくまた論じてみたい。
②首都移転を含む全国での新都市の建設
大阪は秀吉の町だが、徳川家康に江戸を関東の中心にするように命令したのも秀吉だ。
県庁所在地のほとんどなど日本の主要都市は秀吉の時代に建設されたものが多い。秋田、盛岡、仙台、福島、甲府、富山、金沢、津、
しかし、これらの街は今の時代、インフラも老朽化してるので、新都市の建設をどんどん進めるべきだ。東京が首都のままだと、古い政官財癒着の構造から脱出できない。
③侵略や災害への抵抗力を高めるため短期の訓練義務化
秀吉は大陸出兵が目的だったとはいえ、各地に割拠していた大名たちの軍勢を糾合し、一説には15万人とも言われる大軍を出兵させた“日本国軍の創始者”といえる。いまの日本は外国に攻められたら、ウクライナのように国民総力で戦えない。欧州では徴兵制を停止している国が多いが、短期の訓練を女性も含めて復活させる方向だ。
現状では自衛隊が初戦で少し犠牲を出しても義勇兵も現れない。ほとんどの国民が農民だった時代と違って、災害のときも防災のための戦力にならない。本格的な徴兵制などしなくとも、全国民に防災、警察への協力、自衛隊への参加などの基礎となる短期の訓練を施して、志願者が出やすいようにしたらどうかと思う。

歴史小説家と歴史学者への疑問
歴史小説は史実に忠実であるべきかは、作家によって哲学がある。同じ上杉鷹山を題材にしても、藤沢周平さんの『漆の実のみのる国』は、事実と違うことは書かず、分からないところだ自由に想像を膨らませている。
一方、童門冬二さんの『上杉鷹山』は、史実は無視してエンタメとして書いているので、実物の上杉鷹山とは似ても似つかぬ人物になっている。ちなみに司馬遼太郎さんの『竜馬が行く』も同様で、坂本龍馬は格好良すぎるが、日本人はそれで歴史を学んだつもりでいる。
歴史ファンの政治家は多いが、歴史書や回顧録・伝記より小説ばかりという人も少なくない。首相になる前だが、小泉純一郎元首相は、歴史は小説で学ぶと言い切ったのが典型だが、これでは正しい外交はできない。そういうこともあり、今夏に出した『令和太閤記 寧々の戦国日記』(ワニブックス)は、歴史小説好きの日本人にも読みやすいよう、日経新聞から「私の履歴書」の執筆を頼まれたという触れ込みにしつつ、内容は事実を丹念に追うと形式にして、秀吉の評伝に挑戦したのである。
逆に、歴史学者が書く一般向けの本で良くないと思うのは、やたらネガティブなトーンだ。政治家でも企業経営者でも軍人でも、成功した人はそれなりに優れて魅力的な人が多い。だから成功するのである。
もちろんネガティブなところも指摘すればいいが、それが主体であるのは良くない。「秀吉は人垂らしでもないし、残酷で私利私欲を追求し、表の顔は野望を隠すためだけだった」とまで酷評するような人物であるならとてもではないが人望は集まらず、天下を取れたはずがない。器用で頭が柔らかく、上げたり下げたりの巧妙な人事政策、三方良し的な現実感覚、経済的待遇と官位など名誉の組み合わせなど見事なもので、そういうところにももっと注目すべきではないのか。
■
余談だが、昨今の安倍晋三元首相の国葬を巡っての世間の風潮を見ていると、この国をつくってきた過去の政治家たちへの敬意や感謝をせず、前向きに将来のためのヒントとすべきことを探す姿勢に欠け、あら探しばかりする奇妙な歴史への向かい方の延長で起きていることでないか、とため息が出る。
暗殺された政治家に対するこれほどの誹謗はあきれるばかりだ。政策において安倍氏が旧統一教会に有利なことなどなにもしていないどころか、南北朝鮮への厳しい対処など、もっともこの教団が嫌うことをしてきた。それでも旧統一教会が安倍派の政治家を支持したのは、信者がそれを望んだからに過ぎない。
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